太田述正コラム#12330(2021.10.17)
<皆さんとディスカッション(続x4959)>

<太田>(昨夜)(ツイッターより)

 参加者6名、うちスカイプ参加者2名という史上最もこじんまりとしたオフ会になったが、議論は白熱。
 次回は12月18日、演題は、恐らくだが、徳川家康、になりそう。

<Diownnwk>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 宮崎正弘さんは、「こう読み直せ!『日本の歴史』」という本で、文禄・慶長の役はキリスト教国の侵略に対抗するための予防的先制攻撃だったと述べています。
 兵頭二十八さんはおそらくブログで、食糧の現地調達が困難など兵站上負担の大きい朝鮮半島を経由するのではなく、水路で直接、大陸沿岸に攻めかかればよかったと述べています。
 東国・東北から名護屋への集結は水路によるべきだったという太田さんと同じ発想でしょうか。
 津本陽さんの小説「風流武辺」には、九州征伐のときに海が荒れて兵糧船が渡航できず、危うく秀吉軍が壊滅するところだったという記述があります。
 島津義久に「あと一月堪えよ、さすれば秀吉の目論見は完全に破綻するぞ」というような近衛前久からの連絡はなかったのでしょうか。

<TSY>

 太田さん、昨日はオフ会、楽しかったです。ありがとうございました。
 質疑応答コーナーで、引用させていただいた蘇峰の文、写真で申し訳ないですが送ってみます。
 今調べてみると、<彼の『>近世日本国民史<』>の過半は、『国立国会図書館デジタルコレクション』で、デジタル化されていました。
https://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?viewRestrictedList=0&fulltext=&detailSearchTypeNo=A&publisherOp=&publisher=%2F%22%E6%B0%91%E5%8F%8B%E7%A4%BE%22%2F&filters=4%3A14&title=%2F%22%E8%BF%91%E4%B8%96%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%B0%91%E5%8F%B2%22%2F&materialTypeList=0%7C1%7C2%7C4%7C5%7C6%7C7%7C8%7C16%7C9%7C19%7C18%7C17%7CI&titleOp=
 ダウンロードも可能です。
 蛇足ですが、ダウンロードした、文字検索不可能なページ画像PDFを、検索可能なファイルに変換できます。
 Adobe Acrobat Proというソフトで、読み込み、このソフトの「tools」→「Recognize Text」→「In This File」→このウィンドウ内のSettings をEditボタンを使って、Rrimary OCR Language: Japaneseにする→OK
 これで、変換できます。
 {僕のは、Adobe Acrobat X version 10.1.16です}
 変換したファイルから扱える形でテキストだけ切り出せればよいのですが、その方法は、探る時間がありませんでした。縦書き横書き、ルビの処理がポイントになりそうです。

 [添付ファイル]

 ● 日本史はどう書かれるべきか
約2000年続く「天皇朝時代?」だけの日本史を記述するためには、西洋史の概念ではだめ、というのが太田さんの実感とのこと。
 日本史の独自性を体感して、独自の概念をつくり、その独自概念で、日本史を再記述できた書き手以外は、日本史がわかっていないということになります。
この線で徳富蘇峰を見ると、この箇所が目につきました。「西洋流の歴史記述方法を、私は採用しません」と蘇峰は宣言します。
 西洋史の概念ではだめだから、西洋流の歴史記述方法を採用しませんと、読み替えると、前段の内容と重なってきます。
 <画像省略(太田)>
 ●明軍と日本軍
明との戦争に勝ち、さらに長期的な領域支配が可能と、秀吉がみていたとする説。
 太田さんだと、日本軍が勝つのは当然で、むしろ戦争目的未達で、引き上げた理由を考えるべきですという、一歩進んでの、でも、当然な疑問提示になっています。
余談ですが、この部分を読者が不審がる理由、僕はこう思っています。
 今の読者は、戦争の基本モデルが、第一次世界大戦以降になっちゃってる。なので、軍と軍が戦場でたたかって、破れただけで、地図の色が変わってしまうと考えるのが苦手です。
 また、領土が広大な大国でも、軍事力が貧弱なことがあり、軍事力が強力な小国に、戦争で敗れて、簡単に政権が小国に移るということを、想像した経験が乏しいようにも思います(ソ連と米国がたまたま大領土国家だったので、西葡蘭仏英の小領土国の世界征服の史実が頭から飛んじゃう)。
蘇峰は太田さんの鋭い設問を、残念ながら設定できていませんが、秀吉の勝って当然という軍事的計算を裏付ける史料を用意しています。
 <画像省略(太田)>
●天皇朝時代
聖徳太子コンセンサス(天皇家とつながった自前領地保有戦士(非郡県))、日蓮主義、島津齊彬コンセンサスと、日本の世代を超える超長期戦略(企業の長期計画5年と較べて)の立案と実行は、すべて天皇家が中心。
 すると日本史は、天皇家のこの超長期戦略を軸に、書かなくてはいけない。
蘇峰には、このような考えはない。
 だけど、天皇が、理由は不明だけれど、歴史記述の中心になるのは、当然という感覚はある。
 とくに明治は、天皇の役割が決定的だったと、蘇峰は確信している。
 しかし、明治以前の天皇家の記述は『近世日本国民史』では弱い。
 この点で、蘇峰の仕事も、他の日本史家の仕事と同じく、超長期戦略無視という欠点がある。
とはいえ、超長期戦略に気がつかないにもかかわらず、理屈を超えた天皇家崇拝感覚を、蘇峰も有しており、この部分などは、その感覚がよく伝わってくる。
以下の引用は、『近世日本国民史』100巻の、ほんとに、最後の、したがって、もっとも著者として力の入る箇所からの引用。
 <画像省略(太田)>

<太田>

 コロナウィルス「問題」。↓

 <でかしたー。↓>
 「・・・死者は13人増えて計1万8089人となった。・・・」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL250V00V21C20A1000000/

 それでは、その他の記事の紹介です。

 これで、9条の政府解釈支持で、全政党が一致。
 脳死じゃー。↓

 「共産党、立憲民主党が政権取ったら「自衛隊は憲法違反」封印・・・」
https://news.livedoor.com/article/detail/21041356/

 私がオシてる小林愛美、ファイナルへ。よかったよかった。↓

 「ショパン本選に邦人2人が進出 国際ピアノコンクール・・・」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/137277
 「【速報】3次予選結果発表【ショパンコンクール2021】・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=lu8Ym-PLrng
 「祝!日本人2名がファイナルへ!ショパンコンクール決勝課題曲!ピアノ協奏曲を分かりやすく解説!ファイナルの演奏を楽しもう!【ショパンコンクール2021】・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=m-0XhWCqWwU

 で、名前だけ知ってた白鳥省吾(1890~1973年)について調べてみたら、「ヒット曲『星影のワルツ』で知られる・・・一方で、靖国神社の遊就館をうたった「殺戮の殿堂」(詩集『大地の愛』に1919年収録)は日本を代表する反戦詩として注目を集めた。・・・逝去。・・・。即日、詩壇に尽くした功績により、昭和天皇より銀杯を下賜される。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E7%9C%81%E5%90%BE
ちゅうんだが、よー分からんわ。↓

 「ノーベル物理学賞・・・受賞<の>・・・真鍋淑郎さんが米国の自宅・・・リビングの壁にかかった2編の詩<は、>▼井上靖の「渦」と、もう一つは白鳥省吾の作品・・・」
https://www.asahi.com/articles/DA3S15079104.html?iref=comtop_Opinion_05

 吾らがゴーン、旧拘置所に戻りたい気持ちを事実上吐露。↓

 「・・・ゴーン被告は、日本の印象について問われ「18年も日本に住んで、子どもたちも日本の教育を受けていますし、日本の友人も大勢います。箱根、軽井沢、富士山、(香川県)直島、京都に行ったのは、私の人生の重要な一部です」と思い出を語り、「悪意のある人たちが突然私を破滅させようとしたからといって、日本が嫌いだとは言えません」とした。
また、現在の愛車については「4WDの『パトロール』」と回答。「『パトロール』は、日産の車で、私が開発段階から関わっていました。車はボディーガードが運転しています。監修したので、エンジンやトランスミッションも分かっています。非常に頑丈で塵や埃にも強いんです」と明かした。・・・」
https://news.livedoor.com/article/detail/21041909/
 <ゴーンの新拘置所の現況再訪。↓>
 ・・・In recent years, the tiny nation・・・Lebanon・・・ has faced compounding crises, including the pandemic, severe shortages of basic goods and fuel and the erosion of the state’s legitimacy.
https://www.washingtonpost.com/world/2021/10/14/leabnon-beirut-protests-fighting-violence/

 日・文カルト問題。↓

 <韓国、日本に壊滅的敗北。↓>
 「・・・死者は前日から16人増えて計2660人となった・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20211017000400882?section=society-culture/index
 <いや、カルト信徒だからよ。↓>
 「・・・なぜ韓国は、日本のコロナ感染者減少について、過剰に反応するのだろうか。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏が語る。
「一言でいえば嫉妬でしょう。・・・」
https://news.livedoor.com/article/detail/21041290/
 <そーずら。「非科学的な迷信崇拝」の最近形態が文カルト崇拝。↓>
 「・・・技術者蔑視の歴史の余波と非科学的な迷信崇拝が、韓国人のノーベル賞(自然科学)を遠ざけている大きな理由・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E3%81%8C%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B-%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%8C%E8%87%AA%E7%84%B6%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%B3%BB%E3%81%AE%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E8%B3%9E%E3%82%92%E3%82%82%E3%82%89%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1/ar-AAPBXzx?ocid=msedgntp

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <英語媒体より。
 アメちゃんにしちゃあ少なくとも問題意識は正しい、という点で拍手。↓>
 ・・・China’s absence from Bondworld is part of a general absence in American cinema. Out of fear of losing the Chinese market, and amid the aggressive use of commercial soft power by Beijing, in the almost quarter-century since Brad Pitt’s “Seven Years in Tibet” and Richard Gere’s “Red Corner,” no major Hollywood release has portrayed the Communist regime in a substantially negative light. Instead, China appears in our pop productions in soft focus, as in “The Martian” and “Arrival,” or else takes a fantastical form, as in “Mulan” and “Shang-Chi.”
 Or just as often, as in the Craig movies, it barely appears at all. The Asian pop culture that has increasing influence on America is mostly Korean and Japanese, while China — despite all its power, despite our economic intertwinement, despite its crucial role in our political and now our public-health debates — remains more a domain for experts, its internal life and culture more distant and opaque.・・・
  What kind of regime is China, really? A Marxist-Leninist state with capitalist trimmings? An authoritarian meritocracy? A fascist state with Maoist characteristics? A new form of digitized totalitarianism? A neo-Confucian order, channeling ancient conservatism through modern one-party rule? A dark-mirror version of internet-age America?
Americans have never exactly excelled at understanding other societies・・・」
https://www.nytimes.com/2021/10/16/opinion/james-bond-china.html
 <邦語媒体より。
 習ちゃん、ちゃんと見通してたんだろな。↓>
 「ドンキ大盛況の香港、経済堅調の理由 自由や民主は損なわれたけれど・・・」
https://www.asahi.com/articles/ASPBG536BPB9UHBI01X.html?iref=comtop_Rensai1_01
 <ここからは、サーチナより。
 新しそうだが、「声」は常識的。↓>
 「「台湾ってなんか日本っぽい」と感じる瞬間は? 中国ネット民の声・・・中国のQ&Aサイト知乎・・・」
http://news.searchina.net/id/1702821?page=1
 <これも新しそうだが、参考になるとして挙げられた事例がよー分からん。↓>
 「貧困に喘ぐ中国の農村、「日本の農村改造こそ参考になる」・・・中国メディアの騰訊・・・」
http://news.searchina.net/id/1702822?page=1
 <新しい部分もある。↓>
 「新幹線に乗ってみたぞ! 中国人の目に映った「中国高速鉄道との違い」・・・中国の動画サイト西瓜視頻・・・」
http://news.searchina.net/id/1702825?page=1
 <当たり前やろ。↓>
 「進む円安、日本の輸出に「朗報」、韓国の輸出に「悲報」・・・中国メディアの中国商務新聞網・・・」
http://news.searchina.net/id/1702823?page=1
 <ま、そんなとこで。↓>
 「・・・バンザイという言葉は本来「永遠に存在する」という意味を持ち、臣下が君主を祝うために発する言葉であった<が、>・・・現代の日本では「バンザイ」という言葉を日常生活の中で広く用いて<おり>・・・、日本の国民的スポーツである野球の試合などで、ひいきのチームが勝利した際にファンたちが大声で「バンザイ」と三唱する光景<や>・・・衆議院解散で<の>「バンザイ」・・・<等>をしばしば見かける<。>・・・中国のポータルサイト・網易・・・」
http://news.searchina.net/id/1702824?page=1
 <習ちゃん流の対日攻勢なんじゃらほい。↓>
 「・・・沖ノ鳥島は国連の大陸棚限界委員会によって大陸棚と認定されているのに対し、九段線に囲まれた南シナ海の地域に関する中国の主張について、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」との判決を下している。
 ところが・・・中国メディアの網易・・・記事は、この事実を無視して、日本は岩に過ぎない沖の鳥を「島」としているのに、南シナ海で中国が主張する島については「岩礁」だと批判するのは、「役人は放火をしても許されるが、民は明かりをつけることさえも許されない」ようなものだと強く批判した。」
http://news.searchina.net/id/1702826?page=1
 <習ちゃん、習ちゃんが成功している、という理解でよろしいね?↓>
 「・・・中国のQ&Aサイト・知乎にこのほど、「子どものころから日本人の悪いところを教わってきたのだが、次の世代にも同じ方法で教育すべきなのか」と質問するスレッドが立った。
 中国人のなかでも、日本への憎しみや恨みを植え付ける教育方法に疑問を持っている人は多いようで、「良くない」と答える人が圧倒的に多かった。」
http://news.searchina.net/id/1702827?page=1
 <同じく。↓>
 「・・・中国のQ&Aサイト・知乎にはこのほど、「東日本大震災に義援金を最も多く送ったのが台湾だったことについて、どう思う?」と題するスレッドが立てられ<たところ、>・・・多かったのが「人道的支援と政治的立場とは別だ」というもので、台湾には困っている国があるとすぐに助けの手を差し伸べる良さがあると評価する人もいた。この人は中国も四川大地震の際に台湾から巨額の支援を受けたことで台湾に感謝していた。「台湾も地震が多いので、他人事とは思えなかったのだろう」と答えた人は、逆に「何か問題でも?」と聞き返していた。
 もっとも、日台関係が中台関係よりも良いのは認めざるを得ない、という指摘も多かったが、決して否定的な感情は抱いていないようだ。日本人と台湾人の恋愛を描いた映画「海角七号」を観たことがあるという人は、「侵略国と非侵略国が友情関係に発展するのはいいことじゃないか」と好意的だった。
 また、中国本土と台湾はいわば家族の関係だが仲が悪く、家族より隣家と仲が良いというのは何もおかしな話ではないとする人がいた。そのため、台湾が「隣家」の日本と助け合うのは筋の通った話だと説明していた。」
http://news.searchina.net/id/1702828?page=1
 <定番。↓>
 「中国人が「我が子は日本の子どもとの競争に勝てるのか」と不安がる理由・・・
 中国の動画サイト・西瓜視頻は・・・、「日本の武道教育」を紹介する動画を配信した。・・・」
http://news.searchina.net/id/1702829?page=1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

太田述正コラム#12331(2021.10.17)
<2021.10.16東京オフ会次第(続)>

→非公開