太田述正コラム#10343(2019.1.29)
<2019.1.27関西オフ会次第(続々)/丸山眞男『政治の世界 他十篇』を読む(その9)>(2019.4.18公開)
–2019.1.27関西オフ会次第(続々)–
<太田>
六甲道周辺は従来通りだったと書いたのだが、夜だったのでよく見えなかったようだ。
駅からちょっと行ったあたりの光景を明るくなった時に見たら、なかなかモダンな感じだった。
前回、六甲道で関西オフ会をやった時に既にそうだったのだろうか。
<猫魔人>
自分が大学に入った頃には既にそうだった。
阪神大震災で、多くの犠牲者が出た地域の一つであり、その後、再開発がなされたのだ。
<HH>
「出張」幹事ということで、オフ会基金から経費を出してもらうということも若干念頭にあって、首都圏からこちらに来る時は東海道線の鈍行を使ったし、宿泊先はカプセルホテルにしたが、関西は首都圏に比べて物価が安いと感じた。
靴の修理費と飲み屋での代金でそう思った。前者はバカ安だったし、後者も1割方は安かった。
<太田>
私の自己分析の話についてはどう思ったか。
<HH>
まさにその通りだと思った。
<太田>
何事によらず、メリットとデメリットは裏腹、ということが殆どだ。
私のような人間は、見た目は大人でも中身は赤ちゃんなので、客観的には生きづらいはずだ。
実際、(王様は裸だと同様、誰もが気付かないか気付かないふりをしているところのホントのことをズケズケ言うと)嫌われたり、(ありえないシュールな発想をする、地球外生物だ、宇宙人だ、と)呆れられたり、してきた。
しかし、幸い鈍感なので、というか、赤ちゃんなので、(赤ちゃんって自殺するって聞いたことがないから恐らく楽天的なのだろうが)自分ではそう気にならなかったが・・。
<Terry Teruaki>
防大を出ても、一般大を出た人同様、曹長で任官するが、外国では士官学校を出ればすぐ少尉(三尉)だ。これはおかしくないか。
<太田>
おかしい。
しかし、自衛隊そのものが、対米用見せ金なのだから、政治家も国民も、誰も、防衛関係費が何にどれだけ使われているか、また、その使い方が合理的か、といったことに関心がないから、是正されないのだ。
<鯨馬>
本を出して欲しい。
とりわけ、英語で出して欲しい。
<太田>
日本国内ですら需要がないのに、(英語では全く発信してきていないこともあり、)外国なんてとてもとても。
それに、(前から言っているが、)需要があったとしても、出版に自分の労力を割くつもりは全くない。
自分の好きなことをやっているので邪魔しないでくれ、ということだ。
出版するんなら、私のコラム群の中からご自分で勝手に見繕ってどうぞ、とね。
<鯨馬>
しかし、太田さんもいつまでもは続けられないのではないか。
<太田>
自分ではまだ大丈夫だと思っているが、もうそろそろ、と思ったら、皆さん、遠慮せずそう言ってくださいね。
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–丸山眞男『政治の世界 他十篇』を読む(その9)–
「・・・その結果国家意志の重大な決定は、議会の外で、法的あるいは超法的な政治勢力の間における、舞台裏の妥協、駆引を通じて行われることとなった。
⇒大日本帝国憲法下において、立法に関しては、「事実上、帝国議会が唯一の立法機関であった<けれど>、例外として、天皇には、緊急勅令や独立命令を発する権限など、実質的な立法に関する権限が留保され<ていたほか>、憲法改正の発案権は天皇のみにあり、帝国議会にはなかった<ことに加え、>・・・独立命令による法規の制定(9条)、条約の締結(13条)の権限を議会の制約を受けずに行使できる<ことに至っては、>他の立憲君主国に類例がなかった<ことは事実であったものの、>天皇の権限といっても、運用上は天皇が単独で権限を行使することはなく、内閣(内閣総理大臣)が天皇の了解を得て決断を下す状態が常であった」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95#%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E5%88%B6
わけであって、立法権の大部分は議会に属していましたし、予算策定に関しても、「帝国議会は予算協賛権を有し、予算審議を通じて行政を監督する力を持っ<てい>た」(上掲)ことから、事実上、予算編成権も議会に属していました。
また、政府の行う広義の行政は、ほぼ全て、このように議会が概ね決めたところの、法律、予算の範囲内でしか行えなかったわけですから、「国家意志の重大な決定は」、ほぼ全て、「議会の」外ならぬ中で「行われることとなった」と言わざるをえず、丸山は、180度転倒した異常なな主張を行っている、と言わざるをえません。
もとより、法律にせよ予算にせよ、議会におけるその作成や編成に、「法的あるいは超法的な政治勢力の間における、舞台裏の妥協、駆引」が大きな影響を与えることは否定できませんが、それは議会制を有する、いかなる国にも見られることであって、病理ではなく生理です。
実際、例えば、米国におけるロビー活動の活発さ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%BC%E6%B4%BB%E5%8B%95
はよく知られているところです。(太田)
議会における「政争」は、かくして、政治的なるものの持つあらゆる真摯さを失った。
とくに民党と藩閥との急速な妥協吻合の後は、もはやヨーロッパにおけるような明確な国民的階層分化に基いた闘争、乃至は根本的な世界観的価値に関する闘争は見出されず、そこに繰りひろげられるのは政権に随伴する種々の利権のわけ前をめぐっての私的な–激烈なだけにますます醜悪な–争いでしかなかった。
⇒山縣有朋が島津斉彬コンセンサス信奉者であった、という私の主張からすれば、薩摩閥と長州閥に代表されるところの、いわゆる藩閥などなかった(コラム#省略)ということになるわけですが、仮に、「通説」のように藩閥があったとしても、吏党と民党との間の抗争こそ、議会開設から日清戦争の頃にかけてあった
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E5%85%9A
ことは承知しているけれど、それを、丸山のように、藩閥と民党との間の抗争と露骨に(?)表現するのは一般的ではないと思うのですがねえ。
それに、そもそも、日本には、(当時において、既に、)欧米におけるような「国民的階層分化」も「世界観的価値」の分化も殆ど存在しなかったのですから、丸山は一体どこの国のことを語っているのか、とさえ言いたいところです。(太田)
このような「政争」がまじめな学問的考察への刺激を与えないのはあまりにも当然である。」(18~19)
⇒一体、いかなる「政争」なら丸山大先生のお眼鏡に叶って「政治学」の対象にしていただけるのか、繰り返しになるけれど、そのご説明を碌にいただいていないのですから、我々は途方に暮れてしまいます。
とにかく、日本、よりピンポイントには明治維新以降の日本史、に対する、根拠薄弱かつ説明不十分な、丸山のヘイトスピーチを、我々は延々と聞かされている、といったところでしょうか。(太田)
(続く)