太田述正コラム#10561(2019.5.18)
<皆さんとディスカッション(続x4076)>

<HH>

 太田さん、おはようございます。
 数日前の江戸幕府月番合議制の成立由来に関する太田説<(コラム#10556(未公開))>は読んでいて思わず首肯していました。
 人間ヒマだとロクなことをしないし、かといってその人々の能力に応じて割り振るほどの仕事の量もないという状況でそれは合理性のある解決策であったのだと思います。
 そして、これはある意味、現代にも活用出来る制度であるような気がします。
 経営者や農林水産業の方は別にして組織の宿痾というものの多くは仕事や所属している団体に執着したり、あるいは時間的に長く働くことで自分をアピールすること、要は時間で組織への忠誠心や貢献度を測るのが多いように思うのですが、月番制にして組織との繋がりを少し緩め、また引き継ぎという仕組故に業務の透明性が高まるような気がします。
 あとは個人の働き方ですね。
 そのまま年6ヶ月勤務でもいいですし、働きたい人は二つの組織を掛け持ちすれば良い、そして所得の不足は税金の軽減や最低所得保障といった政策で担保すればよいのではないか、そんな風に思います。

 逆に佐藤浩市発言への高評価は賛成できませんねえ。

⇒私は、ラサール石井の「百田尚樹氏に猛反論「佐藤浩市氏のどこが三流なのか」発言に賛成した(コラム#10553)のであって、「佐藤浩市発言<そのものを>高評価」したわけじゃありませんよ。念のため。
 なお、『ヒトラー 〜最期の12日間』でヒトラーを演じた俳優は、主演を引き受けるかどうかを相当悩んだことを告白しています
https://en.wikipedia.org/wiki/Downfall_(2004_film)
が、そりゃそうでしょうね。
 以下で紹介されている丹波哲郎の発言は、歴史上実在した政治家等に関しても基本的に日本人しか演じることが求められない人物によるところの、必ずしも一般化できない発言だと思います。
 ヒトラーのように人類の敵的な悪評が(日本でを含め)「確立」している日本人政治家等は存在しないのですから・・。(太田)

 私は俳優のあり方に関しては丹波哲郎の考え方が好きです。
 彼の発言「俳優というのは役に好き嫌いはない。俳優というのは乞食から皇帝までなんでも演じたいものだし、そうすることでたくさんの人生を演じることができる。それが俳優の醍醐味である。」
 こういう生き方ですから司馬遼太郎史観が跋扈していた40年前に二つの対照的な役、善玉明治陸軍の象徴である児玉源太郎と悪玉昭和陸軍の象徴である東條英機を嬉々として演じています。
 かといってもちろん俳優が演じることとは別の場で個人として政治的発言をするのは特に気になりませんし、もっと言えば政治的信条で役を選ぶことそのものはその俳優の自由だと思います。

⇒「「佐藤が一部漫画雑誌のインタビューで「最初は<首相役を>絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」と発言。」
http://news.livedoor.com/article/detail/16455118/
までは、「俳優の自由だと思」われるわけですよね。(太田)

 要は俳優という職業だから政治的発言をするのが気にくわないのではなく役を演じることに政治的信条を持ち出し、特にそれを公言することで役作りの言い訳をするのがさもしいように思うからです。

⇒しかし、「さらに首相を虚弱体質に変更させたことが潰瘍性大腸炎を患った安倍晋三首相(64)をやゆしているなどとして、ネット上で大炎上していた。」
http://news.livedoor.com/article/detail/16455118/
という話だって、役作りで俳優が演出家や監督に提案をすることはままあることですし、いずれにせよ、そういった提案が通ったとすれば、それは、当該俳優ではなく、当該演出家や監督の「問題」でしょう。(太田)

 まあ、これは全く個人的な好悪に対する考え方ですが。

<太田>

 この祖父の判断は、なぎさ被告に関しては、かつまた、当時までの勇一郎被告に関しては、正しかったのでは?↓

 「・・・女児の祖父は「(息子の勇一郎被告は)繰り返し虐待を否定し、児相を批判していた。虐待はないと考え、児相から離すのが女児のためだと考えた」と説明。児相から面会を求められても応じないようにしていたという。また、祖父は、なぎさ被告について「勇一郎被告の妻とみず、自宅に入れていなかった」とも話した。・・・」
https://mainichi.jp/articles/20190518/k00/00m/040/019000c
 「<なぎさ被告も罹っているが、>統合失調症の大半の人々は・・・他人への暴力 へ向かわず、一人でいることを好む<が、>・・・暴力が発生した場合、家族や友人を対象とすることが最も多く、家庭でより頻繁に起こる。」
http://www.vet.kagoshima-u.ac.jp/kadai/V-PUB/okamaoto/vetpub/Dr_Okamoto/Moromoro/Schizophrenia.pdf

 なるほど。↓

 「・・・「潜水艦の技術は日本が一番。スクリューの角度や、微妙な曲がり具合をつける研磨技術は世界屈指。日本で研磨されたスクリューは、ソナーに引っ掛かりにくく音がしない。潜水艦のステルス性にかけては日本がトップだ。それに比べれば中国製のスクリューなんてひどいものさ。だから監視できると話すんだ」・・・
 F35Aが墜落した<が>・・・<機体の大部分も>操縦者も見つかっていないが…。
 「ベテランで年齢が41だと聞いた。これは推測だが、脱出していないからたぶん気絶したんだろう。年齢がいけば、ほんの少しの体調の変化でも気絶する。耐Gスーツの締めつけ具合がわずかに違うだけでも、身体にかかるG(重力)が変わり気絶する。意識があれば、なんとかして着水しようとするはずだから、機体はバラバラにならない。意識を失ってまっすぐに落ちたら、あれは軽い機体だから衝撃でバラバラになる」
 操縦者のミスということか?
 「気絶した後に墜落したならヒューマンエラーにはならない。パイロットは気絶していて、何もできなかったのだからね。どこの軍もそうだが、機体や耐Gスーツの開発で、昔よりパイロットにGはかからなくなったんだが、人間がヤワになってきている」・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F%E5%A2%9C%E8%90%BD%E3%81%AE%E8%AC%8E%E3%80%81%E5%85%83%E7%B1%B3%E8%BB%8D%E5%A4%A7%E4%BD%90%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B/ar-AABw7OR?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp#page=2

 久しぶりにアユム氏将棋解説を鑑賞。↓

 「豊島将之二冠対佐藤天彦名人 名人戦第4局・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=w6JpEXFv-QY
 「豊島二冠が名人奪取、三冠に 平成生まれ初の名人誕生・・・」
https://www.asahi.com/articles/ASM5K5S0LM5KUCVL024.html?iref=comtop_8_01
 <織田信長/豊臣秀吉の時、いや、明治維新の時以来の尾張の復権?↓>
 「新名人「豊島時代だ」藤井七段師匠も祝福 地元・愛知喜びの声・・・」
https://mainichi.jp/articles/20190517/k00/00m/040/289000c

 日本の文系学問は、劣化するばかり。↓

 「東洋英和女学院前院長の深井智朗(ともあき)氏が著書や論考の捏造(ねつぞう)・盗用を認定された問題で、読売新聞社と中央公論新社は17日、昨年6月に読売・吉野作造賞に選んだ深井氏の著書「プロテスタンティズム」の授賞を取り消すと発表した。・・・」
https://www.asahi.com/articles/ASM5K5JJLM5KUCVL01Z.html?iref=comtop_8_07

 それにくらべりゃ、理系学問は立派なもんだが、東大はもっともっと頑張ってくれなきゃ。↓

 「量子コンピューター小型・実用化へ前進 東大チーム、心臓部を開発 ・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%E9%87%8F%E5%AD%90%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E3%83%BB%E5%AE%9F%E7%94%A8%E5%8C%96%E3%81%B8%E5%89%8D%E9%80%B2-%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%81%E5%BF%83%E8%87%93%E9%83%A8%E3%82%92%E9%96%8B%E7%99%BA/ar-AABvDHt?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp

 既紹介のゾルゲの伝記の書評がまた出ていた。
 面白かった部分を引用しておいた。↓

 ・・・he recruited agents within the Japanese political machine as well as Max Clausen, a German radio expert, to transmit his coded messages to Moscow. ・・・
 He was detained by the Japanese and executed in 1944 after a long trial. He confessed to being a Soviet agent (to Ambassador Ott’s horror and disbelief) but based his fruitless defence on the claim that he never intended to undermine Japanese security. He was merely trying to avert war between Japan and the Soviet Union.
 His willingness to cooperate with the authorities was based in part on his desire to protect his long-term Japanese girlfriend, Hanako Ishii. It was an expression of his loyalty and the prosecution was impressed. Hanako was not put on trial and lived to a ripe old age.・・・
https://www.ft.com/content/46869114-7721-11e9-be7d-6d846537acab

 大英博物館で日本のマンガ展が開かれてんだね。↓

 Riotous works of manga burst into life at the British Museum・・・
https://www.ft.com/content/46869114-7721-11e9-be7d-6d846537acab

 日本の米屋さんについての記事だ。↓

 In Tokyo rice shop, loyalty to a sacred staple・・・
https://www.csmonitor.com/World/Asia-Pacific/2019/0517/In-Tokyo-rice-shop-loyalty-to-a-sacred-staple

 とにかく台湾は革新的。↓

 「台湾で同性婚認める法案が可決 アジアで初、総統も支持・・・」
https://www.asahi.com/articles/ASM5K3SX9M5KUHBI00W.html?iref=comtop_latestnews_03

 「米制裁無視」って書いて欲しかったな。↓

 「中国、イラン産原油輸入か 制裁違反・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%80%81%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E7%94%A3%E5%8E%9F%E6%B2%B9%E8%BC%B8%E5%85%A5%E3%81%8B-%E5%88%B6%E8%A3%81%E9%81%95%E5%8F%8D%E3%81%A8%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%A0%B1%E9%81%93/ar-AABvWsN

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <人民網より。
 ま、頑張ってくれたまえ。↓>
 「中国映画はどうすれば日本の観客をひきつけられる?・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0517/c94476-9579243.html
 <日中交流人士モノ。↓>
 「日本大使館が北京で春の交流会開催・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0517/c94638-9579241.html
 「第19回日中友好中国大学生日本語科卒業論文コンクール 参加要項・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2019/0517/c206603-9579153.html
 <ここからは、サーチナより。
 定番だが新材料も。↓>
 「・・・中国メディアの捜狐はこのほど、我が子を日本の幼稚園に通わせているという中国人ママを「震撼させた日本の幼稚園の習慣」について紹介する記事を掲載した。
 子どもが幼稚園へ通う事になって初めて知る、入園準備や幼稚園の決まり事、年間行事などに圧倒される新米ママは少なくないが、中国人ママは習慣や文化の異なる日本の幼稚園に困惑し、圧倒されるのは当然と言えるかもしれない。
 記事が紹介した中国人ママは、「入園手続きをした日の説明会でまず、大小様々な袋を用意するようと言われたことから驚きが始まった」と主張。園指定で購入するリュックサックの他は、「タオル、給食セット、着替え、上履きに、それぞれ大きさが指定された袋を親が手作りするよう言われた」とし、それに困惑しつつも「日本人は幼い時から細かく分類して収納するので、大人になっても細かなゴミの分別が出来るのだ」と感心した様子。
 また入園後、中国とは異なる光景として「送迎時に親は手ぶらで、子どもがリュックなどいくつかの手提げ袋を持って、嬉しそうに走っている」ことに衝撃を受けたという。中国では送迎は主に祖父母が行うが過保護の傾向が強く、「祖父母が孫の荷物を持ち、孫は手ぶら」というのが一般的だからだ。
 他にも、幼稚園の活動には運動が多く、「授業では女子もサッカーの試合をさせている」ことには特に驚きを表わした。また外での運動は冬でも行われ、中国人ママからすると子どもが薄着で外で遊ぶことはあり得ない行為だが、日本人ママは意に介さぬ様子だったと紹介、「子どもは徐々に抵抗力を付けていく」と考えていることに衝撃を受けたと伝えた。」
http://news.searchina.net/id/1678868?page=1
 <定番的。↓>
 「比較して驚き!「東京の経済規模」に肩を並べられる中国の都市は1つもなかった・・・中国メディアの快資迅・・・」
http://news.searchina.net/id/1678869?page=1
 <定番。(見出し以外の材料もそう。)↓>
 「飲食店における「日中の食文化の違い」、日本では「食べ残しは持ち帰れない」・・・今日頭条・・・」
http://news.searchina.net/id/1678882?page=1
 <同じく。↓>
 「日本の「お弁当」にはなぜご飯の上に梅干しが乗っているの?・・・中国メディアの快資迅・・・」
http://news.searchina.net/id/1678885?page=1
 <新材料の部分だけ引用。↓>
 「・・・北海道で生活していて驚いたことの1つに気候を挙げた。中国の北方は冬の平均気温がマイナス15℃で、時にはマイナス35℃も経験してるので、「日本の冬は大したことがないと考えていたが、北海道の冬は中国北方よりも寒く感じた」という。これは日中の暖房設備の違いも関係しており、中国の北方ではセントラルヒーティングが完備されていて、共用部分も含めて建物全体が暖かいが、日本ではセントラルヒーティングはあまり一般的ではない。また、北海道では光熱費の高さにも驚きを感じたとしている。
 次に、「日本の山林に野生の熊がいること」も思って見なかったことで、さらに熊が人を襲う危険があるゆえに登山の際には鈴を鳴らして熊が接近しないようにするというのも新鮮な体験になったとした。・・・今日頭条・・・」」
http://news.searchina.net/id/1678887?page=1
 <そりゃ知らなんだ。↓>
 「日本人はどこまで細やかなのか・・・外国人観光客向けの託児サービスまで出現・・・中国メディア・環球網・・・」
http://news.searchina.net/id/1678883?page=1
 <はいはい。↓>
 「日本人の起源が雲南にあり、韓国人の起源は湖南にあると言われるのはなぜ?
 ・・・中国メディアの快資迅・・・記事は、ルーツにまつわる説の真偽はともかく「中国の文化が優れているからこそ、周辺諸国へ大きな影響を与えるものに成り得た」として結んでいる。」
http://news.searchina.net/id/1678886?page=1
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<太田>

 パソコン上の音楽ファイルをマランツUSB-DACに出力し、送信モードにしたBluetooth送受信機と繋ぎ、その送受信機をBluetooth受信機とペアリングし、そこから風呂場のスピーカーから、あるいはヘッドフォンから音を出力させようとしたが失敗。
 送受信機のマニュアルの日本語がひどいこともあり、英語の方を読んでみたが、より詳しいけれど、原因解明まで行かなかった。
 TVの音声を送信する場合のことしか書いてないのだが、TVの音声出力端子もTV以外の出力端子も同じはずなのに不可解。
 次は、この送受信機、受信機としては機能するのかを確かめ、初期不良ではなさそうなことを確認した上で、この送受信機がTV音声出力用には機能するかどうかを追求してみたい。
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 一人題名のない音楽会です。
 ファジル・サイ(Fazıl SAY)の小特集の2回目です。
 予定を変更して、3回からなる小特集にしました。
 Bachの演奏もいくつかYoutube上にあるのですが、私の好きな曲がなかったので省きました。

Haydn Sonata Hob. XVI/35 in C major, first movement.←作曲者の意図よりも遥かに速く弾いたことで編曲に近い。
https://www.youtube.com/watch?v=zNWJAs4iBQ4

Mozart Ah vous dirai-je maman (Twinkle twinkle little star)←スタッカート調にしたことで、これも編曲に近い。
https://www.youtube.com/watch?v=NUSDpxZgy0I

    Klavierkonzert No. 12 KV 414/386a 室内楽:CHAARTS Chamber Aartists(コンマス:Felix Froschhammer)←これは、やはり、オケ編成でやって欲しかった。
https://www.youtube.com/watch?v=UEPpRAsNOU0

    Klavierkonzert KV 467 指揮:Peter Oundjian オケ:hr-Sinfonieorchester(Frankfurt Radio Symphony)
https://www.youtube.com/watch?v=cBf4nc3TRa4

(続く)
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太田述正コラム#10562(2019.5.18)
<三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』を読む(その24)>

→非公開