太田述正コラム#12855(2022.7.6)
<皆さんとディスカッション(続x5221)>

<太田>

 ウクライナ問題。↓

 <確信だけじゃあダメなんです。↓>
 「英首相、ウクライナ軍によるロシア占領の地域奪還を確信・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E8%8B%B1%E9%A6%96%E7%9B%B8-%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E8%BB%8D%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%8D%A0%E9%A0%98%E3%81%AE%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%A5%AA%E9%82%84%E3%82%92%E7%A2%BA%E4%BF%A1/ar-AAZdT4a?ocid=msedgntp&cvid=add5b666c83044f2a2b287b09321e6d6
 <そんなこたあ分かっとるで。↓>
 Ukraine War: Battle for Luhansk Proves Russia Can Only Make Small Gains・・・
https://www.haaretz.com/world-news/europe/2022-07-04/ty-article/.premium/ukraine-war-battle-for-luhansk-proves-russia-can-only-make-small-gains/00000181-caaa-d83b-a3d3-daeb8b630000
 <てやんでえ。↓>
 「北大西洋条約機構(NATO)加盟の全30カ国は5日、ブリュッセルの本部で、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟議定書に署名した。・・・
 ただトルコは、北欧2カ国が約束したテロ対策などを履行しなければ批准しないと警告しており、手続きが難航する可能性もある。」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b54f2b2255ce30b6e0a7528ae2439a8be2b6c45f
 <めでたい。↓>
 「フィールズ賞、ウクライナ出身ヴィヤゾフスカ氏…女性で史上2人目・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/techandscience/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E8%B3%9E-%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E5%87%BA%E8%BA%AB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%A4%E3%82%BE%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AB%E6%B0%8F-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%A7%E5%8F%B2%E4%B8%8A%EF%BC%92%E4%BA%BA%E7%9B%AE-%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%81%AE%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E8%B3%9E/ar-AAZdgF9?cvid=6513482027f145679454839e2ced292d
 <はいはい。↓>
 「・・・ルーシ族がノルマン人であったと断定する証拠がないのと同じく、ルーシ族がスラヴ人であったと断定する証拠もありません。いずれにしても、ルーシ族の出自がはっきりしないというのが事実です。その意味において、ロシア国家の起源もはっきりしません。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/73af4a4c003a289611e557ed3bd64c5adace266e

 それでは、その他の記事の紹介です。↓

 シー!↓

 Fukushima fishermen worried about nuclear water release plan・・・
https://www.bbc.com/news/av/world-asia-61741382

 同性「婚」ができないのって当たり前じゃん。↓

 ’I’m an American in Japan, I’m Not Allowed To Get Married’・・・
https://www.newsweek.com/im-american-japan-im-not-allowed-get-married-1721559

 こういう残念な人々によって、神話は、いつの時代にも創り出されるものなんだねえ。↓

 「・・・「・・・明治から戦前・戦中の近代史77年の中には、『他国への侵略のために、国が国民の生命と財産をいかに博打(ばくち)のように使い、いかにひどいことをやるのか』の答えが全てあります」 「日本は江戸時代の270年間、一度も対外戦争をしませんでした。それが鎖国を解いて近代国家になったら、今度は明治27(1894)年の日清戦争を皮切りに10年おきに戦争をやる国になった。しかも極めて帝国主義的な侵略戦争です。ヨーロッパ諸国が帝国主義的な戦争の段階から脱皮していく中、日本はいわば『最後の帝国主義国』として東南アジアや中国に対応した」
 「そんな戦争の歴史を見ていくと、『この国は戦争を営業品目に使っていた』ことに気づきます。何のために戦うのかを考えることなく、とにかく勝って賠償金と領土を取り、帝国主義国のトップに上り詰め『一等国』になるのだと。軍人はそのための営業マンだったのです」  現状を自国の歴史と重ね合わせる視点が大事だと、保阪さんは言う。例えば、ロシアがウクライナ東部にある親ロシア派支配地域の独立を一方的に認め、「東部の住民保護」を名目に侵攻したことは、満州国を作り、中国と全面戦争に突入した日本と重なりはしないか。 「今、プーチンを批判したときに『お前たちだって同じようなことをやっていたじゃないか』と言われたら、私たちは決してそれを否定できません。歴史を学び、『満州事変は本当にプーチンのやり方と一緒だな』とまず知ること。・・・」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/86c7adf50046306821327054c8b15614e551de30

 日・文カルト問題。↓

 <生まれた時からずっと米国籍とは残念でちたねー。↓>
 「日本人学者に出会い数学の道に 韓国系初のフィールズ賞受賞・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e4%ba%ba%e5%ad%a6%e8%80%85%e3%81%ab%e5%87%ba%e4%bc%9a%e3%81%84%e6%95%b0%e5%ad%a6%e3%81%ae%e9%81%93%e3%81%ab-%e9%9f%93%e5%9b%bd%e7%b3%bb%e5%88%9d%e3%81%ae%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%82%ba%e8%b3%9e%e5%8f%97%e8%b3%9e/ar-AAZdhkD
 <報道価値ゼロ。↓>
 「日本経団連と会った李在鎔サムスン副会長…素材・部品・装備の輸出規制解けるか・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/292865
 「李在鎔三星副会長が経団連会長団と懇談、韓日経済協力案について意見交換・・・」
https://www.donga.com/jp/home/article/all/20220706/3492925/1
 <ひつこいだ。↓>
 「韓国音楽評論家、坂本龍一曲盗作論議のユ・ヒヨルを批判「恥ずかしい水準」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/292894
 <アイゴー。↓>
 「「レクサスしか買わない」韓国で”終わった”と思われていた日本車が復活=ネットには賛否の声・・・韓国メディア・韓国経済・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b897094-s39-c20-d0191.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <客観報道。↓>
 「東京で42人が熱中症疑いで死亡、暑くてもエアコンつけないことが主因か・・・中国メディアの観察者網・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b897180-s25-c30-d0052.html
 <同じく。↓>
 「中国の一部ネットユーザーに称賛される日本のグラウンド、日本人はうんざりだった・・・中国メディアの観察者網・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b896792-s25-c30-d0193.html
 <これもそう。↓>
 「ロシアで新会社設立され日本が緊張、一体何が?・・・中国中央テレビのウェブサイト中視網・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b897088-s25-c100-d0193.html
 <これもまたそう。↓>
 「ノーベル賞1年に1人ペースの日本がまた注力か・・・華字メディアの日本華僑報網・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b897107-s25-c30-d0190.html
 <「応援」に感謝す。↓>
 「日本の15歳が「中国の夢」をもう少しで打ち破るところだった・・・香港メディアの香港01・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b897215-s25-c50-d0052.html
 <姑娘出たアル。↓>
 「福原愛さんの同居報道、中国でも注目・・・中国のエンタメ系メディアの新浪娯楽・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b897172-s25-c30-d0192.html
 <なにせ、日本文明総体継受中だもんな。↓>
 「・・・記事は、「同作はフィクションとはいえ中国の時代劇だ。にもかかわらず、作中の男性が身に着けているローブには、古代中国の皇帝のローブによく見られた竜の刺しゅうはなく、代わりに日本の象徴とも言える桜の刺しゅうが施されていた」と指摘。また、帽子についても「日本にしかない垂纓冠(すいえいのかん)にそっくり」とした。
ヒロインの衣装についても「異国の雰囲気があり、基本的には和服のコピーだ」としたほか、「注意深いネットユーザーは脇の下に隙間が空いているのを発見したが、これは和服の特徴でもある『八つ口』である」と指摘。さらに、ストーリーが進むにつれてヒロインがすしを食べるシーンまで登場したといい、「視聴者に訪れる場所を間違えたかのような錯覚を起こさせた」と評した。
記事によると、中国のインターネット上では同作をきっかけに「倭(日本)を華(中国)の代わりにする」ことへの問題提起が相次いで行われ、他の作品にも影響を与えている。ウー・レイ(呉磊)とチャオ・ルースー(趙露思)が主演する待機作品「星漢燦爛」のポスターでは、衣装の帯の結び目が和服のそれと似ているとして批判の声が上がり、関連の画像が削除される事態になった。・・・中国メディアの観察者網・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b897149-s36-c70-d0052.html

<太田>

 昨日、『學士會会報 July No.955 2022-IV』が届き、珍しく収穫が多かったこともあり、さっそく紹介したい。

 「・・・ポストコロナ経済の対立軸は「古い資本主義」vs「緑の資本主義」ではなく、「緑の資本主義」vs「脱成長」なのです。その意味で、日本はニ周遅れです。・・・

⇒政府はニ周遅れかもしれないが、日本は既に30年前から世界の最先端を走っている。(太田)

 発展途上国にとっては、飢餓と貧困を克服するため、今後も経済成長は必要です。しかし、先進国にとっては歴史的役割を終えたと思います。それどころか、経済成長を求めるあまり、気候変動と格差を深刻化させたことを思えば脱成長だけでは不十分で、際限なき自由な経済活動に強い規制をかけるべきです。・・・
 また、脱成長といっても、何でも縮小すればよいわけではありません。化石燃料に頼らない交通システムへの転換(ガソリン車の減産、電気自動車の増産、カーシェアリングの拡大など)、環境負荷の大きい部門(ファストフード、ファストファッションなど)の見直し、有機農業などは推進すべきでしょう。ただ、今の先進国の過剰な状態を考えると、先進国全体のGDPは減る可能性が高いでしょう。・・・

⇒同感。(ファスト・・・、の箇所はよー分からんが・・。)(太田)

 プーチン派気候変動について、「ロシアは暖かくなれば、毛皮のコートを着なくてよくなる。シベリアが穀倉地帯になり、農業生産性も向上する」と言ったそうです。また、北極の海氷が溶ければ、北極海航路(NSR)と呼ばれる新たな航海ルートが開け、地下資源開発もできるので、「ロシア人は気候変動の恩恵を受けるので、関心が薄い」とも言われます。しかし、ロシアにおける気温上昇は世界の他地域に比べて2.8倍のペースで進んでおり、その結果、永久凍土の融解が進んでいます。これによって起きる地盤沈下は、国土の65%を永久凍土が占めるロシアにとって、深刻な脅威です。既に地盤沈下により、ビル、道路、空港、パイプラインなどに深刻な被害が出ています。・・・

⇒これは気が付かなかった。(太田)

 一人当たりGDPで見るとロシアより貧しいウクライナですが、科学技術の水準は非常に高いのです。このように、ウクライナには気候変動に直面するロシアが渇望する食糧、資源、ITが豊富にあります。私が今回の侵略を、「新たな“気候”戦争。気候危機下の大国間の覇権争い。ロシアの気候危機への適応戦略」と見るのは、そのためです。・・・」(斎藤幸平(注a)「人新世の環境危機と21世紀のコミュニズム」より)

⇒冗談だよね。(太田)

 (注a)1987年~。東大理科二類入学するが奨学金が得られたため、ウェズリアン大進学、同大政治経済学部卒、ベルリン自由代修士(哲学)、同大博士、大阪市立大衛材学研究科准教授等を経て東大総合文化研究科准教授。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E8%97%A4%E5%B9%B8%E5%B9%B3

 「・・・ロシアの米欧への敵対真の原因は、自らの安全が脅かされたことではなく、米欧中心の国際秩序への不満とリベラルな価値観への敵意にあるいことが分かる。NATO拡大は、こうした敵対心の高まりによって、後付けで象徴的に問題化したに過ぎない。また、米欧への不満は1990年代から蓄積されていたが、攻勢に出たのは米欧中心の秩序が揺らぎ始めてから、特に2010年代、台頭する中国に対比して米欧は弱いという認識をロシアが持ってからだった。そこに見られるのは力による勝負の論理であり、米欧がロシアの要求に譲歩していればウクライナ侵攻は起きなかったという見方は的外れであることが分かる。・・・」(宇山智彦(注b)(ともひこ)「ロシアは何をめぐってウクライナ・米欧と対立しているのか」より)

⇒引用冒頭と結論部分は正しいが、後は全て誤り。
 耳タコだろうが、モンゴルの軛症候群なのよね。(太田)

 (注b)1967年~・モスクワ代歴史学部2年間留学(ソ連政府奨学金)、東大教養(教養)卒、同大修士、同大博士課程中退。在カザフスタン日本大使館専門調査員等を経て北大スラブ研究センター教授。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%B1%B1%E6%99%BA%E5%BD%A6

 「・・・西ヨーロッパの他の国でも、かつて政権を交代で独占していた左右の既成政党は、キリスト教民主主義や社会民主主義の政党を中心に、2000年代以降、支持を低減させている。しかし、今回のフランスのように左右の政権党がともに壊滅状態になった例は多にない。・・・なぜフランスにおいてだけ、かくも劇的な変化が起きたのか。今ここで答える紙幅はない・・・。・・・」(中山洋平(注c)「2022年大統領選挙後のフランス政治–「ポピュリズム」から分極化へ?」より)

⇒簡単だろ。
 階級が残ったままでの、キリスト教の死とスターリン主義の死だよ。(太田)

 (注c)1964年~。東大法卒、同大修士、同大博士課程退学、同大助手、同大院専任講師、助教授、准教授、教授。専門は、ヨーロッパ比較政治、フランス政治。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E6%B4%8B%E5%B9%B3

 「・・・鴎外は生涯官途にあった。明治40年(1907)には陸軍軍医のトップである陸軍軍医総監、陸軍省医務局長の階級・職位に昇り、大正6年(1917)以降は帝室博物館総長と図書頭を兼任する宮内官僚として晩年を送った。この間の鴎外の官途の後ろ盾となったのは、陸軍および政官界に絶大な影響力をもった山縣有朋である。常盤会という和歌の会を通じて山縣と近しくなった鴎外は、欧文文献の翻訳や海外における社会主義事情の解説などを請け負う、山縣ブレインのひとりであった。・・・

⇒知らなかったよー。
 でも、鴎外のウィキに山縣なんて影も形も登場せんぞ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E9%B7%97%E5%A4%96 (太田)

 鴎外は国家体制の内部に属する官僚だった。だが、大逆事件後の政府の言論統制を批判した小説『沈黙の塔』<(注d)>や、天皇制の存続可能性を根底から問う連作小説『五条秀麿もの』<(注e)>を発表するなど、外部の視座から国家を批判した。実務面でも、西欧先進諸国の情勢を踏まえつつ、国政の主流方針に反する異見を、山縣有朋人脈を通じて体制内部に送り続けた、と<私は>見る。・・・」(大塚美保(注f)「没後100年目の森鴎外」より)

⇒『五条秀麿もの』が「かのように」だけじゃないことも知らなかったよー。
 とにかく、山縣のスゴさが改めてひしひしと伝わってきたわ。(太田) 

 (注d)短編であり全文が載っている。↓
https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/3336_23054.html
 (注e)「かのように」「吃逆」「藤棚」「鎚一下」がそう。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/678_22884.html ←かのように(全文)
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/jl/ronkyuoa/AN0025722X-083_047.pdf ←森鷗外「吃逆」論
http://books.salterrae.net/tuyuzora/html/OUGAI023.html ←藤棚(全文)
http://books.salterrae.net/tuyuzora/html/OUGAI025.html ←鎚一下(全文)
 (注f)1965年~。お茶大教育学部卒、東大博士(文学)。専攻は日本近代文学。埼玉大教養学部を経て、現在、聖心女子大文学部教授。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784886951632

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太田述正コラム#12856(2022.7.6)
<伊藤之雄『山県有朋–愚直な権力者の生涯』を読む(その24)>

→非公開