太田述正コラム#864(2005.9.13)
<総選挙の結果について(その1)>
(8月(11日)?9月(10日)のHPへの訪問者数は、25735人でした。過去最高の25565人(日数同じ)を抜いて三ヶ月ぶりに新記録を達成できました。総選挙フィーバーのおかげなのでしょうが、何はともあれ、御礼申し上げます。しかし、太田ブログ(http://ohtan.txt-nifty.com/column/)への月間アクセス数は、1177名であり、前月の1178とほぼ同じであるのは残念です。しかも、メーリングリスト登録者数は(途中で一旦1357名まで増えたものの)1346名であり、一ヶ月前に比べてわずか5名増にとどまっています。月間41本という、空前の多さのコラムを上梓したというのに、何とも巨大な壁にぶちあたった感があり、疲労感を覚えています。
・・・とHPの掲示板に書いた直後から、ブログへのアクセスが急に増えて、これまでの1日あたりアクセス数の最高記録の倍近くのアクセス数に達し、なおアクセスが続いています。)
1 英米メディア
日本の今回の総選挙の結果について、いつもの英米のメディアのインターネット版を見回したところ、おしなべて日本のメディアの記事・論説を焼き直したような凡庸な記事・論説が多かった中で、質量共にひときわ抜きん出ていたのがファイナンシャルタイムス(FT)の記事・論説です。
FTは経済紙だけに、世界第二の経済大国での総選挙の結果には注目せざるをえない、ということなのでしょう。特集を組んで何本もの記事がアップロードされていました。しかも、通常は(私がアクセスできない)有料読者専用の記事が多いのに、殆どが無償でした(注1)。
(注1)そのうち、特に優れていたのは、http://news.ft.com/cms/s/696bc7b4-2300-11da-86cc-00000e2511c8,dwp_uuid=83aec348-087e-11da-97a6-00000e2511c8.html、http://news.ft.com/cms/s/e415e36a-2197-11da-a603-00000e2511c8,dwp_uuid=83aec348-087e-11da-97a6-00000e2511c8.html、及びhttp://news.ft.com/cms/s/343b1b14-22ea-11da-86cc-00000e2511c8,dwp_uuid=83aec348-087e-11da-97a6-00000e2511c8.html(いずれも9月12日アクセス。以下特に断らない限り同じ)だ。
今回はガーディアン(http://www.guardian.co.uk/japan/story/0,7369,1567777,00.htmlと少しはましなhttp://www.guardian.co.uk/japan/story/0,7369,1567714,00.html)もワシントンポスト(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/09/11/AR2005091100507_pf.html)もNYタイムス(http://www.nytimes.com/2005/09/12/international/asia/12japan.html?ei=5094&en=662db7c2dec98432&hp=&ex=1126497600&partner=homepage&pagewanted=print)もまるで冴えず、唯一FT以外で光っていた記事はCNNのもの(http://www.cnn.com/2005/WORLD/asiapcf/09/11/japan.election/index.html。ただし、APの配信を参照した旨記されている)くらいです。
FTとCNN等の上掲記事・論説も参考にしつつ、総選挙の結果について私なりの総括をしてみましょう。
2 総選挙の結果の総括。
(1)始めに
総選挙は、私が「岡田民主党敗れたり」シリーズ(「その1」と「その2」は8月25日に上梓)で予想したとおり、自民党の勝利、民主党の惨敗、という結果に終わりました。
自民党は15年半ぶりに衆議院で単独過半数以上を獲得した一方で、投票率が上がったこともあって、公明党は3人目減りしました。しかし、この両党を合わせて、与党は三分の二を超える議席を獲得しました。(典拠省略)
まずは今回の選挙で、若干なりとも公明党が減ったことと、戦後初の1946年の総選挙の時の39人を初めて上回る43人の女性議員が生まれたこと(http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20050912/fls_____detail__015.shtml。9月12日アクセス)を喜ぶことにしましょう。
その上で、今回の自民党の勝利を私がどう見ているかを申し上げましょう。
(2)自民党の勝利をどう見るか
結論を先に申し上げれば、自民党は、権益擁護(利益誘導)政党たる自民党の支持基盤の組み替えに「「とりあえず」」成功した、ということです。
つまり自民党が、数が少ない上に先細りの郵政・農業・建設業関係者等の利益、すなわち農村型の権益を擁護する政党から、数が多くまだまだ伸びつつある都市の住民の利益、すなわち都市型の権益を擁護する政党へと変貌を遂げた「、と有権者に信じこませることに成功した」結果、都市の住民を中心に自民党に浮動票が上積みされ、自民党の勝利がもたらされたのです。
肝腎なのは、「」内を挿入したのは小泉流のイリュージョンに有権者が幻惑されたと私が考えているからであり、だからこそ、「「とりあえず」」であるという点です。
(続く)