太田述正コラム#785(2005.7.9)
<似た者同士の日韓?(その3)>
このように、死と生、という人間にとって最も根源的なところで、日本人と韓国人は極めて似通ってきているのですから、最近になって日本で韓流ブームが起きていることは、少しも不思議ではありません。
他方、両者には依然大きな隔たりもあります。
ここでは、犯罪にしぼって、日本人と韓国人の違いを浮き彫りにしてみましょう。
3 違うところ・・犯罪を通じて
(1)始めに
凶悪犯の最たるものである殺人については、日本ほどではありませんが、韓国も世界的に見ると少ない方です。
データの得られる46カ国中、最も人口当たりで殺人が多い国はコロンビアであり、0.62(1,000人当たり件数。1998年から2000年にかけての年平均。以下同じ)、三位がロシアで0.20人ですが、韓国は27位で0.01、日本は44位で0.00です。(http://www.nationmaster.com/red/graph-T/cri_mur_cap&int=300。7月8日アクセス)
(2)性犯罪
性犯罪の王様である強姦では、47カ国中、1位はオーストラリアで0.78、3位がカナダで0.73。韓国は10位で0.12なのに対し、日本は37位で0.01なので、世界的に見て韓国は多い方であり、日本よりも格段に多い、と言えるでしょう。(http://www.nationmaster.com/graph-T/cri_rap_cap。7月8日アクセス)(注7)
(注7)ただし、強姦等の性犯罪については、殺人等とは違って、国によってどれだけ表沙汰になるか、またどれだけが立件されるか、に大きな違いがあることを考慮する必要がある。
もう一つ、広義の性犯罪ですが、まぎれもなく韓国が日本と違う点があります。
日本ではとっくの昔になくなった「唐ゆきさん」に相当する、海外での売春婦が韓国ではまだ存在し、しかもその数が増加していることです。その中には誘拐されたりして強制的に海外に送り込まれる韓国人女性も少なくありません。
これは任意や強制による「唐ゆきさん」が、明治期以降、日本人の海外進出に伴い、日本人の進出先で増えた(http://www.medical-tribune.co.jp/ss/2004-8/ss0408-1.htm及びhttp://www.remus.dti.ne.jp/~yosinaga/plife/maniox1.html(どちらも7月8日アクセス))のと基本的に同じ構図であり、韓国人の海外観光旅行や海外進出、更には海外移住が引き続き急速に増えつつあり、これに伴って韓国人の旅行・進出・移住先で韓国人売春婦が増えているわけです。
韓国の場合、国内での売春規制が厳しくなってきたために、売春宿や売春婦が海外に新天地を求めている、という事情もあります。
(以上、特に断っていない限りhttp://english.chosun.com/w21data/html/news/200507/200507030020.html(7月7日アクセス)による。)
日本で性犯罪が比較的少ないことについて、以前(コラム#276で)、日本人の中性化の一環として論じたことがありますが、強姦の相対的な多さや唐ゆきさんの存在は、韓国人(の男性)の中性化が、日本人(の男性)ほど進展していないことが主たる原因であろう、と私は考えています。
もとより、韓国が日本に比べればまだ貧しい国である、という事情も関係していることでしょう。
(2)嘘言犯罪
興味深いのは虚言(ウソ)に係る犯罪についてです。
虚言犯罪の多さを、日本との比較で問題視する論説が朝鮮日報に出ています(http://english.chosun.com/w21data/html/news/200507/200507030027.html。7月4日アクセス)。
この論説によれば、韓国の人口は日本の三分の一であるというのに、立件されないものも含めれば2003年のデータで、韓国では日本に比べて、偽証(perjury)が16倍、名誉毀損(Libel)が39倍、詐欺(fraud)が26倍も起こっている、というのです。
ところが、これら虚言犯罪が余りに多くて検察が扱う犯罪の70%も占めており、かつ検察も虚言犯罪の追及には余り力が入らないので、起訴(立件)されるのは、偽証については29%、名誉毀損については43.1%、詐欺については19.5%にとどまっている、というのです(注8)。
(注8)その結果、韓国の詐欺発生率は日本の15.6倍ということになる。
他方、1998年から2000年にかけての年平均の発生率を見ると、詐欺については、44カ国中、1位がドイツで10.86。韓国は4位で2.80、日本は29位で0.34なので、韓国が世界の詐欺大国の一つであることが分かる。ところが発生率は日本の8.2倍にすぎない(http://www.nationmaster.com/red/graph-T/cri_fra_cap&int=300。7月8日アクセス)。
これは、最近韓国の詐欺が更に増えているためか、立件数が上がってきているためか、その両方のせいなのか、は不明。
この背景には、ウソをついても社会的に指弾されない韓国の風潮がある、というわけです。
どうやら、この問題の根は深く、李朝時代の両班精神(コラム#404)まで遡れそうです。そして遺憾ながら、それが日本の植民地時代にも矯正しきれないまま現在に至っている、ということなのではないでしょうか。
それにしても、これほどウソつきだらけの韓国がここまで経済発展できたことは、不思議で仕方ありません。
しかし、昨今の韓国の政治の変調は、韓国経済もまた変調をきたす前兆のように思えてなりません。
いずれにせよ、アイルランドが旧宗主国の英国を一人当たりGDPで抜き去ったのと同じことを韓国が旧宗主国の日本に対して成就したいのであれば、少なくともその虚言癖を矯正することが最低限必要だと思います。
(完)