太田述正コラム#1287(2006.6.10)
<施設庁談合事件はどうなった?(その3)>
(本シリーズの「その2」(コラム#1285に若干手を入れてブログとHPの再掲載してあります。)
そうです。財務省/金融庁が、最高検察庁に対し、LD/MFの捜査に全面協力するので、施設庁談合事件の捜査を官僚一般や政治家に波及させないでくれと密かに申し入れ、検察側がこれを飲んだ可能性がある、・・それは官僚機構の走狗にして、自民党の権力維持に狂奔する小泉政権及び小泉後継政権に二重三重に貸しをつくって、財務省/金融庁の権力の回復・増大を図るためだ、・・と私は考えているのです。
それこそ妄想だ、とおっしゃるのですか?
しかし、考えてもみてください。
そもそも、施設庁談合事件に至る一連の官製談合事件の摘発もまた、検察のイニシアティブというよりは、変身した公正取引委員会(公取)・・独禁法の番人・・の「熱意」が検察を動かした、というのが実態に近いことを(典拠省略)。
では、誰が公取を変身させたのでしょうか。
それは、2002年に小泉政権によって公取委員長に任命された、旧大蔵省出身(元国税庁長官)の竹島一彦です。
竹島は、前職の内閣官房副長官補時代に、小泉首相のブレーンとして、診療報酬の引き下げと患者の負担増を柱とする医療改革・・小泉「改革」の第1幕・・を実現した立役者です。
(以上、AERA2006.6.12 31??34頁による。)
いかがですか?
このところの華々しい検察の大活躍は、ことごとく旧大蔵省勢力の手のひらの上での踊りに他ならなかったことがお分かりでしょう。
財務省/金融庁と検察との取引説は、かなり説得力があると思いませんか?(注3)
(注3)前回引用した東京新聞の記事は、「検察内部には米軍再編問題や防衛庁の省昇格見送りを受け、捜査のこれ以上の長期化に難色を示す向きもある」と検察自身の見解らしきものを紹介しているが、苦しい言い訳にしか聞こえない。
なげかわしいのは、マスコミの大勢がこの取引に加わっているかのように見えることです。
実際、私の気がついた限りでは、5月以降、施設庁談合事件が官僚一般や政治家にまで波及しない不可思議さに触れた記事を載せたのは東京新聞だけです。
それどころか、本来マスコミが取り上げない問題を拾い上げるべきネットの世界も、この問題についてはほぼ沈黙しています(注4)。
(注4)これまで気づいた例外は、http://blog.mag2.com/m/log/0000017208/107303978?page=1#107303978(5月29日アクセス)くらいだ。
私は、たとえ一人になっても、マスコミの改心に一縷の希望をつなぎつつ、この問題での戦いを続けようと思っています。
ご支援ご声援をたまわれば幸いです。
(とりあえず、完)