太田述正コラム#1585(2006.12.23)
<英国民の宗教意識>

1 始めに

 英国で行われた最新の宗教意識調査の結果をご紹介しましょう。

2 調査結果

 (1)基礎データ
 その前に、基礎データを押さえておきましょう。
 英国の2001年のデータによれば、71.6%の者がキリスト教徒であり、宗派別の教徒の数の順序は、英国教徒(Anglican)、カトリック教徒、ペンテコステ派(Pentecostalist。キリスト教原理主義の一派)の順になっています。
 ただし、カトリック教徒は11%しかいませんが、定期的に宗教行事に参加している者のうち26%を占めており、定期的に宗教行事に参加している者だけをとれば、カトリックが英国最大の宗派です。2004年にポーランドがEUに加盟してからは、ポーランドからの移民が何十万もやってきており、彼らの約三分の一は熱心なカトリック教徒なので、この数字は上昇傾向にあります。
 また、2005年のデータによれば、英国のキリスト教徒の83%は白人であり、黒人は10%ですが、ロンドンに限ると、黒人が44%でその他の非白人が14%です。
 イギリスとウェールズの修道士(monk)の数は全部で1,345名であり、多くは60台と70台であって、2004年にはわずか12名しか新たに修道士にはなっていません。修道女(nun)の数は全部で1,150名であり、1982年には新たに100名が修道女になりましたが、2004年には7名に減ってしまっています。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/religion/Story/0,,1978045,00.html(12月23日アクセス)による。

 (2)今回の調査結果
 
 自分を宗教的な人間であると思う者は33%で、そうでないと思う者は63%に達しました。
 神の存在を信じる者は老人と女性に多く、自分を宗教的であると思う者は、男性では29%なのに、女性では37%でした。
 教会等の宗教施設を週少なくとも1回訪れる者は13%しかなく、43%の者は、一度も宗教行事に参加したことがありません。
 キリスト教徒の数値が特に低いのであって、キリスト教徒以外に限ると、29%が少なくとも週1回宗教行事に参加しています。
ただし、キリスト教徒も、クリスマスの休日の期間中に54%が宗教行事に参加するつもりであると答えています。ちなみに、富裕層では64%がクリスマスの時に宗教行事に参加するつもりであると答えているのに対して、貧困層では、43%だけがそう答えています。
最も注目されるのは、宗教を分裂と緊張の原因であると見るものが82%に達し、そうではないとする者はわずかに16%にとどまったことです。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/religion/Story/0,,1978044,00.html
(12月23日アクセス)による。)

3 感想

 米国や日本についても、数字をあげて比較すべきところですが、英国人の宗教意識が、ずいぶん日本人のそれに似通ってきているな、と思いますね。
 早くこの点でも英国と手を携えて、キリスト教原理主義に傾斜しつつある米国を善導しなければ・・。