太田述正コラム#1440(2006.10.9)
<北朝鮮核実験か>

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――   「阿倍能成」は「安倍能成」の誤りであるというご指摘があり、コラム#1437および1439を訂正しました。なお、コラム#1439の「注1」についても誤りを発見し、直してあります。このほか、コラム#1438のミスプリ等も直してあります。
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 北朝鮮は、10月9日、10時36分に地下核実験を行ったと発表し(
http://www.sankei.co.jp/news/061009/kok009.htm。10月9日アクセス)、北朝鮮北東部の咸鏡北道の明川郡花台里(Hwaderi)を震源とするそれらしき地震波が韓国と日本で観測されました。
 爆発の規模は、TNT火薬換算で100トンから800トンとされています(http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006100901000308.htmlhttp://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061009k0000e040032000c.html
(どちらも10月9日アクセス)。
 北朝鮮は、中共に核実験を行うと20分前に事前通告し、中共は米日韓3カ国にその旨を通報しました(
http://www.cnn.com/2006/WORLD/asiapcf/10/09/korea.nuclear.test/index.html
。10月9日アクセス)。
 これが核実験だったとすれば、長崎に投下されたタイプであるプルトニウム原爆の実験であったと考えられますが、爆発の規模が小さいことが、北朝鮮が、スカッドやノドンといった弾道弾に搭載できる程度、核弾頭の小型化に成功したことを意味するのかどうかはまだ不明です。
 米国・中共・韓国がどうような対応をとるのかが注目されますが、中共が、ただちに、名指しで「断固反対する」との声明を行ったことは注目されます(
http://www.asahi.com/international/update/1009/008.html
。10月9日アクセス)。
 米国は、既に9月4日の段階で、明確な姿勢を打ち出しています。
 米国務省のヒル(Christopher R. Hill)次官補の「<北朝鮮には、>将来があるのか、核兵器を持つのか、そのどちらかだ。・・われわれは核を持った北朝鮮と共存するつもりはない。われわれはそんな事態を受け入れない。(North Korea "can have a future or it can have these weapons. It cannot have both,・・・We are not going to live with a nuclear North Korea, we are not going to accept it,")」という発言(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/10/05/AR2006100500617_pf.html
。10月6日アクセス)です。
 これは、武力を含むあらゆる手段を用いて北朝鮮に核を放棄させる、ということです。
 韓国については、本日1700過ぎにTV(10チャンネル)で見た、ノ・ムヒョン大統領の記者会見で、彼がずっとうすら笑みを浮かべていたことが気になりました。
 事態の深刻さがまるで分かっていないのではないか、ノ・ムヒョンは行為能力を失っているのではないか、とさえ思いました。
 ノ・ムヒョン政権の、北朝鮮が核実験実施宣言を行った以降も、北朝鮮の水害復旧のために支援を決めたセメント10万トンのうち、6400トンを5日、予定通り北朝鮮に北朝鮮に送る(
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/05/20061005000010.html
。10月6日アクセス)という極楽トンボぶりには、全く困ったものです。
 既に今年7月に、金正日は、「今や全世界が敵であり、自力で難問を解決すべきだ」という指示を行っているという報道(
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20061007/mng_____kok_____001.shtml
。10月7日アクセス)もあります。
 この金正日の情勢分析どおり、中韓を含め、全世界が一致団結して、北朝鮮に対処してほしいと切に思います。