太田述正コラム#7933(2015.9.26)
<皆さんとディスカッション(続x2762)>
<太田>(ツイッターより)
来館者数がルーブルに次ぐ2位の、大英博物館が史上初めて外国人・・ドイツの美術史家・・を館長に指名。
同博物館で今まで外国人が就いた最高ポストは附属図書館長(イタリア人:1856~66年)だったとさ。
http://www.theguardian.com/culture/2015/sep/25/german-art-historian-first-foreign-director-british-museum-hartwig-fischer
これで少しはドイツ人株も持ち直すか?
<khJF4bME>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
車の排ガス試験で「抜け穴」要求、独仏英がロビー活動か 文書流出
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150925-00000024-jij_afp-bus_all
本当だとしたらEU全体がグル?
<太田>
ふんじゃ、これも怪しいなあ。↓
「VW、「最新ディーゼルに不正なし」…欧州自工会も同様の見解・・・」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150924-00000048-rps-bus_all
<xiC9PL1U>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
【VW匠の技】似非クリーンディーゼル技術の極みを検証してみた
http://shimesaba.dyndns.org/?p=24043
日経の記者はVWに同情的?なようですが、それはナンセンス。
グラフをよく見れば、実際の走行モードの数値が悪すぎて、素人が見てもインチキだと分かります。
これが、エンジンの「最適化」なら、その悪質さは「凄まじい」と言ってよいでしょう。
<nLzBovq6>(同上)
国際機関が発表「クリーン・ディーゼルは実際はクリーンではない」
http://nge.jp/2015/04/21/post-102152
欧州では「ごまかす」必要すらない、排ガス検査のための小細工は合法
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NV6QZY6K50XX01.html
メーカーと政府がグルになって偽善としか言いようのない環境保護パフォーマンスを演じていたわけですね。
皮肉なことに、ガソリンが安すぎてディーゼル車の出る幕のないアメリカで悪事が露呈したわけです。
欧州では、検査がザルだったので、アメリカでもばれないという確信があったのではないかという気がしますね。
<http://shimesaba.dyndns.org/?p=24043>のコメント欄にあるように、F1やルマンの伝統がある欧州では、車の走行性能に対する信仰があつく、HVのような走りがイマイチの車は売れない。
一方で、環境保護の先頭ランナーの自覚もある。
この乖離の中で、ディーゼル車が持つ本来の欠点(NOx)から、意識的に目をそらしていたのでしょう。
<太田>(ツイッターより)
「…ヨーロッパでは…20年前から、ディーゼル車の普及を補助金などの優遇措置で後押ししてきた…<また、>フランス、イタリア、ドイツなどのディーゼル車の主要マーケットでは、ディーゼル燃料はガソリンと比べ10~20%低価格だ…。これは、ガソリンと比べ課税額が大幅に少ないためだ…」
http://news.infoseek.co.jp/article/newsphere_25724/
欧州文明の中軸たる仏伊独は、それぞれ、ナショナリズム、ファシズム、マルクシズムを生み出し世界に害悪をまき散らしたが、欧州の没落後、最後っ屁として、世界に公害ディーゼル車をまき散らしたってわけだ。
これで、英国のEU離脱も決定的?
<o7HgAI9A>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
「もうひとつ日本のメーカーは大丈夫なのだろうか?・・・(中略)・・・特に日本では国交省や都による抜き取り検査が行われているため、不正をすれば早期に摘発される。」
「もはや何を信じたらいいのかは分からないので絶対とは言わないが、順当に考えられる限り、ここまでやって規制に引っかかるとは考えにくい。マツダのディーゼルシステムは日本のデンソー製だ。長年にわたって日米の厳しい排ガス規制を潜り抜けてきた会社だけに、正攻法でクリアできていると考えていいと思う。ちなみにデンソーのシステムを使うのは他に、トヨタやボルボ、ジャガー・ランドローバーなどだ。」
http://thepage.jp/detail/20150925-00000003-wordleaf
ところで、国内の普及推進団体は今のところ何の声明も出してないみたい。
米国の団体は出した。
http://www.cleandiesel.gr.jp/buy_cd2012.html
http://response.jp/article/2015/09/25/260646.html
<太田>
関連記事だ。
丸っきし信用できないね。↓
「BMW、「X3」のNOx排出量疑惑について声明を発表・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/10632530/
それでは、その他の記事の紹介です。
はい今日も日本ヨイショ。↓
「中国の実写版「ドラえもん」 日本ネットユーザーに大受け・・・」
http://j.people.com.cn/n/2015/0925/c94473-8955370.html
米国が習ちゃんの取り捲きと個人的関係を築こうとしても相手にされないとさ。
(支那人は、もともと、米国が大っ嫌いなんで、前よりもおだてる必要がなくなった現在、米国人なんて相手にしたくないってだけのことだよ。(太田))↓
<毛沢東の時の周恩来のような人間がいないし、いずれにせよ、相手にされないって。↓>
・・・In past decades, foreign officials could speak with senior Chinese officials or aides and trust that those people were proxies for their leaders. The most famous example is Zhou Enlai, the Chinese premier under Mao, with whom Henry A. Kissinger secretly negotiated the United States-China rapprochement.
With Mr. Xi, those channels do not exist.・・・
The refusal of Mr. Xi’s inner circle to develop ties with Western officials is consistent with a fundamental belief that has become widespread in the system here — namely that Western ideas and influences will undermine the Communist Party and lead to a “color revolution.”
<国内外に敵を抱える習ちゃんがガードを固くしてるんだろ、とさ。↓>
“If the party thinks it’s besieged by external and internal forces, the natural human reaction is to bring your organization more tightly together to reduce the flow of information to the outside,”・・・
<そもそも、習ちゃんは、自分で判断する、とも。↓>
There is also broad agreement that Mr. Xi keeps colleagues and advisers — especially technocrats in state ministries — at more of a distance than other Chinese leaders did and that he relies mainly on his own knowledge and instincts in making decisions.・・・
http://www.nytimes.com/2015/09/26/world/asia/xi-jinping-china-president-inner-circle-western-officials.html?ref=world
懸命に対米を意識したところの、軍事技術向上に努め続けている中共。
(軍人の錬度低いまんまだから、技術に頼らざるをえないって面もあるでー。(太田))↓
・・・On September 15, 2015, China successfully test fired its latest iteration, the PL-15, firing from a fighter to destroy a target drone.・・・
BVRAAM, the radar guided, PL-12, which reportedly has a range of approximately 100km. ・・・
http://atimes.com/2015/09/chinese-air-to-air-missile-hits-targets-spooks-usaf-general/
ロシアの昨今の対外政策を突き動かしているものは何かについて、アメちゃん3人の書いた本を月旦したコラムだ。
(私の説がイチバンもっともらしいで。バカバカしくて、それぞれを紹介する気にもならんかった。(太田))↓
https://www.washingtonpost.com/opinions/searching-for-the-roots-of-russias-aggression/2015/09/25/eede14a4-5713-11e5-b8c9-944725fcd3b9_story.html
先の大戦中を含め、長く駐英ソ連大使を務めたユダヤ系ロシア人の日記の英訳が解説付きで出版された。↓
<チャーチルは、彼のポン友になっちゃってて、夜、時々官邸に招いては酒を酌み交わしてたらしい。
ローズベルトを嗤えんぞ。ボク、ますますチャーチルを軽蔑する度合いが強まったぞー。(太田)↓>
・・・Maisky admires Churchill, with whom he had carefully established a warm relationship as early as the mid-1930s, when the future prime minister was the nation’s main anti-appeasement voice. These efforts stood Maisky in good stead in the war years, when he had regular meetings with Churchill, who would sometimes summon him late at night to Downing Street. There, clad in a dressing gown and on one occasion looking as if he had had “a drop too much whisky”, Churchill would chew the fat with Maisky.
<この大使、チャーチルが耄碌していくのを衷心から心配してたんだわ。彼、ひいてはソ連の親友だったチャーチルだもんな。(太田)↓>
“Churchill is definitely growing old,” Maisky writes in February 1943. “Yesterday he lost the thread of our conversation several times and, turning to Eden, asked with impatience: ‘Remind me — what were we saying?’ I hope Churchill will last till the end of the war. It’s very important. England needs him. We need him too.”・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/306e0a7e-6078-11e5-a28b-50226830d644.html#axzz3miO6yxAd
エドマンド・バークの評伝がまた出た。↓
<専制への抵抗権、「良い」意図による征服、を肯定。
(そこまではよろしい。(太田))↓>
・・・Burke’s moral complexities also typified the philosopher-statesman of his times. He supported the right of resistance to tyranny but upheld the authority of empire. He was committed to the rights of conquest but deplored the “spirit of conquest”. He defended the rights of imperial sovereignty but condemned the standing policies of British colonialism and the East India Company.
<米独立革命は支持、フランス革命は反対。
(前者はオカシイ。これだけでバークは全くダメ。(太田)↓>
Most controversially, he championed the American Revolution of 1776 but scolded its French equivalent in 1789.・・・
<経験論に立脚した啓蒙主義者。(これはよろしい。(太田))↓>
Burke accepted the limitations of human knowledge and the volatility of individual judgment. Yet he was never hostile towards the bards of Enlightenment reason. Instead, as Bourke writes, he “saw himself as promoting enlightened ideals from within a sceptical Anglican tradition”. Rather than pure reason, Burke looked to artificial reason: arguments should proceed not from abstract norms, but “artificially” on the basis of experience and empirical fine-tuning.
Burke saw the limitations of human knowledge but he was never hostile towards Enlightenment reason・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/d9214956-62b2-11e5-9846-de406ccb37f2.html
何度聞いても結構なことであるな。↓
「コーヒーを毎日飲んだほうが健康にいい理由(研究結果)・・・」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/21/coffee-may-decrease-diabetes-risk_n_8173860.html
なのに、どうして、いまだに人間の、というか、その前提たる、動物の体細胞の不死化に成功しないのよ。↓
「・・・無限に増え続け、生き続けるヒトの「正常」な細胞が実在している。それが・・・がん細胞・・・胚性幹細胞(ES細胞)・・・人工多能性幹細胞(iPS細胞)・・・だ。・・・」
http://www.sankei.com/west/news/150926/wst1509260003-n1.html
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一人題名のない音楽会です。
チェロの5回目です。
今回は、名曲が少ないのが残念です。
Beethoven Cello Sonata No. 3 in A major, Op. 69(1808年)(注) チェロ:Paul Tortelier ピアノ:Eric Heidsieck) 佳曲。
https://www.youtube.com/watch?v=GFfGHUiuous
Cello Sonata No. 1、2(以上、Op.5)、3、4、5(以上、Op.69) チェロ:Rostropovich ピアノ:Richter 00:00、23:20、52:27、1.20:12、1.35:48 これはよほどヒマな方のため。3番以外の4曲がいかに駄作揃いかってこと。殆んどハズレがないショパン・・人生も短かったが・・のスゴさが分かろうというもの。
https://www.youtube.com/watch?v=RZYxdl3OhJk
(注)ベートーベンの「5曲のチェロソナタのうち、最も広く知られているのが・・・第3番」」であり、「以前のチェロとピアノのためのソナタは、実質的には「チェロ伴奏付きのピアノソナタ」であった[ところ、この曲において、]歴史的に初めてチェロはピアノと対等な役割を与えられた」。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)
https://en.wikipedia.org/wiki/Cello_Sonata_No._3_(Beethoven) ([]。日本語ウィキペディアの誤りをこれで是正した。)
Edward Elgar’s Cello Concerto in E minor op 85(1919年)(注a)、Sospiri op 70(1914年)(注b) チェロ:Sol Gabetta 指揮:? オケ:Danmarks Radio それぞれ、佳曲、名曲。
https://www.youtube.com/watch?v=nN0E6AupTBw
(注a)1960年代にJacqueline du Pre がレコードを出すまで不人気が続いた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Cello_Concerto_(Elgar)
(注b)ため息。「弦楽合奏とハープ(またはピアノ)、オルガン(またはハーモニウム)のための楽曲」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%81%E6%81%AF_(%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC)
というのだから、ハープ/ピアノ/オルガン/ハーモニウムの代わりをチェロにやらせた、ということか。
Debussy Cello Sonata(1915年)(注) チェロ:Mischa Maisky ピアノ:Martha Argerich 佳曲。
https://www.youtube.com/watch?v=8pmZRV3qRlA
(注)「作曲者の最晩年の作品」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF_(%E3%83%89%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%BC)
(続く)
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太田述正コラム#7934(2015.9.26)
<中共が目指しているもの(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2762)
- 公開日: