太田述正コラム#10045(2018.9.2)
<2018.9.1東京オフ会次第(続)>(2018.12.18公開)
komuro:(コラム#10044参照。)
O:とにかく、殆どの省庁でインチキやってたというのだから、非倫理的、非論理的としか形容のしようがない。
財務省で起こった文書書き換えにしてもセクハラにしても常軌を逸している。
日本の中央省庁の劣化は深刻だ。
B:私は、出向先で、自衛官達と一緒に仕事をしたことがあるが、彼らは、口々に、内局の文官達を批判し、仕事がはかどらない、とこぼしていた。
O:防衛省/自衛隊は、生まれも育ちも異なる二つの集団が同じ組織の中でせめぎ合うことで、機能障害が起きるように制度設計されている、ということだ。
同じく、生まれも育ちも異なるところの、政治家が官僚達(自衛官達を含む)の上司になる、ということに関しては、基本的に問題はないのだが・・。
とにかく、自衛隊は使わないのだから、自衛隊が機能する必要はない、いや、機能はさせないのだ、という考え方が、制度設計に反映されているのだ。
だから、自衛官出身の佐藤某議員のように、せっかく、自分が属している派閥が石破支持を打ち出したというのに、そんな防衛省/自衛隊の状態を恒久化しようという、安倍改憲、を唱えている安倍チャンの支持を表明する、なんてのは、トンデモないわけだ。
C:バーデンバーデンの密約なんて、単に、飲み会で気炎を上げた、という程度のことなのではなかろうか。
O:言えてる。
D:対英のみ開戦に杉山が最後までこだわらなかったのはどうしてなのか。
O:せっかく、駐日英国大使が、日本が対英のみ開戦をする可能性があった、とおっしゃっておられるというのに、誰もきちんとした裏付け検証を行っていないように見受けられるのは、残念で仕方ないが、私にも分からない。
D:このところの、諸オフ会「講演」原稿は、どうやって書いているのか。
O:ほぼ、毎日、思いついたことを書きとめておき、最後になって、これら断片群を整序して繋ぎ合わせる、というやり方だ。
ところで、あなたは、太田コラム・ファンにどうしてなったのか。
D:自分は理系だが、文系の人達が書くものは、どうも、しっくりこない。
太田さんは理系的に物事を考えている。
世の中はシンプルな原理で動いていると見ているし、仮説を立ててその仮説を事実によって検証していこうとするし、補助線を引いてみようともする、等々。
E:太田さんの昭和天皇への評価が下がってきているように感じたが・・。
O:そんなことはない、昭和天皇が、弥生モードから縄文モードへのモード転換を示唆した、と指摘しているのだから、それで十分過ぎるくらい高い評価をしていると思っている。
杉山元だって、この示唆を所与のものとした。
その結果、彼は、島津斉彬コンセンサスの残された2目標の前倒し早期達成を追求せざるをえなくなったのだから・・。
この杉山だが、軍務局軍事課長時代に、このように考え、遂行計画を概成したのではないか、と私は見ているわけだ。
陸軍省軍務局は、戦前の全中央省庁の局の中で最も重要な局であったとされているが、その筆頭課である軍事課もまた、その所掌からして、全中央省庁の課の中で最も重要な課であった、と言えよう。
陸軍の、全ての基本的情報がそこに集約され、全ての基本的決定がそこから出ていくのだから・・。
但し、その課長たる軍事課長が、どれだけ仕事をやれたかは、課長本人の能力に極端に左右される。
私の在職当時の、防衛庁防衛局の歴代防衛課長達を見ていてそう思う。
(ご存知のように、戦後の防衛庁とは、比較にならないほど、戦前の陸軍省は、政府において、いや、日本において、重要な省だったことを思い出して欲しい。)
真崎は無能だったので仕事を碌にやれなかったが、杉山は有能だったので仕事を十二分にやれたはずだ。
E:岩畔も、杉山のような軍事課長だったのだな。
O:その通りだ。
但し、岩畔は若過ぎた。
で、残念ながら、杉山的な存在になる前に陸軍が亡くなってしまった。