太田述正コラム#2421(2008.3.14)
<皆さんとディスカッション(続x84)>
<鎌倉人>
コラム#2333に関連してですが、我が国にとっては、マケイン氏、オバマ氏、クリントン氏の内、誰がよいのでしょう?
 いわゆる新中国派が大統領になると我が国には良いことがないように思います。親日派の大統領だと我が国に有利ではないかと思うのですが・・。
 副大統領に成る人が親日派というのも・・。
<太田>
 読売ウイークリー2008年3月16日号の記事
 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw08031601.htm
によれば、3人の対日姿勢は次のとおりです。
 (この記事には、3人のブレーンの一覧表も載っており、参考になります。)
 マケインは「知日派だ<が、だ>からといって、日本に甘い顔をするとは限らない。・・日本を標的とした貿易関連法案に反対する一方で、日本の軍政ミャンマー支援を批判したこともある。91年の湾岸戦争時は、「関係国は応分の負担をすべきだ」と日本に厳しい姿勢を示した。」
 オバマは、「安倍首相(当時)が訪米した07年4月、・・上院本会議で行った発言では、日本を「米国の最も緊密な同盟国の一つ」と位置づけ、 北朝鮮の核開発やミサイル計画の脅威に協調して対処し、対テロ戦争やアフガニスタン支援、平和維持活動、環境問題での貢献を評価している。<しかし>その一方で、日本への要望として、「日本経済にはまだ輸入や外国直接投資に対して閉鎖的分野がある」と強調し、規制撤廃を求めたほか、(従軍慰安婦問題など)過去の歴史と真摯に向き合うよう求めている。」
 「ヒラリー候補があまり日本に関心を持っていないのは多くの関係者が指摘している。」
 こういうことですから、オバマとマケインは大差なさそうである一方、クリントンは日本に関心がなさそうですね。
 ただ、日本は米国の属国である以上、あえて論じるに足らないと考えていると思われるクリントンは、一番正直なのであって、その限りにおいては、私としては彼女を高く評価したいですね。
<安>
 太田様、はじめまして。
 私は、安/アンと申します。
 いつもブログ楽しみに拝見しています。
 有料会員でないのでいつも楽しく拝見しながら少し申し訳ない気がしてメールさせていただきました。
 いつも、ありがとうございます。
 私にとって、太田さんのブログは内容のみならず、論理的な文の書き方なども含めて本当に勉強になっています。
 今後も革命を起こせるようにがんばってください。応援しています。
 これから徐々に暖かくなるとはいえ急に冷え込んだりします。
 どうぞ、ご自愛くださいませ。
 3/8(土)  
<太田>
 3月3日以来、10日間と8時間近く、ビジネスメルアドでメールを受け取れないというひどい障害が起こって皆さんに大変ご迷惑をおかけしておりましたが、今朝0800前復旧したようです。
 そういうわけで、安さんのメールの先程拝見しました。
 応援まことにありがとうございます。
 ところで、
 「石破氏は当初、守屋武昌前事務次官と軍需専門商社の癒着発覚を受けて「調達すると必ず間に商社が入ってくる。こういう国はそんなにない し、このやり方に相当の問題がある」と指摘。同チームも商社を介在させない調達方法を検討した。だが海外メーカーから「商習慣の違いがあり、商社活用が効率的」との声が出たほか、防衛省が直接契約するには省内の人材育成が必要で「コストがかかりすぎる」(防衛省幹部)と判断。チェック機能強化で調達効率化 を図ることとなった。
http://www.asahi.com/politics/update/0310/TKY200803100310.html
。3月11日アクセス
のだそうですが、「商習慣の違いがあり、商社活用が効率的」とは、天下りを受け入れなければならず、政治家にもカネを出さなければならず、従って価格を膨らませなければならないので、商社を介在させざるをえないという意味であり、「防衛省が直接契約するには省内の人材育成が必要で「コストがかかりすぎる」」とは、天下りができなくなるのでメリットがないという意味です。
 外国のメーカーも防衛省もまことに率直で気持ちいいくらいですね。
 次に、3月3日に、米国防省が毎年恒例の「中華人民共和国の軍事力(Military Power of the People’s Republic of China)」レポートを公表した件です。
 このレポートでは、例年通り、中共の台湾に対する軍事力の行使シナリオとして、海上封鎖を行いながら航空/ミサイル攻撃をするという限定的作戦と本格的な着上陸作戦の二つが考えられるとしつつ、今年の版では興味深いことに、人民解放軍がこのどちらの作戦を遂行する能力もここ数年顕著に改善していないどころか、低下している可能性さえあると記述しています。
 その上で、人民解放軍は、限定的作戦を遂行することは能力的に厳しく、着上陸作戦を遂行することに至っては能力的に無理であると指摘しています。
 注意すべきは、このレポートに言う「台湾」には、(当然のことながら、)大陸にほとんどくっついていると言える(台湾領の)金門、馬祖両島も含まれていることです。
 すなわちレポートは、台湾本島の占領はもとより、金門や馬祖を占領することすら、現在人民解放軍が通常行っている訓練の域を超えていると明確に述べているのです。
 というわけで、レポートは、台湾は中共による軍事作戦を抑止するためには、防衛施設や装備のうち、少数の重要分野への投資(modest target investments)だけで十分であると結論づけています。
 (以上、
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/03/12/2003405190
(3月12日アクセス)による。)
 読者の皆さん。
 台湾に対してすら、まだ中共の「脅威」はこんなものでしかないということです。
 しかも、以上の話は、台湾近傍に所在する米軍や来援するであろう米軍のことはカウントしていないのですよ。
 だから、核の脅威以外、日本に対する中共の軍事的脅威なんて、現時点ではゼロなのです。
 ついでに言えば、ロシアには、中共のように日本の近傍で軍事作戦を遂行する考えはないし、そもそもその軍事力はガタガタです。
 何のために自衛隊に5兆円もかけているのか、皆さんよっく考えようね。
 予算規模はともかく、日本の防衛費は領域防衛のためのものだなどと抜かす寝ぼけた政治家には歳費を返せと言いたくなります。
 最後に、改めて私のTV出演予定をお知らせしておきます。
  放映日時 3月14日(金)20時~
   3月21日(金)20時~
  テレビ局 日本テレビ放送網 (NTV)
番組名 「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」
  番組URL  http://www.ntv.co.jp/souri/
  放映日時 3月15日(土)21時~24時
  テレビ局 スカイパーフェクトTV 241チャンネル内
番組名  「日本文化チャンネル桜」の討論番組
  番組URL
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1433
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太田述正コラム#2422(2008.3.14)
<日本文化チャンネル桜収録記>
→非公開