太田述正コラム#10300(2019.1.8)
<皆さんとディスカッション(続x3946)>

<太田>(ツイッターより)

 「…ASEAN…加盟10カ国の識者に行った意識調査で、国際平和と安全保障、繁栄、統治に「正しい行動をとる」と「信じている」との回答を得た主要国・地域は、日本(65.9%)、欧州連合(EU、41.3%)、米国(27.3%)、インド(21.7%)、中国(19.6%)の順だった。…
 東南アジアで「政治的かつ戦略的」に最も影響力があるとみられているのは中国(45.2%)で、米国(30.5%)を大きく上回った。…
 また、経済的に最も影響力があるとの回答でも、中国(73.3%)が存在感を示し、米国(7.9%)や日本(6.2%)を大きく引き離した。」
https://news.infoseek.co.jp/article/sankein_wor1901070009/
 東南アジアじゃ、道義では日本、力では中共、米国は無。

 「ゴーン容疑者…意見陳述…」
https://blogos.com/article/349770/
 新生銀行がゴーンによる個人保証を受け入れなかったのに、この債務に関して、日産にゴーンによる個人保証を受け入れさせた上で引き受けさせたこと自体が特別背任だし、ジュファリへの支払いが業務への対価である具体的根拠もあげていない。X。

<arQqOt5x>

≫・・・そう思いたい気持ちは痛いように分かるけど、この主張は誤りだ。どうしてかを指摘してたもれ。≪(コラム#10298。太田)

 日本の場合は、冷戦終結と縄文モード深化による自発的な経済成長推進路線の放棄に、好景気の30年サイクルの終わりが重なっただけ。
 ソ連の場合は、帝政ロシア時代から続く体制(武人の時代)の末期(一つの体制は大体、270年位しか続かない)に、無理に米国の軍拡に付いて行こうとした結果の自滅。
 今の支那は、辛亥革命から100年しか経っておらず、体制の寿命の半ばにも達していないので、経済サイクルによる一時的な落ち込みは有っても、体制の崩壊は無い。
 対して米国は、建国から240年以上経過しており、資本主義・民主主義体制の崩壊にさしかかっている。

<太田>

 「好景気の30年サイクル」や「一つの体制は大体、270年位しか続かない」の典拠は?

<c4kwlyYI>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 「中国自動車市場の展望・・・
 2016年のデータによると、中国の2016年の自動車販売台数は2803万台で、世界の2番手(米国)、3番手(日本)、4番手(ドイツ)の三つの国の自動車市場の合計販売台数より、また5番手から20番手までの16ヵ国市場の合計販売台数より多くなったという。・・・
 ところで自動車先進国の保有台数(米国を除き600台/千人)と比べ、中国の自動車保有台数が131台/千人に過ぎないこと、また、自動車販売台数の中で乗用車の販売台数が商用車よりやや少ないこと、マイカーの比率及び自動車販売の重点地域が購入制限実施の大都会より中小都市に移っていること等を考えると、専門機関の試算によれば、中国自動車市場全体としてはまたプラス1400万台の余地があり、また専門家によるといずれ4200万台の市場規模になろうという。・・・」
http://www.spc.jst.go.jp/hottopics/1810/r1810_chenx.html
 米自動車市場は20年近く、景気の変動に左右されて1200から1800万の数値をウロウロしている。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDC04H0H_U7A700C1MM0000/
 主要な産業でこれほどの物量差をつけられるのだから、中国がGDPでNo1にならないほうが不自然だよな。

<Chase>

 Qの範囲が掴めておりませんが、”競争原理が働く政治や経済の仕組みより中央集権体制の利点を過大評価すること”については、中共の経済体制は単なる中央集権体制ではなく、1979年にエージェンシー関係の重層構造からなる日本型経済体制を採用したことによる経済の急成長であること、ということでしょうか。

(転載はじめ)
中国政府は1978年に経済の非集権化のために策定した「権限委譲、利益譲渡」の改革計画を実行した。都市部の地方政府と企業に加えて、農村部の生産部隊にも自主性(「権限」)とインセンティブ(「利益」)をもっと与えるものだ。
(中略)
企業改革は1978年12月の11期三中全会が召集される前に、まず省党委書記の趙紫陽が率いる四川省で試みられたが、79年には国策になった。目的は、主として経営上の意思決定権の大部分を政府から企業へ移すことで、民営化はしないで国有企業にもっと自主権をもたせることだった。
(中略)
1979年の改革は、中国共産党組織を、経済面において、私の言う固い組織から、エージェンシー関係の重層構造からなる(いわゆる中間組織的な)柔らかい組織へと作り変えることを目的としたもの、と捉えることができます。  まさに、日本型政治経済体制の経済体制部分の採用です。
(転載おわり)

典拠
https://www.ohtan.net/blog/archives/6711

<太田>

 以上お二人の指摘に加えるとすれば、中共人民の日本並みの生活水準に達したいという願望、中共人民の人間主義化はまだ途上であること、すなわち、縄文モード化による欲望の昇華の境地に達するのは相当先だと思われること、ですかね。

<太田>

 録画してあった、komuroさんご推奨の「ピアノの森」(コラム#10298)を本日鑑賞したのですが、その後で気が付いたのは、第1話しか録画されていなかったことです。
 今後、気を付けねば・・。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 こんなハナシ、知らなんだ。↓

 Snoozing on the job: Japanese firms tackle epidemic of sleeplessness–Companies offer napping at work as lack of proper rest is estimated to cost economy $138bn a year・・・
https://www.theguardian.com/world/2019/jan/08/snoozing-on-the-job-japanese-firms-tackle-epidemic-of-sleeplessness

 ちょいと気になる二つの宣伝。

 「足が自然に蹴り出せて疲れにくいヨネックスの人気シューズが登場・・・」
https://www.sankei.com/economy/news/181017/ecn1810170012-n1.html?utm_source=taboola&utm_medium=exchange_02
 「日本唯一のビニール傘専門メーカーならではの発想と開発力が産んだ究極の折りたたみ傘。・・・」
https://sankeishop.jp/ITEM/ns202965-00001-00000

 とにかく、早く、何かやれっての。↓

 「強制徴用:「日本政府、韓国に『トランプ流報復関税』検討」・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/01/08/2019010880031.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/01/08/2019010880034.html

 そんなもん、常識やけどな。↓

 「・・・現代の日韓両国の多くの人は、韓国軍の基礎を作ったのもまた「日本軍」だという事実を知らない。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/15841122/

 習ちゃんも大変だな。
 対外的には、トランプと戦い、対内的には、アングロサクソン心酔者や欧州心酔者と戦わなきゃならんもんね。↓

 「中国・北京大の元教授が、中国共産党は政治体制改革を怠っていると非難し「歴史の舞台」から退場するよう迫る文書を公表、波紋を広げている。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019010701001667.html
 The Chinese government’s crackdown on Marxist study groups at university campuses has intensified to an unprecedented level, with several student advocates being arrested on dubious charges in Beijing, Nanjing and Guangzhou.・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2019/01/08/2003707535

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <人民網より。
 日中交流人士モノ。みずほよ、頑張るのだよ。↓>
 「中日企業間交流・連携を深め新たなサービスの創出を 岡豊樹氏・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0107/c94476-9535412.html
 <日本に行けキャンペーンの一環とも言えるが、中共人客に焦点をあてないのはサスガ。↓>
 「北海道に大雪、新千歳空港で約2千人が足止め・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0107/c94475-9535297.html
 <日本に学べキャンペーン。↓>
 「日本における未来のコンビニとは?・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0107/c94476-9535243.html
 <ここからは、サーチナより。
 日本へ行けキャンペーンの一環。ひょっとして使いまわしだったか。↓>
 「ご利益大好き中国人ツアー客、太宰府にある「触るとご利益」の御神牛に長蛇の列を作る・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1674288?page=1
 <この材料は意外に初物?↓>
 「中国メディアの一点資訊は・・・「日本ではなぜビルの壁にエアコンの室外機を設置しないのか」と、疑問を投げかける記事を掲載し、「日本の設置方法のほうが合理的だった」と伝えている。・・・」
http://news.searchina.net/id/1674227?page=1
 <この材料にこんな角度から切り込んだのは意外に初物?↓>
 「・・・中国メディアの捜狐・・・記事は、日本で生活している中国人の数は2018年時点で92万人を超え、在留外国人の数の約3分の1を占めたと紹介し、「日本はなぜ多くの中国人を引き付けるのか」と疑問を提起した。
 その理由として、日本の教育、医療、老後などの社会福祉制度が充実しているからではないかと考察。・・・」
http://news.searchina.net/id/1674281?page=1
 <少し前の記事の使いまわし。↓>
 「中国が「抗日神ドラマ」を量産するのを尻目に、日本では敬服するほどリアルな戦争ドラマが作られていた!・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1674250?page=1
 <これもだ。↓>
 「日本のパスポートは世界最強! 日本人が190カ国にビザなしで渡航できる理由・・・中国メディアの快資訊・・・」
http://news.searchina.net/id/1674278?page=1
 <これもまたそうだ。↓>
 「どうして日本のカプセルホテルは大盛況なのか・・・それは、本当に便利だからだ!・・・中国メディア・東方網・・・」
http://news.searchina.net/id/1674312?page=1
 <少し前の記事の使いまわしに近い。↓>
 「日本の農村を見て思う・・・「わが国の農村には潜在力がある」・・・今日頭条・・・」
http://news.searchina.net/id/1674284?page=1
 <日本の更なる軍事力強化に期待する気持ちが伝わってくる。↓>
 「・・・中国メディアの快資訊・・・記事は、戦後の制約により軍隊も攻撃を目的とする武器も持つことのできない日本の軍事力は、「たいしたことない」と主張。しかし、日本は非常に発展しており、四面楚歌に見えても米国という後ろ盾があるため、高を括ることはできないと論じた。特に「冶金(やきん)技術」では「日本は中国よりも少なくとも10年進んでいる」と指摘。この技術で日本は誰が見ても文句なく世界一であり、「圧倒的な強さ」を誇っているという。
 記事は繰り返し日本のこの技術を称賛し、「日本を持ち上げると批判する人もいるかもしれないが、本当のことなのだ」と念を押している。記事の筆者によると、金属は無限の可能性のある原材料で、この技術を掌握できれば中国も国産エンジンの質を格段に向上させることができると指摘。したがって日本を甘く見るべきではないと伝えている。」
http://news.searchina.net/id/1674256?page=1
 <客観記事。↓> 
 「・・・中国メディアの快資訊<の>、中国国内に「西京」と「東京」が存在しない理由について考察する・・・記事は、・・・もともと中国語の「京」という字は「京城(首都)」という意味があり、紀元前206年に誕生した前漢(西漢)は陝西省長安市が首都であったため、当時の長安は「西京」と呼んで差し支えない都市だったと主張。そして、後漢(東漢)時代の都が置かれていた現在の湖南省洛陽は「東京」と言えると論じた。
 では、かつての中国人が実際に長安や洛陽を「西京」、「東京」と呼ばなかったのはなぜなのだろうか。記事は、古代の中国人は方角を重視していて、特に「北」と「南」を大切にしていたと指摘、宮殿や皇帝が座る際の向きはすべて「南」を向いていて、「東」と「西」は決して良い方角と見なされていなかったためだと主張、それゆえ首都を意味する「京」という言葉に「東」と「西」の言葉を組み合わせることがなかったと主張した。」http://news.searchina.net/id/1674266?page=1
 <若干は日本に敬意を抱いた客観記事。↓>
 「・・・中国メディアの快資訊は・・・日本人はどうしてみんな弁当を食べるのかと題する記事を掲載した。
 こういう質問が出るのは、中国では弁当を持参する習慣がないからだ。中国の学校の昼休みは1時間半から2時間と比較的長く、自宅から通っている学生は自宅に帰って食事と宿題を済ませ、時間に余裕があれば昼寝までして午後再び登校するのが普通のパターンだ。しかし、日本の多くの学校では昼休みが1時間ほどと短く、自宅に帰る習慣はない。
 では、日本の学生はなぜ学食で昼食を取らずに弁当を持参するのだろうか。1つの理由として、日本の学校には学食がないところが多いからだと紹介。そもそも、学食は私立校にはあるが予算に制限のある公立の学校には少なく、食堂があっても昼休みの時間が中国よりも短いので、食堂で食事すると時間にゆとりがなくなると指摘した。
 また、安全に厳しい日本では、食中毒などで学校の経営に深刻な危機をもたらすことを恐れ、食堂を置かない学校もあると分析している。ちなみに、中国の安全基準は「たわしや髪の毛、虫が混入していなければ良い」程度なので食堂を設置しやすいそうだ。
 さらに、日本では中国と違い専業主婦が多いため弁当を作ることができることや、現実的な理由として、「弁当を持参した方が経済的」だとも指摘している。1人暮らしなら食堂で食べても変わりないが、家族がいれば弁当を作ったほうが節約になり、しかも、栄養のバランスも取れるため、日本人は「好きだからというよりやむなく弁当を持参することになる」と締めくくっている。」
http://news.searchina.net/id/1674301?page=1
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太田述正コラム#10301(2019.1.9)
<謝幼田『抗日戦争中、中国共産党は何をしていたか』を読む(その28)>

→非公開