太田述正コラム#14423(2024.8.27)
<皆さんとディスカッション(続x6000)>

<太田>

 部外用レジメ(正・続)中で、私の実存的疑問を2つ上げた。
 日本とは何ぞや、と、戦後日本で弥生性が失われたのはなぜか、だが、3つ目の実存的疑問があったことを書き忘れた。
 それは、軍事とはなんぞや、だ。
 防衛庁(当時)に入庁した途端、一体、同庁の文官キャリアは何のためにいるのか、という疑問を抱くようになり、戦後日本の体制が設けたところの、自衛隊が本来の目的を遂行できないようにするための邪魔者である、という自虐的な解答をひねり出し、その解答に「安住」した状態がかなり長く続いたのだが、1988年に英国防大学に「留学」して、英国防省の文官キャリア達(技官を含む)とつきあうにつれ、そんなことを話題にしたことこそなかったけれど、そんな解答は間違っていることだけは身に染みて分かった。
 その後、私が、ようやくのことで到達した正解は、国家は戦争のためのものであって、軍事機構中の文官キャリアの役割は、軍事機構とその他の国家機構・・軍事支援機構・・との間の橋渡し役である、ということだった。
 ところが、戦後日本の場合、「その他の国家機構」が軍事支援以外のことしかやっていないのだから、防衛庁の文官キャリアは無用の存在以外の何物でもなく、軍事機構に小言を言い足を引っ張る小姑的存在に堕してしまっている、と。
 だから、非軍人が行うところの、戦後日本人がする軍事の勉強はどうやったらいいですか、という問いかけ、や、戦後日本の政治家がよく言うところの、軍事/国防は国家の重要課題、といったセリフは、国家が軍事の手段として誕生した以上、根本から間違っている、ということになる。
 軍事技術の勉強ならぬ軍事の勉強とは国家についての勉強でなければならず、かつまた、軍事/国防は国家の存在根拠だから、だ。

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 なし。

 ウクライナ問題。↓

 なし。

 ガザ戦争。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 私は、伊藤さんの日本近代政治史の講義筆記録を買って読んだような記憶があるんだが、都立大から東大文学区部助教授に転じたのが、私の東大4年の時
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E9%9A%86_(%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E5%AD%A6%E8%80%85)
だってんだから、記憶違いかも。
 いずれにせよ、彼がマルクス主義史観を否定したのはごリッパながら、じゃ、それに代わるどんな日本近現代史観を提示したのかよっていいたくなるな。↓

 「伊藤隆さん死去 近現代政治史の第一人者・・・
 76年に雑誌「思想」に寄稿した論文で、昭和戦前期日本の政治体制を「ファシズム」と自明視する立場に疑義を呈し、論争を引き起こすなど、当時主流だったマルクス主義史観に批判的な立場を取った。・・・
 晩年は保守派の論客として活動。「自虐史観」の脱却を唱える、97年の「新しい歴史教科書をつくる会」設立に参加した。同会の分裂後は育鵬社の歴史教科書の執筆者を務めた。」
https://www.msn.com/ja-jp/news/culture/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E9%9A%86%E3%81%95%E3%82%93%E6%AD%BB%E5%8E%BB-%E8%BF%91%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%8F%B2%E3%81%AE%E7%AC%AC%E4%B8%80%E4%BA%BA%E8%80%85-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E9%96%8B%E6%8B%93/ar-AA1psAbN

 とにかく、先の大戦時の帝国海軍はアホだった。↓

 「海軍乙事件の全容 漂流する中将らが投棄した“機密文書”が、その後の戦局を左右した・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/004434dadfcdd833a64e428b1ca13e9bb115e9e2

 法的には、世界政府ができるまで、法理論的にはなくなりましぇーん。また、実際には、弥生人が絶滅するまではなくなりましぇーん。↓

 「ユダヤ人に命のビザを出した日本人外交官。その記念館でイスラエル人は何を思うのか? 「負の歴史」に向き合う場所で、団体客を乗せたバスを待ち、聞いたこと・・・
 終わりが見えない。戦禍における殺りくが「過去」として語られる日はいつ来るのだろう。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/962af639e453b668769cd97625d1ca43ff1ad737

 元寇が終わった時点で戦国時代が幕を開けたとも言えるけどな。↓ 

 「・・・1454年に享徳の乱が始まり、関東の戦国時代が幕を開けたのである。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/00120342d250ff1b876dc42d9bfc28e8b2420684

 日・文カルト問題。↓

 <それはそれは喜ばしい事ですねえ、と、一応言っておこう。↓>
 「日本でK-POPブーム、韓国ではJ-POP旋風…韓日間で薄れる文化の国境–時代錯誤の反日…文化面の交流はますます拡大・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/08/22/2024082280134.html
 <頑張れ、朝鮮日報。↓>
 「反日の眼鏡をかければ老朽化した施設の補修まで親日に見えるのか【8月26日付社説】・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/08/26/2024082680021.html
 <ご心配頂き・・。↓>
https://japanese.joins.com/JArticle/322918
 <文カルト健在。↓>
 「韓国の金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官候補は26日の国会人事聴聞会で、日本の植民地時代には国がなかったとした自身の過去の発言について、「(今も)同じ考え」とし、「国がつぶれたのに(韓国の)国籍があったのか」と述べ、当時の先祖の国籍は「日本」と答弁した。・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240827000200882?section=politics/index
 <同じく。↓>
 「尹政権の竹島をめぐる疑惑、韓国野党が自主調査を実施へ=韓国ネット「国民みんなで監視しないと」・・・韓国・MBN NEWS・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939401-s39-c100-d0191.html

 どうして、RSS/インド人民党が国民会議派を人気で凌駕したか、その背景を説明して欲しかったな。↓

 「・・・1980年代以降、インドではヒンドゥー・ナショナリズム(ヒンドゥー至上主義)と呼ばれる思想・運動が広がりを見せます。名称から見てヒンドゥー教を重んじる運動のように見えますが、仏教やジャイナ教、シク教といったインドを起源とする宗教は包摂する姿勢をとります。
 外来宗教としてのキリスト教やイスラームであっても、ヒンドゥー文化とインド国家に忠誠を誓えば同じ仲間であるという捉え方をします。つまり、彼らのいう「ヒンドゥー」はメタ宗教的な概念なのです。似ているものとしては日本の天皇崇拝です。・・・
 このヒンドゥー・ナショナリズムの思想および運動の源流をたどると古くからありますが、それはさておき彼らは「民族義勇団=民族奉仕団(RSS)」というグループを結成します。イギリスとナチス=ドイツが戦っていた第2次世界大戦中、イギリスが倒れれば独立できるわけで、RSSはナチス=ドイツを支持していました。インド独立に際し、ムスリムに妥協的な態度をとっていたマハトマ・ガンディーを殺害したのも、RSSに所属していた青年でした。
 RSSがヒトラーを擁護する立場は今でも変わっていません。ちなみにインドではヒトラー人気が高く、アイドルみたいな扱いでヒトラーアイスクリームとかヒトラーコーヒーなんてものが平気で売られています。このRSSがつくった政党がインド人民党で、2014年から政権を握っているモディ首相率いる与党です。・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%99%E3%81%90gdp%E4%B8%96%E7%95%8C3%E4%BD%8D%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B-%E5%A4%A7%E5%9B%BD%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89-%E3%81%AE%E5%AE%9F%E6%83%85-%E3%83%92%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%BC-%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%81%8C%E5%8F%B0%E9%A0%AD%E3%81%99%E3%82%8B%E8%83%8C%E6%99%AF/ar-AA1ptzep?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=237bbb7f2bf942d58345d185face1963&ei=28

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <英語媒体より。
 習ちゃん、日本再軍備要求をエスカレート。↓>
 Chinese military plane reportedly carries out first violation of Japanese airspace–Two-mnute incursion by a surveillance aircraft, reportedly the first such incident by a military aircraft, comes amid regional tensions in Asia-Pacific region・・・
https://www.theguardian.com/world/article/2024/aug/27/chinese-military-spy-plane-first-japan-airspace-violation
 <次に人民網より。
 こういう形の軌道修正で来たか。↓>
 「・・・日本は近隣諸国と十分な話し合いを行わないまま、福島原発汚染水の海洋放出を一方的に開始し、全世界にリスクを押し付けた。このようなやり方は自らの約束に背く、極めて無責任なものであり、国際法及び近隣諸国との付き合いの道とも合致しないものだ。中国はこれに一貫して断固反対するとともに、日本側に厳正な懸念を繰り返し表明してきた。・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2024/0826/c94474-20210461.html
 <ここからは、レコードチャイナより。
 ご関心ですねえ。↓>
 「日銀、年内の再利上げの可能性は低い・・・第一財経・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939378-s25-c20-d0193.html
 <ご心配いただき・・。↓>
 「またも不正発覚、「日本製造」はどうしたのか・・・中国メディアの第一財経・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939375-s25-c20-d0193.html
 <んなもん、関心持たんでよろし。↓>
 「日本に再び「小泉旋風」か・・・シンガポール華字メディアの聯合早報・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939408-s25-c100-d0192.html
 <日中交流人士モノ。↓>
 「<卓球>石川佳純さんに中国のファンから励ましの声=「彼女を守ろう」「あなたを愛してます」・・・石川さんの微博アカウント・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939391-s25-c50-d0052.html
 <どーでもえーがな。↓>
 「中国のポータルサイト・網易に掲載された記事によると、中国の作家・李楠楓(リー・ナンフォン)氏は・・・、自身のSNSアカウントに日本と中国のパスポートを並べた写真を投稿し、「あなたはどちらの方が(見た目が)良いと思うだろうか。日本のパスポートは篆(てん)書体が使われており、非常に文化があるように見える。だが、われわれのはどうか?簡略化された文字(簡体字)には目をつぶるとしても、判を押したような印刷書体。これでは当然、文化性などない」と述べた。・・・
 <こ>の投稿に批判殺到=「衝撃的」「偏見に満ちてる・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939382-s25-c30-d0052.html
 <アホな。↓>
 「・・・香港メディアの香港01によると、中国版TikTok・抖音(ドウイン)でアニメグッズ販売店を運営する猫児グッズ店が「呪術廻戦」の関連商品を撤去すると発表した。・・・
 記事は、「僕のヒーローアカデミア」が反中作品と批判された経緯は2020年にさかのぼるとし、「同作品に登場する『志賀丸太(しがまるた)』という名前のキャラクターが、第2次世界大戦中に旧日本軍の731部隊が中国人や韓国人などの捕虜を丸太になぞらえて『マルタ』と呼び、人体実験を行っていたことを想起させると指摘され、この名前が過去の戦争の傷をえぐるものだとして、X(旧ツイッター)上で炎上し、中国や韓国の多くの人々が作品をボイコットする事態に発展。その結果、発行元の集英社と堀越氏が謝罪文を発表した」と説明した。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939390-s25-c30-d0201.html
 <健闘を祈る。↓>
 「サッカー中国代表エース武磊「自分にとってW杯へのラストチャンス、日本と差あるが諦めない」・・・中国スポーツメディアの直播●<(口偏に巴)>・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939355-s25-c50-d0192.html

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太田述正コラム#14424(2024.8.27)
<映画評論117:始皇帝 天下統一(後半)(その1)>

→非公開