太田述正コラム#2162(2007.11.6)
<皆さんとディスカッション(続)>
<麻呂>
 小沢代表、続投か…今夕にも回答。
もし、続投なら、これって 最初から仕組まれたこと?
 どう見る?太田さん。
<太田>
 
 私のこれまでの関連コラムをきちんと読んでいただければ、回答はその中に書かれています。
 いずれにせよ、果たして参院で守屋喚問が行われるのか、行われた場合、どんな質問が民主党議員から投げかけられるのか、にさしあたり注目すべきでしょう。
 ところで、守屋問題で私は一貫して、接待だけに焦点が当てられているのは天下り隠しだと指摘してきました。
 この際、もう一つ皆さんにお考えいただきたいのは、防衛省職員を縛る自衛隊倫理規定
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12SE173.html
なる政令の一言一句を、守屋が官房長や防衛局長や次官として墨守するだけでは責任を果たしたことにはならない、ということです。
 (私は、そもそも、完全に開示することを義務づけた上で、官僚に業者等との会食等を認めるべきであると考えていますが、そのことはともかくとして、)一つには(防衛省のものだけに限らず)倫理規定そのもののできが悪いことです。
 政治家による官僚の接待が禁止されていないこともそうですし、外国政府の職員による官僚の接待が認められていることもそうです。
 後者について言えば、日本にいる外国政府の職員の中にはかなりの割合で諜報機関員が含まれており、中には諜報機関員であることが分かっている場合もあるのであって、そんな連中の接待を受けてもいいはずがありません。
 ですから、防衛省の要職にある者は、倫理規定の文言よりも厳しく自らを律しなければならないのではないでしょうか。
 しかし、話はここで終わりません。
 私に言わせれば、防衛省の要職にある者は、国益のためであると信じるならば、場合によっては倫理規定の文言を無視して、業者(米国等外国の業者を含む)等の接待を受けてよいのです。
 もちろん、守屋は国益の観点から山田洋行から接待を受けたわけではないのであって、誉められたことではないことは言うまでもありません。
 私が申し上げたいのは、倫理規程違反そのものは、目くじらをたてるほどの話ではない、もっと重要な天下りや政治家の腐敗といったことに目を向けよ、ということなのです。
<HUNA>
はじめまして
<一回目の>たかじんを見させていただいて、メルマガ登録をさせていただきました。
TVにおける発言は目から鱗が落ちるものでした。
これからも忌憚の無い発言を聞かせてください。
TVの発言で「防衛予算はもっと少なくてよい。脅威が無いんだから」との発言がありました。
なぜ脅威が無いと判断されているのでしょうか。
アメリカの核の傘下に入っているからなのか、
経済の結びつきが強くなったからなのか、、、気になるところです。
バックナンバーをこれからゆっくりと見て、いろんなことを知る事ができればと思います。
<michisuzu>
日本に脅威が無いのはきっと防衛力に徹しているからなのでしょうね。
攻撃力を強化した途端に一気に脅威は増すのではないでしょうか。
防衛力は結局盾と矛の関係ですからじゃないでしょうか。
<masuda>
太田さん 初めまして。
 たかじん~ の視聴者です。
 番組を拝見していまして、日本の防衛力に関して素朴な疑問を抱きましたので、書き込みをさせていただきました。
 第1週目の放送で、太田さんは日本の自衛隊に対し、「国防だけなら今の戦力よりもっと少なくていい」と仰っていたのに対し、第2週目の放送では、「世界的な水準からは増やすべきだ」と仰っていましたが、太田さんの考える、防衛の構想とはどのようなものなのでしょうか?
 日本版CIA設立に必要なのでしょうか、
 それとも現在の無駄部分を本来目的の国防費に当てろということなのでしょうか。
 また、番組だけでは、省庁のあるべき姿や、国防としてすべき防衛省の仕事が完全には見えてこなかったのですが、どのようにお考えなのでしょうか。
 もし宜しければ、ご返答願います。
<太田>
 
 まとめてお答えしましょう。
 18世紀初め以降、地上軍の侵攻を受けたことのない英国や、およそ地上軍の侵攻を受けることなど考えられない現在の米国同様、戦後日本も地上軍の侵攻を受ける懼れがない、という意味で私は日本に脅威はないと言っているのです。
 ですから、単に日本を地上軍の侵攻から守るためだけであれば、日米安保があろうとなかろうと、また米軍が日本に駐留していようといまいと、自衛隊の規模は現在より相当縮小してもよいのです。
 (日米安保があり、しかも米軍がほんの少しでも日本に駐留していれば、自衛隊はゼロに近くても大丈夫ですが、自助努力がゼロに近いとみなされ、米国から日米安保を解消されてしまうでしょう。)
 しかし戦後一貫して、米国はもとより、英国だって対GDP比で日本よりはるかに多額の防衛費を投じて防衛力を整備し、維持してきています。
 これは、米国はもとより、英国も、国際貢献のために、自らの国土の防衛のために必要な防衛力をはるかに上回る防衛力を整備、維持していることを意味しています。
 では、日本もそうすべきなのでしょうか。
 仮にそうすべきだとして、どの程度の(国際貢献用の)防衛力を整備、維持すべきかは、防衛省が様々なオプションを提示し、国民的論議の下で決定されるべきでしょう。
 なお、以上は、日本に対する核の脅威を捨象した議論であることをお断りしておきます。
 ちなみに、私は比較的最近核武装論者に「転向」したところです。
<okada>
 はじめまして。
 たかじん~ を見てこのサイトを知りました。
 <ホームページ掲載の(日本の自立を唱えておられる)>「太田述正の主張 2001 <総論>」といくつかのコラムを興味深く読ませて頂きました。
 私は政治などに関して全くの素人なのですが、「集団的自衛権」を持てば、日本は自立できるのでしょうか?アメリカと対等な立場になれるのでしょうか。
 自衛隊を軍隊にする必要はないのでしょうか?
<太田>
 
 国際貢献のための防衛力をも整備、維持すべきであると国民が決定した場合、集団的自衛権の行使ができなければ国際貢献ができないのですから、まずは政府が憲法解釈を改めないと話になりません。
 これは、日本の米国からの自立云々とは次元の異なる問題です。
 なお、自衛隊は軍隊です。ただし、軍隊として機能させることを国民から禁じられている軍隊なのです。
<ヨシダ>
 太田さんがお読みになった当時のアメリカの公刊資料というのはは現在閲覧可能なのでしょうか?
<太田>
 コラム#30と58で引用している文献類は米国で現在でも閲覧可能だと思いますよ。
 私の事務所の本棚をかきまわせばこれらのコピーが出てくる可能性は高いけれど、ちょっと探す気にはなりませんね。
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<太田>
 @aspot.plala.or.jp のスズキ、 @iries.eonet.ne.jp のクボさん、メルアドが間違っているらしく、口座番号をお教えしたメールが届きません。
 なお、2回にわたる「たかじん・・」出演の効果は大きいものがあり、無料購読者は700名以上増えて1865名、また、有料読者も50名近く増えて155名となり、合計で購読者は2020名になりました。
 また、一日300名前後を低迷していたブログ訪問者数も、昨日8,000名を突破するという「偉業」を達成しました。
 しかし、新規有料読者に会費等を振り込んでいただく銀行口座をメールする手間が無茶苦茶かかるできの悪いシステムをとっているため、昨日も本日も、日中はほとんどそれだけに時間をとられてしまいまいた。
 小沢騒動のおかげで取材も入らなくなったので、たかじん効果の沈静化もこれあり、明日からは、少しばかり本来の生活に戻れそうです。
 いずれにせよ、皆さん、今後ともどうぞよろしく。
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太田述正コラム#2163(2007.11.6)
<防衛省キャリアの会計音痴>
→非公開