太田述正コラム#14442(2024.9.6)
<映画評論123:最後の忠臣蔵(その1)>(2024.12.1公開)

そろそろ邦画を、ということで、前から目を付けていた表記にしました。
 討ち入りから16年目の出来事を取り上げた、家宮彰一郎の同名小説を原作として、主役(元大石家の用人)を役所広司、ヒロイン(大石の隠し子)(注1)を桜庭ななみ、が演じる2011年の邦画です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E5%BF%A0%E8%87%A3%E8%94%B5_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

 (注1)母親が、大石良雄の妾たる京の商家の娘のお軽(「於可留」「梶」と記す書もある)という設定だが、大石の生前には男児しか生んでいないようなので、仮にそれが事実で、大石の死の当時に2人目を身籠っていなかったとすれば、桜庭が演じた役名「可音」は、完全に架空の存在ということになる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E8%BB%BD ←事実関係

 私は、NHK大河ドラマに出演した女優しか基本的に知らないので、桜庭ななみも初めて知ったのですが、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%9C%E5%BA%AD%E3%81%AA%E3%81%AA%E3%81%BF
その「養母」役を演じる安田成美
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E7%94%B0%E6%88%90%E7%BE%8E
とは全く別の系統の大変な美人ですね。
 美人論を展開したくなったけれど、そこはぐっと堪えて、ストーリー批判に徹しようと思います。
 さて、池宮彰一郎については、私は名前くらいしか知らなかったのですが、「司馬遼太郎を深く尊敬しており、口演にて「日本の小説は私小説が主体であったが、司馬遼太郎の歴史小説は大河的であり、日本の小説の流れを変えた作家であった」との内容を述べている。また、「歴史小説はそれまでの歴史考証にとらわれ過ぎてもならないし、逆に歴史を全く無視してもならない」と述べ、独自の歴史考証を行うことで新感覚の歴史小説を生み出していた。特に『四十七人の刺客』では大胆な考証を多数織り交ぜ、映画化を果たしたこともあり話題となった。作品全体を見れば独自の視点を沢山盛り込んでおりクリエイティブな作家であったが、デビュー時すでに老齢であり作品数には限界があった。さらに晩年、著作の文章の一部に他の作家の作品との類似が指摘され、<種々の>盗作疑惑が持ち上がることとなった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E5%AE%AE%E5%BD%B0%E4%B8%80%E9%83%8E
という人物だったんですね。
 で、この「『四十七人の刺客』は、池宮彰一郎の長編時代小説<で、>「新潮書下ろし時代小説」として1992年9月に新潮社から書き下ろしで刊行。1995年8月に新潮文庫より、2004年4月に角川文庫より文庫化された。第6回(1993年)山本周五郎賞候補、第12回(1993年度)新田次郎文学賞受賞作。
 赤穂浪士討ち入りに至るまでを、主君への忠義といった要素を排して、大石ら赤穂浪士と吉良家・上杉家との謀略戦として描く。・・・
 <すなわち、>己の権勢を誇示するために浅野内匠頭に切腹を命じ、赤穂藩を取り潰した幕府を仇討ちによって、その面目を叩き潰そうと目論む大石内蔵助。吉良上野介をそれから守ることによって幕府の権勢を維持しようとする米沢藩江戸家老・色部又四郎。この2人の謀略戦と大石と一文字屋の娘・かるとの恋を中心にした『忠臣蔵』(赤穂事件)を描いている。・・・
 1994年に東宝製作により同名で映画化された・・・。
 <なお、>細川綱利が赤穂義士を英雄として厚遇したと書かれる『堀内伝右衛門覚書』を、事件から70年以上もたった後に書かれた「偽書」であり、書かれている内容は史実ではないとしている。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%8D%81%E4%B8%83%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%88%BA%E5%AE%A2#%E6%98%A0%E7%94%BB

(続く)