太田述正コラム#14442(2024.9.5)
<映画評論122:テイキング・サイド>(2024.11.30公開)

 昨日鑑賞した「テイキング・サイド(Taking Sides)」は、「2001年にハンガリーの映画監督サボー・イシュトヴァーンがイギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、ハンガリーの共同制作の形で映画化を行い、翌2002年のベルリン国際映画祭では銀熊賞を受賞した<が、>・・・日本では劇場公開には至らなかった」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89
映画であるところ、日本では上映されなかった、というのは、銀熊賞を受賞していることから、ちょっとした驚きでしたね。
 そういうこともあって、上掲は簡単過ぎて筋まで分かりませんが、下掲に筋が載っています。↓
https://en.wikipedia.org/wiki/Taking_Sides_(film)
 しかし、一番、この映画の筋というか、この映画の狙い、について、的確に説明しているのは、原戯曲の作家であり、この映画の脚本家でもある、(南ア生まれのユダヤ人である)ロナルド・ハーウッドを取り上げた下掲記事です。↓

 Ronald Harwood’s・・・1996 play, now an Istvan Szabo film, pits Furtwängler against a brash fictional American interrogator out to nail “Hitler’s bandleader” in denazification proceedings.
 In the film, Furtwängler (Stellan Skarsgård) insists he remained in Germany rather than cede his culture to the Nazis and that he used his clout to save Jews.
 Maj. Steve Arnold (Harvey Keitel) counters that Furtwängler made only token efforts at resistance while supporting the murderers, including performing at Hitler’s birthday. In return, the maestro enjoyed a lavish lifestyle and numerous mistresses.・・・
 Harwood — who won a screenwriting Oscar for “The Pianist” — said he tried not to take sides while writing the play and the film.
https://jewishjournal.com/culture/arts/8392/

 ところで、この映画の主人公とも言えるフルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler。1886~1954年)は、一貫して意識は作曲家であったのだけれど、売れないのでやむなく指揮者を続けていた人物なんですね。↓

 Although Furtwängler achieved fame chiefly from his conducting, he regarded himself foremost as a composer. He began conducting in order to perform his own works. By age of twenty, he had composed several works. However, they were not well received, and that, combined with the financial insecurity of a career as a composer, led him to concentrate on conducting.
https://en.wikipedia.org/wiki/Wilhelm_Furtw%C3%A4ngler ※

 そのフルトヴェングラーがスイスに「疎開」していた1945年のドイツの降伏より前の時期に作曲したのが、彼の作曲曲中で最も知られているらしい Symphony No.2, in E minor ですが、この曲をYoutubeで聞いてみた
https://www.youtube.com/watch?v=h42QpFZrA0o
ところ、(ながら作業には使えそうですが、)メリハリに乏しくかつ長過ぎる凡作でした。
 やはり、指揮者は、広義の演奏家の範疇に属するテクニシャン以外の何者でもないのであって、名人や達人はいても、大音楽家と呼べるような存在ではないことを、改めて痛感させられました。
 で、彼ですが、戦後ほとぼりが冷めるまでスイスにとどまっておれば良かったものの、ベルリンにやってきたものだから、(映画でもその一端が描かれていましたが、)そのソ連管理地区で「重用」されそうになり、慌てて、その米軍管理地区の当局が、それを妨害するためにフルトヴェングラーを脱ナチ化プログラムの手続きにかけることにしたのが、彼の受難の始まりだったようです。
 本当のところは、フルトヴェングラーは、ドイツのナチス時代においては、粘り強くかつ巧妙にナチ当局に利用されるのを回避しつつ、かつ、ユダヤ人演奏家等の保護等を行いながら、ドイツ国内における音楽文化の灯の維持を期し、それに成功した手練れの政治家でもあった、と言ってよさそうです。
 (事実関係は※によった。)

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太田述正コラム#14611(2024.11.30)
<皆さんとディスカッション(続x6092)/映画評論200:ザ・マミー>

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 なし。

 ウクライナ問題。↓

 <いつまで続けるつもり?↓>
 「・・・ロシアがウクライナに対する戦争を拡大して2年9カ月あまりで、ロシア軍の累計の人的損害は60万~73.5万人強に達すると推定される。 連日の大量の戦死者は、およそ1300kmにおよぶ戦線の大半でロシア軍が攻勢に出ていることの避けられない代償だ。・・・
 ウクライナに対する全面侵攻はロシアの地上軍(陸軍)にとって痛ましい大失敗になって<おり、>・・・2022年と2023年には完全な敗北こそ免れたものの、損耗によって部隊の質は低下した・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e976faa20c69ac187e5118f958245c058a8d16b4

 ガザ戦争。↓

 <あ、そう。↓>
 Israel-Hezbollah cease-fire appears to hold amid violation accusations・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2024/11/29/israel-war-news-lebanon-hamas-gaza-palestine/
 <どさくさにまぎれ。一応イスラム教原理主義者達
https://en.wikipedia.org/wiki/Tahrir_al-Sham
なんだよな。やれやれ。↓>
 Syrian rebels enter Aleppo three days into surprise offensive・・・
https://www.theguardian.com/world/2024/nov/29/syrian-rebels-launch-surprise-attack-on-aleppo
 ・・・The move is the biggest offensive against the Syrian government in years and the first time rebels fighting the forces of President Bashar al-Assad have reached Aleppo since being forced out by the army in 2016.・・・
https://www.bbc.com/news/articles/cly27r5p0yno

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 兵庫県知事問題。↓

 <やってくれなくてよかったー。↓>
 「折田楓氏より前に斎藤知事から「助けてください」と懇願された選挙コンサルタントの後悔 「こんなことなら私がやればよかった」・・・
 信用を回復するためにも、『私は悪くない』と思っているのであれば、正々堂々と表に出てきて説明すればいいんです。『選挙のことをよくわかっていませんでした。社長個人がボランティアでやっていたので大丈夫だと思っていました。世間をお騒がせして申し訳ありません』と言えばいい。それも言えないのだとしたら、やはり何かあるんじゃないかと疑われても仕方がありません・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%8A%98%E7%94%B0%E6%A5%93%E6%B0%8F%E3%82%88%E3%82%8A%E5%89%8D%E3%81%AB%E6%96%8E%E8%97%A4%E7%9F%A5%E4%BA%8B%E3%81%8B%E3%82%89-%E5%8A%A9%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84-%E3%81%A8%E6%87%87%E9%A1%98%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%81%B8%E6%8C%99%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E5%BE%8C%E6%82%94-%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%89%E7%A7%81%E3%81%8C%E3%82%84%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%82%88%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F/ar-AA1uXllM?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=9916c051d76542cc982406471d1d6b9c&ei=11
 <だっからー、その立花ナントカもアブナイ人だっての。↓>
 「・・・百条委員会秘密会から流出した音声データを公開し、県幹部の自殺の原因は斎藤知事にあるのではなく、県幹部が「不倫」の発覚を恐れたためだと主張した立候補者の一人、人気ユーチューバー、立花孝志氏(「NHKから国民を守る党」党首)の影響力は凄まじく、数多くのSNSユーザーによってその“ストーリー”が拡散された。憶測に基づくものとしても、斎藤勝利の決め手はそこにあったとさえ思える。
 むろん、オールドメディアとしては語りたくない事実であろう。斎藤知事を「悪」とするこれまでの報道姿勢を自己否定してしまうからだ。
 このため斎藤氏の勝因を、ボランティアたちによる「SNS」作戦の賜物だと分析してみせるほかなかった。・・・
 折田氏は主要メディアの「SNS戦略の勝利」論に誘い出され、その立役者としての自分をアピールした。しかし、PR会社がどんなにがんばっても、カリスマ性に欠ける斎藤氏をSNS戦略だけで復活させるのは不可能だった。立花氏という荒っぽい“扇動者”が現れたことを抜きにして、兵庫県知事選で発揮されたSNSの威力を語ることはできない。・・・」
https://www.mag2.com/p/news/629917

 ・・・。↓

 「猪口議員「自宅にストーブない」延焼要因の油分反応もなし・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/186165daee223b46600688e3ce6c40ae917a2629
 「・・・視聴者提供として火災の映像を放送。その映像には強烈に燃え盛る炎とともに人影も映り込んでおり、その人影が手を挙げていたり、ベランダ付近を横切って歩いている姿も捉えていた。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c6b078a1e2d0b8dc0cbbb9274209114f33027e8

 日・文カルト問題。↓

 <見出しで日本を引き合いに出すなー。↓>
 「サッカー:パレスチナ戦で引き分けた韓国、FIFAランキング23位にダウン…日本は・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/11/30/2024113080003.html
 <合格。↓>
 「福島原発の町・富岡町で過ごした一夜【朝鮮日報東京支局長コラム】・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/11/26/2024112680149.html
 <日韓交流人士モノ?↓>
 「石破首相、国会演説で「尹大統領と『来年の日韓関係飛躍』意見一致」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/326849
 <文カルト健在。↓>
 「韓国地裁 徴用訴訟で日本企業4社に賠償命令・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20241129002900882?section=japan-relationship/index
 「津波予報の地図になぜ…韓国の教授が日本の気象庁に抗議・・・韓国・聯合ニュース・・・韓国ネット「緻密で卑怯」「裏ではすでに…」・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b944792-s39-c100-d0191.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <邦語媒体より。
 負けるな習ちゃん。↓>
 「日中の超長期国債利回り逆転-中国経済の「日本化」進行懸念・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E6%97%A5%E4%B8%AD%E3%81%AE%E8%B6%85%E9%95%B7%E6%9C%9F%E5%9B%BD%E5%82%B5%E5%88%A9%E5%9B%9E%E3%82%8A%E9%80%86%E8%BB%A2-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%AE-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8C%96-%E9%80%B2%E8%A1%8C%E6%87%B8%E5%BF%B5/ar-AA1uYB4C?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=f1a02c6eaf6148a4bb3aa6b8bf1740ac&ei=68
 <次に人民網より。
 そのお父さんの評価は?↓>
 「日本の阿南惟茂元駐中国大使の死去に中国外交部が哀悼の意・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2024/1129/c94474-20248394.html
 <ここからは、レコードチャイナより。
 健闘を称える。↓>
 「・・・日本メディアの報道として「今年1〜9月における、中国ブランドテレビの日本市場シェアが49.9%に達し、ほぼ半数を占めた」と紹介。・・・もともと東芝のブランドだった「レグザ」を買収した海信(ハイセンス)・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b944774-s25-c20-d0193.html

一人題名のない音楽会です。
 ワルツ小特集を2回に分けてお送りします。
 今回はクラシック編です。

Chopin Waltz in A minor, B 150, Op. Posth 2.37分 ←私が毎回弾いている曲だが紹介したことがなかったので・・。
https://www.youtube.com/watch?v=algM0c_u99k
Schubert Waltz Op. 50 No.31 (1823) 0.59分
https://www.youtube.com/watch?v=16WLJWhMeH8
Schubert Waltz Op. No.18 1.35分
https://www.youtube.com/watch?v=OS3s1Y7OFIw
Liszt Valse de concert sur deux motifs de Lucia et Parisina, S214/3 (Wolfram) 9.44分
https://www.youtube.com/watch?v=N05IXIOO1i4
Isaac Dunaevsky Sentimental Valse 3.04分
https://www.youtube.com/watch?v=BCaOp33xOzc
Nikolay Amani(注a) Valse Triste, Op.5/1 3.06分
https://www.youtube.com/watch?v=hDNOk7a0yUk

(注a)ニコライ・アマニ(1872~1904年)。’Russian composer. ・・・His life was cut short by tuberculosis.’(上掲)

Ivan Laskovsky(注b) Waltz in F minor 2.05分
https://www.youtube.com/watch?v=78cPLiHjBlQ

(注b)1799~1855年。ロシアの作曲家・ピアニスト。国防省の文官。
http://www.mosconsv.ru/museum/english/laskovsky.html

Ivan Laskovsky Valse-Scherzo 6.12分
https://www.youtube.com/watch?v=QZ7MRsheQ1c
Eric Christian(注c) La Valse au Clair de Lune 3.18分
https://www.youtube.com/watch?v=c5DScnVwhG0

(注c)Brooklyn based Composer and Pianist.
https://www.bing.com/ck/a?!&&p=15289349df0b2700302caab70f24c312b0dbc945b01ab7320d288f1e2787474dJmltdHM9MTczMjgzODQwMA&ptn=3&ver=2&hsh=4&fclid=3204d1cd-4871-6146-2f33-c4ff499b60fd&psq=Eric+Christian&u=a1aHR0cHM6Ly9lcmljY2hyaXN0aWFuLmNvLw&ntb=1

Samuel Maykapar Valse Mélancolique Op. 16, No. 11 1.22分
https://www.youtube.com/watch?v=-FTZ6UZs_tI
Émile Waldteufel La Valse au Soirée D’Eté  7.24分
https://www.youtube.com/watch?v=yqUDIdCCxLM
Franz Lehár Vals De La Carta (Letter Waltz) 2.32分
https://www.youtube.com/watch?v=BeCvdwvAThk

 オマケ:Erkay Baktybekの最近アップされた歌唱です。

Look
https://www.youtube.com/watch?v=GIoBcgvH-Lc
Karegingin

https://www.youtube.com/shorts/9DRoa6qo5lE

<太田>

一 タブレット

 J:COM提供のGoogleタブレットも電池が膨れて来ていたわけですが、Amazonのブラックフライデー・セールで
 Fire HDなんてのが、MS Officeが使えて安いなと思ったら、
https://www.msn.com/ja-jp/lifestyle/shopping/amazon%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%BC-fire-hd-%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%8C%E5%AE%89%E5%AE%9A%E3%81%AE%E5%AE%89%E3%81%95%E3%81%A7%E3%81%99/ar-AA1uPpCV?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=f1a02c6eaf6148a4bb3aa6b8bf1740ac&ei=73
 セールとクーポンを使えば大して変わらないお値段ででっかい画面のGoogleタブレットを買える・・しかも、ポイントが普段より多くつくし、dポイントもつく!・・ことが分かり、購入した。
https://www.amazon.co.jp/IPS%E5%A4%A7%E7%94%BB%E9%9D%A2%E3%80%91ODEA-A12-1200%E8%A7%A3%E5%83%8F%E5%BA%A6%E3%80%8112GB-TF%E6%8B%A1%E5%BC%B5%E3%80%818000mAh-T606%E3%80%81%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%8914%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%81GMS/dp/B0DHV9K99Z/ref=cm_cr_arp_d_pl_foot_top?ie=UTF8
 将棋を観戦しなくなってから、タブレットを使う機会が殆どなくなっているが、大画面なら、ピアノ用電子楽譜としても使えそうだと思った次第だが、最大の目的はGoogleスマホの世界を垣間見れることだ。
 とにかく、第一の課題はJ:COMのケーブルTV鑑賞アプリをダウンロード/インストールできるか、だ。

二 dポイント

 一からも、dポイント・アプリへのログインができなくなっているのを解決する必要性に迫られていることから、近々、大森駅周辺のドコモショップ・・予約奨励制・・を訪れて新規ID等を設定してもらうつもりでいる。

          –映画評論200:ザ・マミー–

 今回の、ザ・マミー(英題:Tigers are not afraid)は、’a 2017 Mexican fantasy crime horror film, with elements of magical realism, written and directed by Issa López. ‘
https://en.wikipedia.org/wiki/Tigers_Are_Not_Afraid
であり、麻薬密輸組織/人身売買組織の跳梁下のメキシコがおどろおどろしく描かれている。
 正直、墨米加で高評価を受けた(上掲)理由がイマイチ私には分からなかったが、メキシコ人の昨今の深層心情を的確に剔抉できている、ということかもしれない。