太田述正コラム#2011(2007.8.20)
<防衛次官人事問題(続x6)>
1 始めに
防衛次官人事問題は、日本の政治家と新聞の見識をわれわれが見極める絶好の機会を提供してくれました。
要するに、小池氏に軍配を挙げた方が見識があり、守屋氏に軍配を挙げた方が見識がない、ということです。
既に小池氏本人及び日経と讀賣には○がつき、山崎氏と塩崎氏と森氏、そして朝日にはx点がつきました。
その他の新聞については、皆さんにおまかせするとして、小池、山崎、塩崎、森以外の政治家が本件についてどういうことを言っているかをまとめてみました。
2 政治家の発言
(1)小池氏に軍配を挙げた政治家
ア 石破茂衆議院議員(元防衛庁長官)
「石破茂元防衛庁長官は19日午前のフジテレビ番組で、混乱した防衛事務次官人事について「人事権は大臣が持っている。事務次官も自衛隊員であり、次官はシビリアンコントロール(文民統制)に服さなければいけない」と述べ、小池百合子防衛相の人事に異を唱えた守屋武昌事務次官を批判した。守屋氏を退任させて警察庁出身の西川徹矢官房長を後任に充てるとした小池氏の人事案については「思い付きでやった人事なのかといえば、ある意味でよく考えている人事かもしれない」と一定の評価を示した。」(
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/77923/)
2世議員離れしたご見識ですね。
全く面識はないけれど、まだお若いし、ぜひ自民党を超えた活躍をしてください。
イ 中川秀直幹事長
「自民党の中川秀直幹事長は19日、テレビ朝日の番組で、防衛事務次官人事をめぐる混乱に関連して「小池百合子防衛相を切れば、事務次官の抵抗に負けて閣僚を代えたことになり、おかしなことになる」と述べ、27日の内閣改造では小池氏を続投させるべきだとの認識を示した。次官人事の混乱については「辞める次官の抵抗が最大の問題だ」として、守屋武昌事務次官の対応を批判。併せて守屋氏が官邸で安倍晋三首相に会い、巻き返しを図ったことに触れ「(首相の)幕僚たちの問題だ」とし、塩崎恭久官房長官らの判断ミスと指摘した。」(
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070819/skk070819002.htm
。8月20日アクセス(以下同じ))
おみそれしました中川さん。
幕僚「たち」、とおっしゃっているのですから、的場氏をも標的にしておられることと推察します。
石破議員と同じく、私には面識がありませんが、ご発言に心から敬意を表します。
(2)守屋氏に軍配を挙げた政治家
ア 鈴木宗男参議院議員
「小池氏の一連の行動について「人間性を疑う。もし“クビ”にするなら本人を呼んで、じかに面接をして話をしないといけない」と話すのは新党大地の鈴木宗男氏だ。後任人事については「本来、後任に誰がふさわしいか、守屋氏に相談すべきだった」と指摘する。 今回の省内人事をめぐる混乱で思い出されるのが「田中真紀子氏VS外務省」のケース。01~02年に外相を務めた真紀子氏は、人事課長の更迭を求めて人事課にろう城するなど、ことあるごとに外務官僚と対立。最後は真紀子氏と事務次官が更迭されるという形で幕引きが行われた。当時を知る宗男氏は「常識外という点では、極めて似ているケース」とし、「経験や能力があって組織を知っていれば、自分の判断でいい。だが、小池氏は防衛省を知らない。 省内も『大丈夫か』と思っている。その点も真紀子氏と似ている」と指摘。今後の解決法については「事務次官だけ代えるのはアンフェア。大臣も新しくすべきだ」と話した。」(
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070816-OHT1T00107.htm)
いかにもかつて額賀、久間氏らとともに旧経世会で防衛等の族議員として活躍され、当然のことながら守屋氏とは「お友達」でいらした鈴木さんらしいご発言ですね。あくまでもお友達をお守りになるところは見上げたものです。
ただ、鈴木さんの「常識外」の庁内干渉に苦しめられた防衛官僚の一人たる私としては、そのあなたに「常識外」呼ばわりをされた上、「非常識」な田中氏と一括りにされてしまった小池氏に対し、同情を禁じ得ません。
イ 舛添要一参議院議員(自民党参院政審会長)
「自民党の舛添要一参院政審会長は18日朝のTBS番組で、防衛事務次官人事をめぐる小池百合子防衛相の対応に関し、「(省内の)人間関係をよく知ってい る人が大臣でなかったからこういうことが起きた。大臣はよく選ばないと駄目だ」と述べ、安倍晋三首相が小池氏を防衛相に起用したことを批判した。舛添氏は「誰が見てもこの人なら防衛省を管轄できるという人を大臣にしないといけない。(そういう人なら)人脈も全部頭に入っていてもっといい人事が結果的にできた」と指摘した。」(
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070818-00000030-jij-pol)
守屋氏としがらみなどあなたにはないはずなのに、なおかつこんな発言をするなんて、防衛問題についても防衛省についても不勉強の誹りを免れませんよ。
昔と全然変わっていませんね、舛添君。
防衛次官人事問題(続x6)
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