太田述正コラム#12642006.5.29

<施設庁談合事件はどうなった?(その1)>

1 始めに

 組織的に公共工事の違法な受注配分を続けてきた防衛施設庁の官製談合事件<で>東京地検特捜部に起訴された元施設庁幹部の三被告に<関>し、・・官製談合・・は・・約三十年前から・・組織的に行われた・・<ものであり、しかも>時効のために本来処分されるべき人物が責任をまぬがれ<ている。>・・三人だけにその責任を帰していいのか・・<と>同庁OBらが中心となって・・東京地裁に提出する<予定の>・・「寛大な処置」を希望する・・嘆願書の署名集めが行われている」のだそうです(http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060529/eve_____sya_____000.shtml。5月29日アクセス)。

 私も賛成です。

 また、施設庁では、「来週中にも内部調査の結果を最終報告としてまとめ、談合・・<や>証拠隠滅・・に関与した職員らを停職、減給などの懲戒処分とする方針を固めた」のだそうです。

 やむをえないでしょう。

 しかし、ちょっと変ですね。

 施設庁談合に関与していた防衛本庁(内局)の責任と政治家の責任はどこに行ったのでしょうか。

 また、今回は取り上げませんが、防衛本庁(内局)が直接行ってきた、防衛産業への内局や自衛官の幹部OBの押し込みとその見返りとしての高い買い物の問題はどこに行ったのでしょうか。こちらにもむろん、政治家が関与しているのですがね・・。

2 談合はようやく根絶やしにされようとしている

国土交通省が、これまで談合の温床となってきた指名競争入札を来年度に廃止し、一般競争入札を原則とする方針を打ち出したという記事(http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060406AT3S0501505042006.html。4月6日アクセス)が先月出ました。これに全省庁や全自治体が右へ倣えすることは必至でしょう。

しかも、談合はますます厳しく罰せられるようになってきています。

今年1月に施行された改正独占禁止法で、談合の事実を公取委に「自首」すれば、課徴金が減免される制度が導入されたほか、公取委に強制調査権限が与えられ、裁判所の令状に基づく捜索・差し押さえが出来るようになり、更に、これまで東京高検に限られていた独禁法違反での起訴が、全国の地検でも可能になりました。

司法当局による談合罪の摘発は個人が対象になるだけですが、公取委による独禁法違反の摘発(ただし、公取委の告発を受けて起訴するのは検察)は企業が対象であり、談合常習犯だった建築土木等の業界も震え上がり、意識を切り替えつつあるようです。

(以上、http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060528ig91.htm(5月29日アクセス)による。)

上記元施設庁幹部たる三被告のうちの一人である河野・前施設庁技術審議官は、4月26日付で懲戒免職処分を受け、退職金がない生活の中で、住宅ローンの返済をしながら、ハローワークで仕事探しをする毎日を送っているとのことですが、「不正な受注調整の・・仕事<は>・・できればやりたくなかった・・ここで一気に切れたことは良かったと思う」と語っています(http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200605270325.html。5月28日アクセス)。

 河野さん達の犠牲のおかげで、施設庁のみならず全省庁の官製談合が根絶やしにされようとしており、更には日本の談合全体が根絶やしにされる可能性まで出てきたのですから、もって瞑すべきでしょう。

3 内局と政治家の責任はどうした