太田述正コラム#11560(2020.9.27)
<2020.9.26東京オフ会次第(その2)>(2020.12.20公開)

3 質疑応答(Oは私です。)

a:今回の「講演」原稿は、「終わりに」の内容を最初にもってきていたら読む人がもっと増えたと思う。
o:使えそうだなと思ったくだりをネットからコピペで集めてあったのを、大急ぎで順番を適宜入れ替えて、ストーリーが流れるようにしてから、数日前に、やっと「終わりに」を考え始めたのだから、そう言われても・・。
 武家創出のホップ・ステップ・ジャンプのところの感想は?
a:知らない人名が余りにもたくさん出てきて、しかも、読みが分からない場合が多く、そのため、とても読解するところまで行かなかった。
 今回対象となった時代における、聖徳太子コンセンサスや桓武天皇構想がらみの女性の役割をどう見ているか?
o:権力に関する話であり、どの国、どの社会でも、歴史を遡れば遡るほど、権力者は武力の指揮能力を求められるだけではなく、自身が腕っぷしが強くなければならない、となると、推古天皇が権威を担い、厩戸皇子が権力を担う、といった具合に、女性だって、権威だけを担うことはできるが、権力も担うのは荷が重過ぎる。
 要するに、女性は、権力に関する土地勘が乏しいのだから、聖徳太子コンセンサスや桓武天皇構想を生み出したり、それらの実施過程を担ったりすることも困難だろう。
a:菅首相の、上京にについては、お父さんがとにかく苦手だったというくらいしか分からなかったが、大学卒業後の小此木事務所への就職は、町議もやっていたお父さんがカネ付で押し込んでくれた、と見るのが自然ではないか。
o:安倍チャンと言えば、本人自身については、その能力からして、首相に(2度も)なっただけでなく、2期目をあんなに長く続けたなんて、もちろん言語道断なんだが、せめて官房長官は、もっと早く替えるべきだった。
 政治家といえども、首相より下は、みんな首相の手足、つまりは役人であり、役人を7年8ケ月も同一ポストに置くのは、しがらみだらけにさせるに等しい。
 (現に、菅おじさんを後継首相に戴かざるをえない状態に、自民党の大部分の議員達をしがらみでがんじがらめにしちゃったワケだ。)
a:確かに、佐藤栄作なんかは、寝首をかかれないように、官房長官をどんどん替えている。
o:それにしても、あれだけ当選を重ねてきた、警察官僚上がりの平沢勝栄を今まで大臣にさせなかった安倍チャンの器の小ささよ。
 かつての家庭教師として、自分のことを知り過ぎていて、折に触れてその一端を漏らしてきたことが許せなかったんだろうが・・。
 そんな平沢を菅おじさんがすぐ大臣に起用した点は評価したい。
b:支那で、漢人文明が滅びてからも、騎馬遊牧民系の王朝はたくさんあったが、ことごとく、王朝を立てた後は軍事力が弱くなったのはどうしてなのか。
o:国内で反乱が起こってそれを鎮圧すれば、その地域からの税収を回復することができるが、攻め込んできていない段階で、国外の騎馬遊牧民系の勢力を討伐したところで、戦費をかけただけで得られるものは殆どゼロだ、となると、どうしても、前者への対処に最適な、歩兵を中心とした軍制を採用し、維持したくなってしまう、ということではないか。
b:どうして、日本が脳死するということが分かったのか。
o:「講演」で語ったように、戦後、一貫して、日本の経済(や社会)は見事に機能しているのに、自衛隊は機能していなかったわけだが、そんな状態を維持できたのは、日本が米国の属国であり続けてきたからこそだ。
 で、どこで何を読んだのか思い出せないのだが、牛は家畜化されたら(自分で敵に備えながら食い物を探す必要がなくなり、)脳のシワが伸びてしまった(=アホになってしまった)、ということを知り、属国って、宗主国の家畜になるってことだから、国、より端的に言えば、政府、が、(アホになるんじゃないか、政府がアホになるってほぼ)脳死するってことじゃん、と考えたワケだ。
 で、そう、選挙用に出版した『防衛庁再生宣言』に書いたら、その後、20年経たないうちに、日本政府がホントに脳死しちゃったのには驚いたね。
b:誰がそのことに一番責任があるのか。
o:個人の責任を考える前に、戦後日本人全体の責任を、まず考える必要がある。
 私自身、そう昔でもない時まで信じ込んできたのだが、日本が先の大戦に敗北したってウソをずっと信じ込んできたことについての責任だ。
 (ベトナム戦争が、北ベトナムと南ベトナム/米国等、の引き分けだったと思っている日本人なんておらず、後者の敗北だと思っている日本人ばかりだというのに、それ以降でさえ、同じ基準で先の大戦を振り返ったのが私くらいだ、というのではね。)
 戦争の勝ち負けは、戦争目的をどちら側が達成したかで決まる。
 だとすりゃ、結論は明らかで、日本が勝ったに決まってるっていうのにね。
 しかも、そう考えるべきもう一つの強力な理由があった。
 それは、戦後、すぐに、日本の経済が高度経済成長を始めたことだ。

(続く)