太田述正コラム#1475(2006.10.29)
<女性の特質>

1 始めに

 私のコラム読者は圧倒的に男性が多そうです。
 有料読者127名中、中には女性で男性名のハンドルネームを登録されておられる方もあるかもしれないけれど、女性のお名前は2名だけです。
 これだけ見ても、男性と女性には嗜好に大きな違いがあることが分かります。
 私のコラムを昔から読んでこられた読者はお分かりだと思いますが、私は男女同権論者であり、女性の社会参画推進論者です。
 しかし、男性と女性が違う生き物であることを私が知らないわけではありません。
 男性と女性が違うからこそ、女性差別を撤廃し、女性の一層の社会参画が促進されることが、社会の活力を増進させる、と考えていると言っても良いかもしれません。
 避雷針的文章はこれくらいにして、本日は、女性が男性とどんなに違うか、科学者と作家が最近言っていることを二つご紹介しましょう。

2 科学者

 排卵期には、エストロゲン(Estrogen)やテストステロン(testosterone)といったホルモンの分泌が盛んになり、女性の肌はやわらかく、乳房は大きくなり、臭いも強くなります。子宮頸部の弾力性は増し、膣は分泌も増え、性交が円滑にできるようになるとともに精子が子宮に入り易くなります。女性の性欲も増します。
 この結果、無意識的に女性は変化します。つまり、メーキャップは濃くなり、より沢山のアクセサリーをつけ、肌をより露出する衣類を身につけます。中には、他の女性と張り合ったり、パートナー以外の男性に興味を持ったり、男性ホルモンに惹かれたりする女性もいます。
 以上はこれまでに分かっていた事実ですが、最近新たに分かったことがあります。
 米国のUCLAの研究が、排卵期の女性はそうでない時期の女性に比べて、男性にとってより魅力的に見えることを実験で明らかにしたのです。
 (以上、
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200610/200610280001.html
(10月28日アクセス)による。)

3 作家

 英国の作家のウェルドン(Fay Weldon。1931年??)は、有名なフェミニストであり、女性はワルであってよい(be bad)とこれまで主張してきました。
 父なし子を生んでから二度の結婚・離婚を経て、三度目の夫と結婚して暮らしている、というだけで、彼女がどんな人物か想像できるでしょう。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/Fay_Weldon
(10月29日アクセス)による。)
 そのウェルドンが、反フェミニスト宣言とも言うべき’What Makes Women Happy?’, Fourth Estateというエッセーを上梓したので、英国で話題になっています。
 彼女は、セックスによって男性は98%が常にオルガスムに達するけれど、女性は常にオルガスムに達するのは10%だけであって、80%の女性はたまにしか、或いは生涯一度もオルガスムに達しない、という厳然たる事実を踏まえ、女性は男性ほど簡単には大きな幸福を味わえないことを自覚し、オルガスムに達したフリをすることで、男性をうれしがらせ、そのことによって自分もより幸福になる、という智恵を身につけるべきだ(注)と主張します。

 (注)ウェルドンが、オルガスムスに達したフリの最高傑作とするのが、映画When Harry Met Sallyでのメグ・ライアン(Meg Ryan)の演技だ。
(その写真が3枚
http://www.dailymail.co.uk/pages/live/femail/article.html?in_article_id=403998&in_page_id=1879
(10月29日アクセス)に載っている。ただし、「期待」した方は裏切られますぞ。)

 彼女に言わせれば、女性は、セックスの際同様、大きな幸福を味わえない運命をさずかっているところ、その代わり神様は女性がささやかなことで幸福になれるようにしてくれたのだけれど、残念ながら、その幸福感は10分間しか持続しない、というのです。
 すなわち、女性は男性とちがって、オルガスム抜きのセックスとか、チョコレートの一囓り、食事、買い物、友達とのおしゃべり、家族との団欒といったごく身近なささいなことでいとも簡単に幸福になれるのだけれど、これまた男性と違って、幸福感が短時間で消えてしまう、というのです。
 その上で、ウェルドンは、女性が幸福感を引き延ばす秘訣は、セックスの際の演技のように、いいこブリッ子(be good)することだ、と助言します。買い物で女性はイメージ通りの靴に出会い、しかもその靴が足にビッタリだとそれだけで幸福になるけれど、この幸福感を長続きさせるためには、靴を何足も買いすぎないことだ、さもないと乱費をしてしまったという罪悪感で幸福感は短時間で雲散霧消することになる、と彼女の助言は具体的です。
 (以上、デーリーメール前掲、
http://books.guardian.co.uk/news/articles/0,,1863834,00.html
(9月6日アクセス)、及び
http://books.guardian.co.uk/departments/generalfiction/story/0,,1865196,00.html
http://living.scotsman.com/topics.cfm?tid=1417&id=1372682006
(どちらも10月29日アクセス)による。)

4 コメント

 ウーム、まことに女性は複雑ですな。
 これに比べると男性なんて、四六時中発情しているし、万馬券にあたったり、エベレストをスキーで滑降したり、ヨットで無寄港世界一周したり、ノーベル賞をとったりしないと幸福になれない上、この種の挑戦を繰り返すことで幸福感を持続させようとする、と単純明快です。
 通俗的ながら、この二つの異なった性が織りなすからこそ、人生は面白いのでしょうね。