太田述正コラム#1184(2006.4.15)
<裁判雑記(その3)>
4 コラム#195の記述の問題点
 (1)不正確であった要約紹介
 以上の反論は、いわば一般論だが、私による上記の本の要約紹介内容に不正確な点があったことは否定できない。
 私による要約紹介は、以下の通りだ。
1 東京都東村山市は、創価学会の勢力が強いところで、市議26名中、(建前上はともかく創価学会の政治部以外の何者でもない)公明党は6名で、自民党の7名等とともに与党を構成しています。
2 明代市議は、議員活動の一環として創価学会脱会者の支援や人権侵害の被害救済活動を行っていたことから、東村山市の創価学会員や公明党市議らと緊張関係にありました。このような背景の下で、1995年に明代議員を被疑者とする万引きでっちあげ事件が起こり、更にその直後に明代議員殺害事件が起こったのです。
3 当時捜査当局によって、昭代市議は万引きの被疑者として送検され、また、昭代議員のビルからの転落死は万引き発覚を苦にしての自殺と断定されてしまいます。
4 ところが、所轄の東村山警察署で転落死事件の捜査及び広報の責任者であった副署長も、彼の下で捜査を担当した刑事課員も、また、捜査を指揮した東京地検八王子支部の支部長及び担当検事もことごとく創価学会員だったのです。
昭代市議をビルから突き落として殺害した人間は創価学会関係者の疑いが強かったため、彼らは公僕としての義務よりも創価学会への忠誠を優先させ、創価学会の組織防衛に走ったと思われます。
5 しかし、彼らの画策したでっちあげや隠蔽工作は、この本の著者達やマスコミによって、創価学会の執拗な妨害を受けつつも、徹底的に暴かれ、社会の厳しい批判に晒されることになります。
6 なお、明代市議の殺人犯はまだつかまっていません。
 (番号は、便宜上、今回付した。)
 しかし、再度、この本を読み返してみたところ、副署長と刑事課員が創価学会員であった旨の記述はなかった。
 よって、今にして思えば、上記中の4は次のように記述されるべきだった。
4 これは第一に、転落死事件を担当した東京地検八王子支部の支部長及び担当検事が二人とも創価学会員であったところ、昭代市議をビルから突き落として殺害した人間は創価学会関係者の疑いが強かったため、彼らは公僕としての義務よりも創価学会への忠誠を優先させ、創価学会の組織防衛に走ったからであり、第二に、この地検支部の捜査指揮を受ける立場の所轄の村山警察署で転落死事件の捜査及び広報の責任者であった副署長も、彼の下で捜査を担当した刑事課員も、村山市の創価学会関係者への配慮や上記地検支部長及び担当検事への配慮を、公僕としての義務より優先させたからである、と思われます。
 (2)私の見解
 しかし、私は、私が副署長らを創価学会員と誤解したことに、重大な過失があったとは考えていないし、そもそも、副署長が創価学会員であろうとなかろうと、上記要約紹介全体の主旨が変わるわけでもないと考えている。
以下、それぞれについて、説明したい