太田述正コラム#7813(2015.7.28)
<皆さんとディスカッション(続x2702)>
<太田>(ツイッターより)
 「…日本の外務省幹部は日本経済新聞の記者に対し「中国経済が予想以上に困難に直面していることが、日中関係の改善にプラスになっている」と語った。…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/27/2015072700551.html
 「…上海株式相場が大幅に続落した。…実に8年5カ月ぶりの大きさだ。
 株価下支えを狙った中国政府をあざ笑うかのような急落…」
http://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXLASFL27HHC_27072015000000
 一見平仄が合っているように見えるし、外務省は本当にそう考えてるんだろうが、そんなガセに縋る朝鮮日報、情けないね。
 共産主義者って実は経済主義者じゃないし、中共当局は共産主義すら捨てて久しいんだぜ。
 「…日本の<映画>はアドレナリン過剰のアメリカ映画やメアリー・スーな韓国ドラマに包囲される中、終始特別な花を咲かせ続けてきた。
 淡白な叙事、シンプルな画風、遅すぎず速過ぎることなく語られる些細な人生の智恵。…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0727/c94473-8926532.html
 こう来なくっちゃあ。
<太田>
 関連記事だ。
 「・・・北京大学の共産党学部総支部に呼ばれて「お前はインド語の勉強をやめて日本語をやれ」と言われたのです。・・・
 <天皇も、「軍国主義者」もみんな大好きだったくせに、こういうリクツにしてたんだよねえ。(太田)↓>
 <彼は、>犯罪者は日本の国民・人民ではない。戦争犯罪者はごく一握りの軍国主義者で、これはぜひ分けて考えるべきだ」と、言いました。
 <ここは、ホンネなんだろな。(太田)↓>
 もう一つの理由は、入学した54年は朝鮮戦争(1950年~53年)が終わったばかりだったので、中国はアメリカが日本を再武装して中国とソ連という共産主義陣営にまた戦争をしかけてくる可能性があると心配していたことです。そのため日本語のできる、日本の事情に詳しい幹部を養成しないといけないということでした。・・・
 <「私よりも敬虔な仏教徒、すなわち人間主義者、になるに違いありません」って言ってたとすれば、ドンピシャだったな。(太田)↓>
 <ある時、北京大学を訪問した>ウ・ヌー<ビルマ首相>が<周恩来を前にした>演説の最後に方で半ば冗談のように「我が親愛なる友人の周総理はどうも仏教を信じておらず、ヨーロッパから伝わったある「主義」を信じている。ただこれは周総理の責任ではなく責任は私にある。周総理がビルマに半年か1年くらいおられれば、私と同じように敬虔な仏教徒になるに違いありません」と、おっしゃったんです。・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e4%ba%ba%e3%81%ae%e7%a7%81%e3%81%8c%e3%81%aa%e3%81%9c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e8%aa%9e%e9%80%9a%e8%a8%b3%e3%82%92%e5%bf%97%e3%81%97%e3%81%9f%e3%81%ae%e3%81%8b/ar-AAdzNn5?ocid=iehp#page=2
<勇午>(ツィッターより)
 下記のことは、本当に通説なんでしょうか?
 「国際法の通説は『自国防衛は個別的自衛権、他国防衛は集団的自衛権』。
 自国防衛のための集団的自衛権の行使という考え方は自己矛盾に陥っている」
http://www.asahi.com/sp/articles/ASH7W5RSJH7WUTFK012.html
<太田>(同上)
 特定の国際法の解釈に国際的通説があったとしても、現在のところ、日本の最高裁判例は憲法優位説に立っています
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/950b0b5b82dbf4c61e8b2ca6cae447e4
から、憲法論議の際に国際法を持ち出すこと自体、無意味です。
 ただし、国際法と憲法の関係のように、憲法や法律で規定されていない事柄については最高裁判例に下級審拘束性がありません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A4%E4%BE%8B
 とまれ、私見では、そもそも日本では憲法に規範性がないのですから、現在、国会で行われている憲法論議は、いかなる意味においても全く無意味です。
<太田>
 肝心のご質問ですが、国際法を調べるまでもなく、民刑法上の、すなわち、法の一般概念としての、自衛/防衛(self-defense)に、自己の法益と他人の法益とを区別する発想そのものがない以上、国際法上もないはずですよ。
 暴漢によって危害が加えられた時、その危害の対象が、自分か、自分の子供か、配偶者か、親族か、友人か、単なる知人か、赤の他人か、等によって、守ってもいいとかいけないとか、どこかで線を引くって発想自体がオカシイでしょう。
 関連記事だ。
 「緊急は法を持たない」という趣旨か「憲法に規範性なし」という趣旨か、或いは?
 いずれにせよ、何も咎められるゆえんはないよ。↓
 「礒崎陽輔首相補佐官・・・は26日の講演で、関連法案に関し「わが国を守るために必要な措置かどうかを気にすべきで、法的安定性は関係ない」と述べ、憲法解釈を変更した場合に法的安定性が保たれる必要は必ずしもないとの認識を示した。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20150728k0000m010087000c.html
<eMW62xjk>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
英国に植民地賠償求める動き、インドで加速
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/27/2015072700544.html?ent_rank_news
韓国は、日本とドイツを比べようとするが、本来は日本とイギリスやフランス、ベルギー等の国と比べるのが本当のはず。やっぱり、都合が悪いからだろうな。
<太田>
 関連記事だ。
 インドによる賠償要求に対するイギリス人の反論だ。↓
 全ての帝国は搾取したとさ。↓
 ・・・no empires have pursued tender or altruistic policies.
 Empires happen because of imbalances in environmental opportunities, military and technological power, or capacities for state centralisation.
 Or sometimes all three and more of those. And they always, without fail, pursue policies that benefit the rulers. ・・・
 <ムガール帝国だってそうだった、と。↓>
 This was certainly true of the Mughal Empire which preceded the British. ・・・
 <もとより、搾取されたものが国外には流出しなかったが、とさ。
 (語るに落ちるとはこのことだ。英東インド会社がムガール帝国を乗っ取れたのは、その前に、ムガール帝国がイギリス以外の外国勢力に侵攻され、その富を根こそぎ持って行かれたからだ。バッカもん。近日、開始するシリーズで書く予定。(太田))↓>
 If it is true that it did not necessarily leave India,・・・
http://www.bbc.com/news/world-asia-india-33647422
<檸檬歌曲>
≫日本側が、なんで日本がガス田開発を進めないのか、なんで中共側の合意破りを長期間放置していたのか、恐らくは、採算がとれないってのが根本にあるんだろうが、誰か、ウラ事情に通じてる人、教えてくんない?≪(コラム#7903。太田)
 原油ではなく、天然ガス、つまり気体(メタン)だからというのが一つの答えだと思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%84%B6%E3%82%AC%E3%82%B9
 メタンの沸点はマイナス161.5度なので、それ以下に冷やせば液体、即ちLNG(liquefied natural gas)として船で運ぶことも可能ですが、液化設備・LNGタンカー・受け入れ側のLNGタンクなどなど膨大な設備投資が必要なので、巨大ガス田でなければ採算に乗りません。
 それ以下の規模のガス田は、気体のままパイプラインで運ぶ(or開発をあきらめる)のが一般的選択肢だと思います。
 中国名・春暁ガス田は、寧波の沖合にあり、既に中国側によって海底パイプラインが敷設されています。
http://j1.people.com.cn/2005/04/21/jp20050421_49462.html
 ちなみに、同じ東シナ海の平湖ガス田は上海の沖合にあり、同様にパイプライン敷設済みです。この件に関しては、野田佳彦議員の政経倶楽部における講演記録もあります。
http://www.seikei-club.jp/details/report_17/11.html
 一方、仮に白樺ガス田(中国名・春暁ガス田)などから日本までパイプラインを敷設しようとすると、それが沖縄向けであれ、九州向けであれ、寧波や上海よりもはるかに距離が遠い上に「沖縄トラフ(下掲)」を越えなければなりません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%95
 そんなプロジェクトは現実的に成り立たないので、結局のところ、仮に日本側が白樺ガス田を独自に開発したとしても、最寄りの消費地である寧波や上海への販売ルートは、中国が敷設した海底パイプラインに頼らざるを得ないのが現実です。
 しかもその場合の最終的な買い手は、ほぼ中国資本のプレイヤーしかありえません。
 ・・・という構図の中で、中国側としては、日本にあまり打つ手がないことを見切っていると思われます。
 日本側が東シナ海ガス田の「単独開発」で採算がとれるようにもっていける可能性は、地理的に見て相当に低いということです。但し、ここが重要ですが、中国側も同じ事情とは限らないということではないでしょうか。
<太田>
 沖縄トラフにはひっかからないところの、九州の五島列島方面に向けてパイプラインを設置したとして、支那本土との距離差はさほど大きくなさそうだと思うのですが間違ってます?
 仮にそうだとすれば、人件費以外にも、中共側には東シナ海天然ガス採掘に関してコスト面で優位性がある、と必ずしも言えないのでは?
<MH>
 WP誌記事より
 Where to go to college if you want the highest starting salary?
 もし初任給で高サラリーを欲しいなら何処の大学に行くべきか?
http://www.washingtonpost.com/blogs/wonkblog/wp/2014/09/11/where-to-go-to-college-if-you-want-the-highest-starting-salary/?postshare=3631437879745133
1 College with the highest starting salaries
(Early starting career salary median -for the first~5)
Graduates of the United States Naval Academy at Annapolis earn a median annual salary of more than $80,000 over their first five years, the most of any school included in PayScale’s report; graduates of Harvey Mudd, a liberal arts college that specializes in mathematics and the physical sciences, earn just under $76,000, the second most; graduates of the United States Military Academy at West Point, earn just over $75,000, the third most; graduates of the California Institute of Technology earn just under $75,000, the fourth most; and graduates of the Massachusetts Institute of Technology earn just over $70,000, the fifth most.
 卒業後、5年までの中間値。
1位:アナポリス米国海軍士官学校の卒業生は、最初の5年間で80,000ドルの年俸、PayScaleのレポートに含まれる任意の学校の殆どよりも稼ぎます。
2位:ハービーマッド、リベラルアーツカレッジ。数学と物理学を専門と教養大学の卒業生、76000 ドルを稼ぐ、
3位:ウェストポイントでアメリカ陸軍士官学校の卒業生、75000ドルを稼ぐ、
4位:カリフォルニア工科大学の卒業生は75000ドルを稼ぎます。
5位:マサチューセッツ工科大学の卒業生は、ちょうど70,000ドル以上を稼ぎます。
 意外にも、海軍士官学校は初任給が一番良いのですね。他の陸軍、空軍士官学校もベスト10内なのが驚き。
 一般の学校で一番稼ぐのは
Harvey Mudd college
http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges/harvey-mudd-college-1171
15位
 有名なリベラルアートカレッジでクレアモント大の8校の一角
http://www.claremont.edu/
 SATスコアでほぼ満点取らないと入学できない「最も難しい」学校みたいですね。
http://www.ryugaku.ne.jp/search/data?scid=1100583
 学生も508人と少数人数主義の学校。
2 College with the highest mid career salaries
(median for the first-10 +years)
 卒業後、10年までの中間値
1位:Harvey Mudd college
2位:アナポリス海軍士官学校
3位:MIT
4位:Colgate university
5位:Stanford university
 4位で出てきたColgate university
http://www.colgate.edu/
http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges/colgate-university-2701
 順位22位
http://www.ryugaku.ne.jp/search/data?scid=1100298
 上記のHarvey Muddほどではないですが、SATで600~800点取得しないと入学できない、もっとも難しい大学。
3 Colleges greatest salary growth
1位:Haverford college
2位:Carleton college
3位:Washington Lee university
4位:Colgate university
5位:Tufts university
 5位以外は1~3位は聞きたことが無い大学ですね。
 Haverford college
http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges/haverford-college-3274
 ランク8位
http://www.ryugaku.ne.jp/search/data?scid=1100781
 最も難しいとありますね。
 SATで600点以上取らないと入学不可能です。
 その名門ハバフォードに入学した日本人の学園ライフレポートとカリキュラム説明
http://www.agos.co.jp/news/report/nomura/
<太田>
 大学の学部を卒業しただけ、というのは、米国では高学歴とは言えません。
 (日本で言うならば、短大卒程度って感じですかね。)
 どこの大学のプロフェッショナルスクールや博士課程を卒業しているかが重要です。
 従って、その後の学歴が無学歴を含め多様だというのに、学部卒時点で切って、給与の相互比較を行っても余り意味があるとは思えません。
 単なる余興記事でしょう。
<wITDQfws>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
メルマガ二つあるけど違いはなんなん?
http://www.mag2.com/m/0000101909.html
http://www.mag2.com/m/M0080760.html
<太田>
 前者はパソコン用、後者は携帯用。
 後者は、コラムをぶつ切りにして、容量を減らしてるの。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 アングロサクソン文明の日本文明に対する優位を信じ込んでる、トホホなウッドフォード。↓
 「・・・ウッドフォード氏は日経について「企業と親密で、かつ、企業に頼っている」と批判。「日本企業の不正を暴露したい人は今後、FTには行かないだろう」と述べた。日経新聞は、11月8日にオリンパスが損失隠しを認めるまで疑惑を大きく扱わなかった。ウッドフォード氏は「ソーブル記者に会って数時間のうちにFTが疑惑を報じたのとは対照的に、日経はその後も長く、オリンパスのPR事務所のように行動した」と述べ、「日経は、日本の大企業への批判の先頭には立たない。その観点では日本メディアの中で最悪だ」と批判した。「もし当時、FTが日経に所有されていたら、私は、FTではなく、ニューヨーク・タイムズかウォールストリート・ジャーナルに行っただろう」とも語った。
 買収について企業経営者としてどう見るかと問われると、ウッドフォード氏は「経常利益2400万ポンドのFTに日経は8億4400万ポンドを払う。円が安いときに払い過ぎだと思う。理屈が通らない。また、日本人は、FTのような自由な気風の下で働く西欧人を管理するのが不得意で、それも日経にとっては問題だ」と批評した。
 <FTは給料が安かったのね。今後改善されることになるだろうて。ウッドフォードとは違って、ソーブルは、少なくとも文明の対等性を認めてるからエライね。(太田)↓>
 一方、昨年10月にFTからニューヨーク・タイムズ東京支局に転職したソーブル記者は 「日経傘下のFTであってもオリンパスのスキャンダルを報じただろう」とツイート。取材に対して「人員削減がなく、新規の投資もありそうなので、FTが日経に買収されたことは、FTのジャーナリズムの質の観点からもメリットがある。日経を通してFTの報道に介入しようとする日本の権力者がいたときに日経がどう対応するのか、日本に関する報道については少し心配だが、日経はFTを『日経化』しようとは思っていないでしょうから、過度に心配する必要はないと思う」と語った。・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASH7W532ZH7WULZU00N.html?iref=comtop_6_02
 あーあ、嘆かわしい。↓
 「「河野発言は重大な問題」と非難 韓国、米国の慰安婦像設置「日本の名誉を毀損」 自民党提言の最終案判明・・・」
 ただ、戦時中の慰安所の設置については「根本的に女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」とも指摘している。」
http://www.sankei.com/politics/news/150728/plt1507280005-n2.html
 Hanya Yanagihara(コラム#7553)についての、超長文の好意的紹介だ。↓
http://www.theguardian.com/books/2015/jul/26/hanya-yanagihara-i-wanted-everything-turned-up-a-little-too-high-interview-a-little-life
 世界的にキリスト教徒受難の時だとさ。
 (いい気味だ、と言うと言い過ぎだが・・。
 とにかく、迫害する側も含めて、全部消えてなくなって欲しいよ。
 (但し、英国教系(迫害される側)と中共当局(迫害する側)は赦す。)(太田))↓
 Christians are facing growing persecution around the world, fuelled mainly by Islamic extremism and repressive governments, leading the pope to warn of “a form of genocide” and for campaigners to speak of “religio-ethnic cleansing”.・・・
  as many as 200 million Christians in over 60 countries around the world face some degree of restriction, discrimination or outright persecution”. That is about one in 10 of the 2.2 billion Christians in the world. Christianity remains the faith with the most adherents.・・・
http://www.theguardian.com/world/2015/jul/27/dying-for-christianity-millions-at-risk-amid-rise-in-persecution-across-the-globe
 <「主要」国別迫害状況が載っている。↓>
http://www.theguardian.com/world/ng-interactive/2015/jul/27/where-in-the-world-is-it-worst-place-to-be-a-christian
 <中共じゃあ、このところ、当局によって、1200本もの十字架が非公認教会の屋根から引きずりおろされたとさ。↓>
http://www.theguardian.com/world/2015/jul/27/chinas-christians-protest-evil-communist-campaign-to-tear-down-crosses
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太田述正コラム#7814(2015.7.28)
<2015.7.25東京オフ会次第(その4)>
→非公開