太田述正コラム#14398(2024.8.14)
<杉浦重剛/白鳥庫吉/松宮春一郎『國體真義』を読む(その12)>(2024.11.9公開)
「その他吉田松陰、頼三樹三郎<注6)>等、皆大義を唱道した。
(注6)1825~1859年。「頼山陽の子として京都に生まれる。・・・江戸に行き昌平坂学問所に学<んでいた時、>上野不忍池の弁天堂の石灯を倒したかどで46年(弘化3)退寮を命じられたといわれる。同年東北漫遊の旅に出、49年(嘉永2)帰京。家塾を守るかたわら梁川星巌ら尊攘の士と交わり、将軍継嗣問題では一橋派にくみして公卿間に入説した。・・・58年(安政5)水戸藩への攘夷勅諚降下を運動、大獄が起こると9月に連座して捕らえられ、翌年・・・10月7日国家重大の政事向きを論じ天下を擾乱させたとして死罪となった。」
https://kotobank.jp/word/%E9%A0%BC%E4%B8%89%E6%A8%B9%E4%B8%89%E9%83%8E-17894
<その結果、>徳川幕府は倒れて王政一新の世となつた。」(57)
4 松宮春一郎「國體考明論」を読む
「・・・いづれの国家に於ても、人類の最初の結合形式は家族よりも、まづ先きに部族(トライブ)<(注1)>が成立したと言はれるのであります。
(注1)「一定の領域に居住し,共通の文化をもつ人びとの集団。近代国民国家を形成していない集団をさして民族と区別して使われる場合と,いわゆる〈未開社会〉の集団をさして使われる場合などがある。文化人類学では,主に後者の立場から研究対象としてきたが,〈未開社会〉の概念自体が否定されつつあるうえに,民族やエスニック・グループ(エスニシティ)と部族との区分は明確でなく,また差別的意味合いをもつことから,現在ではあまりこの語を使わない。古代民族やその氏族的下位集団をさして使われることもある。」
https://kotobank.jp/word/%E9%83%A8%E6%97%8F
下掲の、それぞれ、部族、と、tribe、のウィキペディアは詳しいが訳が分からなくなる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%A8%E6%97%8F
https://en.wikipedia.org/wiki/Tribe
部族なるものは、各人が己の生存を保護し、己の生存を確実にする為に、他と合体して単一体となり、この強い力をもつて風雨に備へ、猛獣毒蛇の襲来を防ぎ、或はまた他の部族との戦闘に当つたのであります。
固より計画的に仕組まれたといふ程のものではないのであります。
⇒ここまでは、基本的に首肯できます。
漢の時代以降の支那のような緩治社会においては、国家成立後においても部族社会が続きます。
但し、部族は、最初は血縁部族が多いけれど、往々にして地縁と地縁が複合した部族に移行するものであり、それを私は一族郎党と呼んでいるところです。(コラム#省略)
古典ギリシャのクレイステネス改革において、血縁による4部族制から地縁による10部族制へ再編されたことは、それが民主制の導入に資すると考えられた
https://history-link-bottega.com/archives/cat_402400.html
からでしょうが、興味深いものがあります。(太田)
この時代が相当に長く続いた後に、その大家族の中に、今日の所謂家族なる小家族がだん〳〵と生れて来たのであります。・・・
トーマス・ホッブスが「原始社会には個人がない」と言つたのは、これを語るものであります。 」(65)
⇒このくだりの裏付けをとることはできませんでしたが、恐らくは、松宮の勘違いだと思います。
というのも、ホッブスは、夫と妻との関係や親と子との関係すら契約関係だという考え方をしており、
https://www.bing.com/ck/a?!&&p=1573b57660deffdfJmltdHM9MTcyMzUwNzIwMCZpZ3VpZD0xOWJmMDZkZi02YjFmLTZlNmQtMDk0NS0xMjRmNmE2NTZmMjEmaW5zaWQ9NTE5Ng&ptn=3&ver=2&hsh=3&fclid=19bf06df-6b1f-6e6d-0945-124f6a656f21&psq=%e3%83%9b%e3%83%83%e3%83%96%e3%82%ba%e3%81%ae%e7%8d%b2%e5%be%97%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%82%b3%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%83%ab%e3%82%b9%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e5%a5%91%e7%b4%84%e3%81%a8%e4%bf%a1%e9%a0%bc&u=a1aHR0cHM6Ly90b3lvLnJlcG8ubmlpLmFjLmpwL3JlY29yZC8xMzA3My9maWxlcy9kYWlnYWt1aW41Ny1BXzAwMS0wMTkucGRm&ntb=1
文字通りの個人主義思想家だからです。(太田)
(続く)