太田述正コラム#2164(2007.11.7)
<皆さんとディスカッション(続々)>
<masuda>
 太田さん
 ご返答ありがとうございました。
> これは、米国はもとより、英国も、国際貢献のために、自らの国土の防衛のた
>めに必要な防衛力をはるかに上回る防衛力を整備、維持していることを意味して
>います。
という視点にとても興味を抱きました。
 個人としては、「国際貢献のため」というよりは、(力が正義であった歴史から)「自国の利益のため」という気がします。
 確かに、日本はどこまで武装すべきなのでしょう。
 今まで全く語られなかった様思います。
 何より自分自身「国の防備の為にはまだまだ戦力が足りない」という感覚だったので、とても刺激されました。
<太田>
 
 おっしゃる通り、米国は「自国の利益のため」、また米国がその主要加盟国であるNATOは「NATO加盟国の利益のため」に自らの領域を防衛するために必要な防衛力を上回る防衛力を整備、維持しているわけです。
 しかし、世界政府が存在しない以上、自らの領域を防衛するために必要な防衛力を上回る防衛力は、(少なくとも米国と同盟条約を結んでいる国や、それ以外の自由民主主義国にとっては、)国際公共財なのであり、そのような意味において、私は米国やNATO諸国の防衛力は「国際貢献のため」の防衛力であると考えているのです。
 (このような観点からは、実は、自由民主主義国の自らの領域を防衛するために必要な防衛力も、国際公共財であり、従ってまた国際貢献のための防衛力であると言えるのですが、話が混乱するのでこれくらいにしておきます。また、公共財とは何かについては、経済学辞典等にあたってください。)
 なお私は、集団自衛権行使へと憲法解釈を変更した上で、日本はNATOに加盟すべきであると考えています。その場合、NATO(北大西洋条約機構)という名称を変更しないと何だかヘンですが・・。
 実は、これはカーター政権末期の1980年頃から米国政府が描いている構想でもあるのです(コラム#30参照)。
 
<匿名>
米国の対ソ戦の件、以前そういう話を聞いたことがありますが、実際の所、モスクワから離れているから、上陸したとしても牽制ぐらいで大して意味はなく主戦場・・主戦力が展開されるのは東欧じゃないか?ってなことを言ってたんですがどうなんでしょうか?
<太田>
 冷戦時代に米国は、欧州や中東正面ではソ連に対して西側が軍事的に劣勢だったので、これら正面にソ連が進撃してきた場合は、西側が軍事的に優勢であった極東正面でまず反攻作戦を展開し、ソ連が欧州または中東正面に全兵力を投入することができないようにすることでその進撃を遅滞させて時間をかせぎ、その後、米国内で総動員をかけて増強した米軍を欧州または中東に投入してこれら正面でも反攻作戦に転じる、という計画を立てていたわけです。
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<太田>
 新規の有料購読者や太田コラムのまぐまぐでの購読者やブログでの読者の方々に一言。
 私がお約束しているのは、有料購読者向けの月28回以上の非公開コラムの配信だけであることと、即時公開コラムや過去コラムの公開はあくまでもおまけであるということをご理解下さい。
 さて、来週金曜日(16日)放送の日本テレビ「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」への出演が決まりました。(収録は12日夜)
 私もついにバラエティ出演とあいなったわけですが、おヒマのある方は、ご覧下さい。 それにしても、いわば私の敵であるところの(大連立の仕掛け人たる)渡辺恒雄氏を主筆とする讀賣新聞の系列局ばかりが私を4度も起用してくれるとは、私の懐柔をねらった自民党の高等戦術かと勘ぐりたくなりますね。
 ま、これは冗談ですが・・。
 ただ、これまで私が殺されないでいるどころか、脅迫めいたメールや電話が一度もないことは、やはり日本が自由な社会である証拠なのでしょうね。
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太田述正コラム#2165(2007.11.7)
<諜報機関員?とのお付き合い>
→非公開