太田述正コラム#14725(2025.1.26)
<皆さんとディスカッション(続x6148)/映画評論252:スーサイド・リーズン 真珠のネックレスをつけた娘>
<TSY>(迷惑メール・フォルダ入りをしていたので一日遅れ紹介(太田))
Times Literary Supplementの20250103号(No. 6353)に、元豪州首相のKevin Ruddが書いたOn Xi Jinping(Oxford UP刊)の書評がでてました(添付します<(省略)>)。
Ruddによれば、Xiはrubric for a perfect socialist society(完璧な社会主義社会実現のための行動規範集成)の絶対的な信奉者だということです。rubric?? 辞書ひきました。語源のとこに、ラテン語の本で、目次にあたるところには、赤いインク(ruber)がつかわれたとこから、目次→ 規範、という意味になったとのこと。
その具体的成分は
- common prosperity
- historical determinism
人-間主義(僕用語では「涕妹(ていまい)の調べ」弱者(昔の相続権のない泣いてる妹)を強者(相続者の長男、為政者含む)が大事に思う)からすると、1は歓迎です。
問題は2。絶対に必然的にXi Jinping=中国共産党の計画が実現する。共産主義が世界体制になるのは歴史的必然というやつです。なるほど、世界が共産主義になるなら、世界の一部である台湾も日本も共産主義になる、なる、ならないは確定的、あとは時間の問題というわけです。
以前の僕なら、2には腹を立ててたと思うし、民青や、共産党色の強い労働組合と具体的に折衝した経験のある人は、この歴史的必然性への確信がうむ、「偉そうな態度」への反感を経験されていると思います。
しかし、太田史観の「日蓮主義」という思想に親しむにつれ、共産党の歴史決定論的唯物史観への嫌悪感は薄れました。なるほど、違う文明・違う価値観の中で、人-間主義社会(日本文明)を維持する、一つの方法は、人-間主義をデファクトスタンダードに昇華させるというのは、よい方法です。それしかないと思えるくらいに。
中国共産党が我々と同じように自己保全を考えるなら、historical determinismを世界に広げるのは、同じように当然のことです。というか当然と感じるようになりました。
文明対決が総力戦だとすると、一応、言論担当と思っているので、中国共産党が一目置くような人-間主義の論を展開するのが目標となります。中国共産党がその論に胸をうたれて、改宗してくれるような論ができれば、さらによし。
布教活動には、相手の立論を学び、それを逆に利用して、相手をやっつけるという手法があります。書評氏によると、Xi Jinpingの共産党が信奉する思想の著述家は、Wang Huningということ。まだ全然知らないので、勉強してみたいと思いました。
ちょっと、いたずら。Googleにかわる、インターネット検索のWebsiteにperplexittyというのがあります。大規模言語モデルのAIを使った検索らしいです。『Wang Huningとはどんな思想家ですか?』 と質問してみました。
なかなかの答えだと思うのですが、太田さんはどう思われますか。
注意) 大規模言語モデルAIのサービスは、質の下落がありえる。私見ではCopilotは昨年12月末のインターフェイス変更とともに、質が著しく劣化した(知りたいことを教えてくれなくなった。CopilotはOfficeの補助役に活躍の場を移したらしい)。perplexityは今日はまだ使えますが、来月、来年という単位では、質の保証はしかねます。
引用開始>——————>>>>————————>>>>——————–>>>
Answer
王滬寧(ワン・フーニン)は、中国共産党の重要な理論家・イデオローグとして知られる政治学者兼政治家です。1955年生まれの王は、以下の特徴を持つ思想家として評価されています:
三代の最高指導者を支える「三朝帝師」:
江沢民、胡錦涛、習近平の3代の総書記の理論構築を支え、「三朝帝師」(三代の皇帝に仕えた師)と呼ばれています23。
政治理論の構築者:
「三つの代表」(江沢民)、「科学的発展観」(胡錦涛)、「中国の夢」(習近平)など、中国共産党の主要な政治理論の構築に重要な役割を果たしました34。
学術的背景:
復旦大学で国際政治学を学び、その後教授として政治学の幅広い分野を教えました。西洋政治思想や比較政治学に関する著作も多数発表しています3。
分析枠組みの提唱:
「歴史―社会―文化条件」という分析枠組みを提唱し、これは王滬寧の代名詞とも言われています3。
政治改革への関与:
1980年代後半、中国で政治改革が進められていた時期に、近代化、政治のリーダーシップ、政治改革などに関する論考を発表しました3。
イメージ戦略の専門家:
最高指導者の政治思想や理論を明文化し、内外に向けたイメージづくりに優れた能力を発揮することから「政治化粧師」とも呼ばれています4。
王滬寧は、学術的な背景を持ちながら、中国共産党の政治理論の形成に大きな影響を与えた思想家として、現代中国の政治思想の形成に重要な役割を果たしています。
引用終了>——————>>>>————————->>>>——————->>>
<太田>
私見では、(過去形で語らねばならないのが残念ですが、)日本文明の両輪であった縄文性と弥生性(縄文的弥生性)のうちの前者は人間主義性であるところ、日本社会の特異性が人間主義もどき・性にある、的な主張をした識者は何名もいることに最近気づき、このところのコラムでこれらの主張を折に触れて取り上げてきていることはご承知の通りです。
(彼らと私の主張との違いは、特異性ではなく普遍性、人間主義もどきではなく(人間以外の生命、ひいては自然を含む)人間主義、という点にあるわけです。)
他方、上記日本文明の総体継受に務めているとの私の中共観については、貴兄も含め、似たような主張をしている人をまだ発見していません。トホホ。
ラッドの言うhistorical determinismが具体的に何を意味するのかは、添付を読めば分かるのかもしれませんが、その言葉面だけを捉えれば、世界史は、日本文明へ、そして究極的にはプロト日本文明(弥生/拡大弥生文明)へと歩んでいる、との(初めて申し上げる)私見に合致しています。
で、私<・・先生ではない!・・>が差し当たり言いたいことは、<下掲の投稿子のように、>中共当局の機会主義的な弥生性的言動に惑わされてはならない、ということです。
<ipsIIv1M>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
中共の奴隷になりたくない。
助けて、太田先生!
<dmN8cqTR>
現在韓国では世論が真っ二つと成っているのは知っての通りですが、地裁襲撃犯の青年の手記から判るのは、尹大統領支持者と李在明支持者の対立といった浅いものではなく、文カルトによる支配構造への認識が広がりつつあり、それ故に和解不可能な深刻な対立が起こり始めているということです。↓
「・・・ソウル西部地裁建造物侵入事件で現行犯逮捕され、21日午後5時頃釈放された青年の手記が、いま韓国で話題を集めている。この手記の中に裁判所侵入の真実が垣間見えるからだ。以下その手記の全文を紹介する。・・・
反国家勢力はまずメディアを掌握しました。政権は税務調査と課徴金を口実に主要人事に介入しました。メディアは、国民が送った公正と信頼の権威を、文化思想的権力に置き換えて情報を統制し、世論を誤導しました。そのようにして少数の加害者は、全社会を沈黙の同調者にし、国家を蝕んでいきました。世代間の分裂を引き起こさせ、個人に自主的成就の代わりに政策的依存を従用し、特定の集団に差別と被害意識を注入してきた大韓民国の恥ずかしい歩みこそがまさに反国家勢力の足跡です。
・・・私は愛国者ではありません。私はただ気分が悪かったのです。偽りの彼らは民主的権力であるふりをし、社会の構成員を欺きました。私たち個々人を思慮分別できない、奪われた主権を自ら復権できない敗者と規定しました。そうでなければありえない国家簒奪の試みです。反国家勢力は民主主義以前に、私個人の理性と自由意志を冒涜しました。私はその点が我慢できないほど気分が悪かったのです。・・・」
https://japan-indepth.jp/?p=86174
そして、ここに来て、尹大統領が示した「不正選挙の証拠」が出回っています。それなりに信憑性の有る内容なので、これは対立の火に油を注ぐ結果と成るのではないかと思われます。↓
「尹大統領が明かした韓国の不正選挙の証拠を韓国人が詳しく教えます・・・」
https://m.youtube.com/watch?v=BapbXdxxX1c
米国が内戦に向かっているという指摘が有りますが、このまま行くと韓国の方が先に内戦に陥るのかもしれません。
漁夫の利を得る北朝鮮の存在を考慮すると、内戦で疲弊した韓国が南侵してきた北朝鮮に併合される未来が想像できてしまいます。
<太田>
北朝鮮(等?)が全世論調査機関をハッキングできているとはさすがに考えにくいので、文カルト勢力/シンパが韓国の相対的多数派で概ねあり続けているのは確かであるとすれば、引用前者の主張は、韓国の民主主義が機能不全を起こしているのではなく、機能している、ないしは、機能し始めている、というだけのことのように私は思います。
ですから、というか、いずれにしても、私が累次主張しているように、韓国は、最低限、大統領制から議院内閣制に切り替えた方がいいでしょう。
また、引用後者の主張は、2024年4月の第22総選挙
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC22%E4%BB%A3%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99_(%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD)
に関するものなのでしょうが、与党の国民の力が45%とっている(上掲)のですから、本当に選挙不正があったかどうかは微妙ですよね。
(2022年の大統領選挙の秋の尹氏の得票率は49%です
https://ja.wikipedia.org/wiki/2022%E5%B9%B4%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E9%81%B8%E6%8C%99
から、大差ありません。)
知りたいのは、尹大統領/与党が、戒厳令発令までの間に、どのように選挙不正の指摘をしてきて、それを韓国の主要メディアがどのように報道してきた・・報道してこなかった?・・か、ですね。※
<太田>
安倍問題/防衛費増。↓
なし。
ウクライナ問題/ガザ戦争。↓
なし。
妄想瘋癲老人米国。↓
なし。
それでは、その他の国内記事の紹介です。↓
なし!
日・文カルト問題。↓
<我が脳死政府が無理やり褒められて、ワタシャ、恥ずかしいわー。↓>
「・・・日本の半導体戦略の舞台裏である半導体戦略推進議員連盟の甘利明会長は2年前、本紙とのインタビューで「40ナノしか作れない日本にとって、2ナノへの挑戦は『夢のまた夢』」とし「日本には最後のチャンス」と話した。成功の可能性が高くて挑戦するのではなく、日本の未来の国家安保にとって必ず必要だから手に入れるというわけだ。一度方向性が決まれば、最後まで推し進める日本は半導体を諦めないだろう。
補助金どころか、週52時間勤務制の例外も認めるよう求めた「半導体特別法」も白紙化に追い込んだ韓国の政治家たちはそうではないようだが、諦めない日本に対して感じるこの不安は、何も記者だけが感じているものとは思えない。」
日本の半導体戦略の舞台裏である半導体戦略推進議員連盟の甘利明会長は2年前、本紙とのインタビューで「40ナノしか作れない日本にとって、2ナノへの挑戦は『夢のまた夢』」とし「日本には最後のチャンス」と話した。成功の可能性が高くて挑戦するのではなく、日本の未来の国家安保にとって必ず必要だから手に入れるというわけだ。一度方向性が決まれば、最後まで推し進める日本は半導体を諦めないだろう。
補助金どころか、週52時間勤務制の例外も認めるよう求めた「半導体特別法」も白紙化に追い込んだ韓国の政治家たちはそうではないようだが、諦めない日本に対して感じるこの不安は、何も記者だけが感じているものとは思えない。」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/01/21/2025012180142.html
<同じく。↓>
「・・・日本は別の理由で米国産LNGに狙っている。目的地制限条項のない米国産LNGを大量に導入し、最近天然ガスの消費が急速に増加している東南アジアや台湾などに再販売して差益を残そうとする下心だ。日本はすでに世界最大LNG輸入インフラも保有しており、世界2位LNG輸入国という地位を利用した価格交渉力も相当ある。近く東アジアのLNG取引ハブに浮上する可能性がある。・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/329070
<このタイトルはオカシイ。↓>
「日本、出生数が初めて70万人割れ…韓国は9年ぶり増加・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/329082
<※関連。↓>
「沈黙していた韓国の20・30代男性、なぜデモに出てきたのか…弾劾反対より危機意識・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/329079
https://japanese.joins.com/JArticle/329080
<メッ。↓>
「「女子高生と30代女性へのわいせつは自身の犯行」大阪旅行中の10代韓国人を逮捕・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/329085
中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
<総体継受、継続中。↓>
「日本で見た・感じた13のこと―訪日中国人・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b947508-s25-c30-d0052.html
「日本人の列の並び方を称賛する投稿に中国人賛否=「感心する」「100人並んでも…」・・・中国のSNS・小紅書(RED)・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b947691-s25-c30-d0052.html
<太田>
一 RX-V4A
昨日、Amazon MusicをかけろとAlexaに呼びかけたら、有料契約しなければダメだめいた返答が。
次いで、取説の「メディアサーバー(パソコン/NAS)の曲を再生する」
https://manual.yamaha.com/av/20/rxv4a/ja-JP/1916826763.html
とやろうとして、「【Windows11】メディア ストリーミン オプションを有効にする方法」
https://paso-kake.com/it/windows11/14772/
までやったが、ここで力尽きた。
そもそも、成功したとて、YouTubeはどうしようもない。
で、取説の「本機にCDプレーヤーなどのAV機器を接続します。」
https://manual.yamaha.com/av/20/rxv4a/ja-JP/1916622603.html
を見て、USB-DACと本機のアナログステレオ端子とを赤白2本のケーブルで繋いだ。
(これは、USB-DACと通常のアンプを繋ぐ方法と同じだ。)
しかし、今朝、試したところ、本機とリアスピーカー2台の電源を全部オンの状態で、全然音がスピーカーから出ない。
改めて取説を見たら、「スピーカー設定」
https://manual.yamaha.com/av/20/rxv4a/ja-JP/1916662283.html
とやらが必要なようなのだが、TVへの出力画面を見ながらこれをやる必要があるところ、ウチではそうなっていないので、お手上げ状態。
明日、東京ガスが太陽光パネル工事事前調査にやってくるので、その時間帯がはっきりしたところで、ヤマハのサポートにこれも聞いてみるつもりだ。
なお、取説の「FMアンテナを接続する」
https://manual.yamaha.com/av/20/rxv4a/ja-JP/1916628363.html
と、「AMアンテナを接続する」
https://manual.yamaha.com/av/20/rxv4a/ja-JP/4584524811.html
をやっておいた。
二 太陽光発電
上述したように、明日は、表記工事事前調査の日だ。
やっぱ、日があたらないってので、パネルの枚数が減らされる可能性がある。
–映画評論252:スーサイド・リーズン 真珠のネックレスをつけた娘–
『スーサイド・リーズン 真珠のネックレスをつけた娘』は2017年の米映画であり、
https://www.videx.jp/detail/cinema/v_c_transworldassociates/ctwa1317_0001/index.htm ←簡単な筋。制作年を2024年と誤記していた!
スタインベックの『真珠』をドラマの暗喩としているという。
https://tv.apple.com/jp/movie/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%B3-%E7%9C%9F%E7%8F%A0%E3%81%AE%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%9F%E5%A8%98/umc.cmc.54thmt3kk82ninkbyc1ao3n4g ←主人公とその自殺した娘役の写真
Geminiに調べさせたものの、原題も、どちらもインド系であるところの、制作陣やキャスト達の英語での名前も、突き止められなかったところ、呆れて、自分でしつこく検索をかけて調べた結果、やっとこさで、脚本/監督の英語での名前(Saila Kariat)と原題(The Valley)が判明し、
https://www.allcinema.net/person/1099155
次いで、主人公を演じたのがAlyy Khan、
https://en.wikipedia.org/wiki/Alyy_Khan
自殺した娘役がAgneeta Thacker、
https://www.naijanews.com/buzz/people/agneeta-thacker-biography/
であること等も判明した。
インド人、パキスタン人、インド系米国人、パキスタン系イギリス人、が共演しているのはご同慶か。
スタインベックの『真珠』は、「ネイティブ・アメリカンで貧しい漁民のキーノはある日、素潜り漁の際に、巨大な真珠を見つける。彼はそれを売って、子どもに教育を受けさせ、貧困から抜け出すことを夢見る。しかし、周囲や商人の意見の真偽を見極められないため、真珠を売れず、強盗団に追われる身となる。そして悲劇が襲う。」
https://bookmeter.com/books/30762
小説だというが、確かにアメリカ原住民もインド系もどちらもIndianではある。
有色人は、米国で真に幸せになろうとしても、白人から足を引っ張られ、結局、失敗するよう運命づけられている、と宣告しているかのような映画であるところ、まあまあ良い出来と言えよう。