太田述正コラム#10646(2019.6.29)
<2019.6.29東京オフ会次第(その1)>(2019.9.17公開)
1 「講演」原稿に盛り込まなかった部分
(1)冒頭部分
雨宮、というか、Amamiya、という名前が、経済学関係の本や論文を読んだ時に、計量経済学の文脈でしばしば登場すること、また、その人がスタンフォード大の教授らしいこと、は前から知っていたのですが、日系なのかなあ、程度の認識でした。
彼の専攻分野からはかなりズレた分野の異色の論稿が、今回、私には結構参考になったわけですが、彼が、日本出身で、早慶ほど当時名が通っていたとは思われない、ICU(国際基督教大学)(注)卒であることに驚きました。
(注)「・・・ICUの入試は他の大学と全く異なっているため、偏差値でICUのレベルを完全に計ることは不可能です。
それでも、各予備校が算出している偏差値はある程度の目安にはなると思いますICUの偏差値は例年60中盤から後半をキープしています・・・。
このレベルは大体上智大学と同程度(学部にもよりますが早稲田慶応よりやや下)と考えられます。・・・
かこ様の入学で知名度を上げたICUの偏差値は、例年65程度だったものが2016年度版では69まで上がりました。しばらくは入学希望者は増加したままと推測されるため、偏差値は60後半をキープするでしょう。」
http://icu-info.com/icu%E3%81%AE%E7%B4%B9%E4%BB%8B/icu%EF%BC%88%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%9F%BA%E7%9D%A3%E6%95%99%E5%A4%A7%E5%AD%A6%EF%BC%89%E3%81%AE%E5%81%8F%E5%B7%AE%E5%80%A4/
常識的には、理系が抜群にできたけれど、文系がさほどでもなかったからICUに入学し、卒業された、と考えられるところ、そんな見方を裏切り、その後、米留し、修士、博士と着実に大学をグレードアップし、ついにはスタンフォード大教授にまでなって活躍し、なおかつ、ご紹介したような、かなりイケてる「文系」的な論考もモノされているのですからねえ。
ICUの大学当局はもとよりですが、秋篠宮のお二人のお嬢様方も、雨宮OBには、さぞかしお鼻が高いことと拝察します。
(2)結論部分
今回の「講演」は、私のセンチメンタルジャーニー的な要素がある一方で、私の不得手な部分もあって苦労もしました。
前者については、取り上げた諸地域や著作群や彫刻群の過半について私が土地勘があることです。
例えば、エジプトやギリシャや支那には格別な思い入れがありますし、登場する諸仏像の殆どを、私は、直接拝観しています。
後者については、理科系の分野も取り上げざるをえなかったことです。
結構、私なりに理解すべく努力はしたのですが、例えば、
・・・ The Oxford Calculators distinguished kinematics from dynamics, emphasising kinematics, and investigating instantaneous velocity. They first formulated the mean speed theorem: a body moving with constant velocity travels the same distance as an accelerated body in the same time if its velocity is half the final speed of the accelerated body. They also demonstrated this theorem — the foundation of “The Law of Falling Bodies” — long before Galileo, who is generally credited with it. ・・・
https://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Bradwardine
の意味(、就中、mean speed theorem の何たるか)、並びに、このmean speed theorem、と、この箇所の後に出て来る、
・・・ uniformly accelerated motions, still attributed to Galileo・・・
との関係、がついに理解ができませんでした。
ウィキペディア内の記述なので、そもそも、事実関係等が怪しいのかもしれませんが、理系に詳しい方が読者は少なくないので、どなたか、分かり易く説明していただけるとありがたいですね。
と、まあ、こういう次第なので、疑問、反論、コメント、何でも結構ですが、今回は、特に歓迎です。
2 始めに
今回、私を除く出席者数は9名にとどまったのですが、質疑応答は活発でした。
合間に、komuroさんのほか、そのためにマスクを持参された2名の読者が協力して、パソコン部屋のエアコンの掃除が行われました。
大変ありがとうございました。
3 質疑応答(順不同。Oは太田。)
A:太田さんが、北西インドにおける仏像の誕生が日本に及ぼした意義に思い至ったきっかけは何か。
O:1988年に英国防大学留学中の研修旅行でインド亜大陸を訪れ、パキスタンのラホールやペシャワールの博物館で、当時の仏像を何体も見た時だと思う。
B:太田さんが、70歳になって、なお、新たな物の見方を模索し、提示していることに敬意を抱いている。
O:私を、島津斉彬コンセンサス/杉山構想に導いてくれたのは、中学時代の同級生たる読者だし、三谷シリーズを書かせ、俎上に載せた三谷本からサンソム本に導き、更に、今回の「講演」に導いてくれたのは、福岡の読者のChaseさんだ。
(続く)