太田述正コラム#12458(2021.12.19)
<2021.12.18東京オフ会次第(続)>(2022.3.13公開)
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[志茂について]
「大石良欽・良重の父の「大石良勝<(1587~1650年)は、>・・・関白豊臣秀次の家臣・大石良信の次男として誕生。母は近衛家家臣・進藤長治の娘・志茂。」(コラム#12455)
と、「講演」原稿に書かれているので、志茂が近衛家の子(すなわち近衛志茂)でなかったことは間違いない。
オフ会席上で白状したように、オフ会当日までに、私は既に「原稿」中に書かれたことの殆どは忘れてしまっていたので、私が本件についてその場でまともに答えられなかったことはやむをえまい。
(その折、当該女性が名前さえ定かではない人物であるなどという頓珍漢なことまで口走っていることこそ、私が「殆どは忘れていた」ことの証明だ。)
なお、あの大石良雄は、この良勝の曽孫にあたる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%9F%B3%E8%89%AF%E5%8B%9D
だから、「大石家と近衛家は姻戚なのです」という泉秀樹氏の記述は、「姻戚= 結婚によって親類関係となった者」である
https://kotobank.jp/word/%E5%A7%BB%E6%88%9A-437501
以上、完全な誤りであり、従ってまた、このAさんの(二度にわたることとなった)指摘も誤りだ、ということになる。
泉氏の誤りが何に由来するかは、第一は調査不足、第二は記憶違い、第三は「姻戚」の意味を知らなかった、の全てか一部だと考えるのが穏当ではあるけれど、第四に、(正しい意味での)「姻戚」にはあたらないことを承知しつつも、「~家出身」という、通常、家に関しては使われない、使われる場合はぼかす目的で使われる、ところの、「出身」(注)、という言葉を使っていることから、読み手には家の関係者なのか家の子なのか判然としないであろうことを敢えて狙った確信犯である可能性も完全には排除できまい。
(注)「1 その土地・身分などの生まれであること。その学校・団体などから出ていること。「九州の―」「民間―の閣僚」「―校」 2 官に挙げ用いられること。出世すること。」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%87%BA%E8%BA%AB/
というのも、そうすることで、とりわけ、家の子のことだと誤解した、読み手、に対して、彼の結論の信憑性が増すからだ。
泉氏が「作家」でもある(コラム#12455)ことを思い出さざるをえない。
他方、このAさんの誤りが何に由来するかについては、これは、Aさん自身に、ぜひお考えいただきたい。
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それにしても、貞明皇后の武勇伝については、あの志の低い九条家・・同皇后は同家出身・・に、突然志高き近衛家が憑依したかのような話であるわけで、一体全体どうしてそんなことになったのかについても、残された私がぜひとも解明しなければならない諸事柄のうちの一つだ。
ところで、貞明皇后は、九条家によって、彼女を日蓮宗信徒にさせるべく選定された家に里子に出されたわけだが、里子制度って面白いと思うな。
D:(現在進行形の)三条実美のシリーズでも里子の話が出てきた。
E:近衛信伊が秀吉によるところの、秀吉流日蓮主義に基づく唐入りを挫折させたのは、やり過ぎだったのではないか。
O:秀吉がやらかした近衛家との約束違反は、豊臣家によって近衛家(というか、藤原氏)の摂関家としての役割が未来永劫奪われることを意味しかねないのだから、近衛家の怒りは単なる私憤ではなかった。
しかも、この憤りは、結果としてであれ、秀吉による秀吉流日蓮主義の遂行に反対していた後陽成天皇の意向を代弁していることにもなった。
つまり、近衛家の憤りは、二重の意味で公憤でもあった、と、考えたらいかが。
D:それに、そもそも、(筋金入りの近衛家とは違って、)秀吉より後の豊臣家の当主達が、(秀吉が完遂未満で亡くなってしまった場合、)引き続き、秀吉流日蓮主義の完遂を目指し続けるという保証もないわけだし・・。
O:おっしゃる通りだ。
さすがに秀吉ほど国内外情報を近衛家は掌握していなかっただろうから、秀吉のように、唐入りが確実に成功する、うまくいけば秀吉存命中にも成功する、とまでは近衛家は思っていなかったはずだ。
A:『大日本史』の太田さんの評価は過大なのではないのか。
O:『大日本史』が水戸学を形成し、
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8F%B2-91827
「幕末の政治運動の支柱とされる尊王攘夷論は、この水戸学の中核をなすものと考えられる」
https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4%E6%88%B8%E5%AD%A6-139008
ことを、ぜひ思い出して欲しい。
(続く)