太田述正コラム#9822005.12.3

<私の移民受入論(その4)>

 (3)外国人留学生の飛躍的増加

 いずれにせよ、日本への移民の知的資質が高ければ高いほど望ましいわけであって、そのためにも外国人留学生の飛躍的増加を図る必要があります(注3)(注4)。

 

 (注3)もちろん、留学生の派遣元の国こそ、帰国した彼らの活躍によって、最も裨益することは言うまでもない。

 (注4)別に日本政府がしくんだわけではないが、この10年来、その大部分が中共の一流大学を出て、日本の一流大学の大学院に留学したところの、日本で働いている、旧満州の間島地区出身の朝鮮系支那人の数が既に5万人を超えている。これに対し、韓国で働いている朝鮮系支那人には出稼ぎ労働者が多い。(1122日アクセス)http://www.sir.or.jp/contribution/01.html

 既に日本政府は、留学生の増加に取り組んできており、2003年中には留学生の総数が、中曽根内閣が設定した目標である10万人を突破しました。

 もっとも、2000年以降の留学生の急激な増加は、微増にとどまった国費留学生ではなく、急増した私費留学生によるものであり、この10万人目標達成は日本政府の努力というよりアジア経済の発展によるところが大きかったようです。
 (以上、http://homepage3.nifty.com/is-tufs/is211.htm12月2日アクセス)による。)

 2003年からは、政府は、私立大学(短大を含む)が私費外国人留学生の授業料の減免を行う場合に補助金を与えることにしました(http://72.14.203.104/search?q=cache:A5cgudKFX8cJ:www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/030301.pdf+%E7%95%99%E5%AD%A6%E7%94%9F%EF%BC%9B%E6%8E%88%E6%A5%AD%E6%96%99%E6%B8%9B%E5%85%8D&hl=ja12月2日アクセス)。こんなことは、欧米では考えられないことです。むしろ、外国人留学生には割高の授業料を課すのが普通だからです。

 残された課題は、中共と韓国からの留学生だけで全体の75%を占めているという「寡占」状況の緩和であり、私費留学生の6割弱しか奨学金がもらえておらず、しかも奨学金の平均が月7万円と少ない状況の改善です。

 (以上、http://benesse.jp/berd/center/open/dai/between/2002/11/bet18931.html12月2日アクセス)による。)

 私は、ODAの重点を、発展途上国へのモノやカネの供与から留学生受け入れに切り替えるべきだと考えています。そうすれば、国費留学生の数も奨学金の受給対象者100%の達成も奨学金の額の大幅増も可能です。

 そもそも、モノやカネの供与は、効果を挙げる場合もあるけれど、効果を挙げない場合の方が多いことから、今後は、効果を挙げると見込まれる国への供与に限定すべきでしょう(注5)。

 (5)ODAより前の話だが、日本から戦後賠償をもらった5カ国中、製鉄所や高速道路の建設といった有効な使い方をしたのは韓国だけであり、金額的に一番沢山もらったフィリピンでは、賠償金は大土地所有階級のための訳の分からない消費に消えてしまった。そして、1960年代初めにはフィリピンの一人当たり所得は韓国の6倍だったというのに、現在では韓国の十分の一にも満たなくなってしまっている。 (http://english.chosun.com/w21data/html/news/200508/200508280018.html。8月29日アクセス)

    また、最近アフリカで、経済援助は効果を挙げていないどころか、逆効果になっている、という声が高まってきている。援助は政治家を腐敗させ、民衆を援助依存症にしてしまっているので、援助を返上し、人々の意識改革を行わなければならない、というのだ。(http://www.csmonitor.com/2005/1202/p01s02-woaf.html12月2日アクセス)

 幸い、米国は、9.11同時多発テロ事件以来、留学生の入国審査を厳しくしたために、留学生が減少してきており、最近では、中共の産業・軍事スパイ防止の観点から、中共出身(米国を含む、外国籍をとった中共出身者を含む)の研究者が米国で行う研究を規制しようとする動きまで出てきており(http://news.ft.com/cms/s/5a57b68e-5d2f-11da-8cde-0000779e2340.html、及びhttp://news.ft.com/cms/s/3b2283de-5d34-11da-8cde-0000779e2340.html(どちらも1125日アクセス))、日本の留学生受け入れにとって相対的に有利な状況が今後、長期にわたって続く可能性が高い、と言えるでしょう。

(続く)