太田述正コラム#1856(2007.7.9)
<日本の闇>
1 始めに
『東村山の闇』という本を私が紹介した(コラム#195)(注1)ことに端を発する裁判をめぐる諸問題を今後この「日本の闇」シリーズでとりあげて行きたいと思います。
(注1)2003.11.26。同じコラムをまぐまぐでも見ることができる。なお、「副署長」と「署員」を創価学会員と書いた部分は私の誤り。
読者の方々の積極的な参加を期待しています。
ブログの掲示板は厳しい字数制限があるので、分割して投稿してただくか、短い投稿はこの掲示板へ投稿していただき、長い投稿は、私の事務所宛のメール(info@ohtan.net)でお寄せ下さい。
このシリーズのコラムはすべて即時公開します。
2 損害賠償金の支払い
上記裁判の原告の千葉英司元警視庁東村山署副署長(以下、「千葉氏」という)との間で、私からまず30万円を振り込み、残金20万円は12月に振り込むことで話がつきました(注2)。
(注2)皆さんに対しては、カンパが29万円集まったと申し上げてきているので、これに1万円足して第一回の振込を行う形ですが、もともとカンパについても、将来私に資金的な余裕が出たら会費に繰り入れさせていただくお約束であること、前期有料会員で、何の連絡もなく5,000円を超える入金をされた場合は、お約束に従い、5,000円を超える部分についてはカンパと受け止めさせていただいたこと、前期に有料会員でなかった方からカンパの提供があった場合は、今期有料会員とさせていただき、5,000円を超える部分だけをカンパと受け止めさせていただいたこと、等に照らし、29万円という数字自体にさしたる意味はないことにご注意下さい。
いずれにせよ、資金的に極めて厳しい状況が今後とも続くことは間違いありません。
資金難により、年末までにコラムの執筆・上梓を中断せざるをえない状況に追い込まれる可能性もありますが、それはあくまでも中断であって復活を目指しますので、その節にはご理解をたまわりますよう、あらかじめお願いしておきます。
今期会員で会費を入金済みの98名、そして41名のカンパ提供者(うち2名は、カンパだけ提供して有料会員にならなかった方)に対し、改めて御礼を申し上げるとともに、引き続き有料会員とカンパの募集を続けておりますので、お申し出ください。
3 千葉氏の敗訴事例
(1)始めに
千葉氏には、同氏が提起した東村山事件関連の裁判で勝訴した事例は私とのケース以外にはない、と承知しています。
ここで、千葉氏の敗訴した2つの裁判をご紹介しましょう。
(2)ニュースワイド多摩事案
ミニFMラジオ放送局の番組「ニュースワイド多摩」でパーソナリティーの矢野穂積氏(東村山市議会議員)が、千葉氏の東村山署副署長在職中の言動に対して疑問を投げかけた解説が千葉氏の名誉を毀損したとして、千葉氏が穂積氏に対し、100万円の損害賠償を求めて提訴した事件の判決が昨年11月29日に東京地裁八王子支部で言い渡され、千葉氏が敗訴しました。
ちなみに、矢野氏は、『東村山の闇』の共著者の一人です。
裁判所は、その理由として、「被告<が解説の中で摘示した事実は、>原告が東村山署の副署長当時・・<に関する>ものであるから公共の利害に関する事実ということができ、また、<被告による解説が>免許を得たFMラジオ放送を通して行われたことからすると、<これは>公益を図る目的で行われたと推認するのが相当である・・<こと、更には、>被告の立場からすれば、<転落死した>朝木<東村山市議>が<自殺したのではなく、>被害に遭って死亡したと信ずるについて相当の理由があったということができる・・<、すなわち、被告<は>・・摘示した事実・・を真実と信ずるについて相当の理由がある<、と解すべきである>」ことを挙げています。
なお、私はこの裁判の判決分のコピーを、私の担当弁護士から入手しました。
乙骨氏(後出)によれば、この裁判の控訴審においても、千葉氏が敗訴したとのことです。
(3)宝島事案
「別冊 宝島」1324号(平成18年8月1日付)掲載の東村山事件に関する記事で、千葉氏が、執筆者の乙骨正生氏と(株)宝島、及び同社代表取締役を相手取って500万円の損害賠償を求めて提訴した事件の判決が6月11日に東京地裁で言い渡され、千葉氏が敗訴しました。
裁判所は、「(本件記事は)組織としての東村山署の捜査状況に疑問を投げかけた趣旨のものであるから、直ちに原告の名誉を毀損したものとは、言えない。・・<また、>当該記事の目的は、専ら公益を図るものと解される。・・<更に、>本件記事は、・・市議の転落死に関する東村山署の捜査について、一定の証拠に基づき疑問を呈したものに過ぎず、人身攻撃に及ぶなど、論評としての域を逸脱したものではない。・・よって・・本件記事中に・・原告の公的な言動に関する部分が含まれていたとしても、原告に対する名誉毀損には該当しないと解するのが相当である。」(「フォーラム21」2007.7.1 34~35頁)
なお、この裁判の判決公判に「<創価>学会員ライターの柳原滋雄氏と、・・学会系出版物などに・・記事・・を掲載している宇留島瑞郎氏が姿を見せていた。」という記載が、上記「フォーラム21」35頁にあります。
4 コメント
私のコラム#195での記述には、単なる『東村山の闇』の紹介を超えた読後感にわたる部分もあり、この部分については、今にして思えばやや筆が滑った感はあるものの、この本で描かれているところの、市議転落死事件に関する、千葉氏の村山署副署長当時の捜査指揮、あるいは当時の東村山署の捜査に対する疑問には、それなりの根拠があったことが、この二つの裁判を通じてほぼはっきりしたと言ってよいのではないでしょうか。
また、千葉氏の背後に創価学会の影がちらついていることも、乙骨氏が発行人であるところの、「フォーラム21」の上記記載から、改めてうかがい知ることができます。
日本の闇
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