太田述正コラム#2152(2007.10.28)
<防衛省不祥事報道に思う(続x8)>(2007.11.29公開)
 (本篇は、当分の間公開しません。)
1 始めに
 「たかじん・・」の放映のおかげでブログへの訪問者数も、無料読者数も一気に増えたのはいいのですが、ここ数日、インターネットからダウンロードした記事類を読む時間が全くありません。
 それはそれとして、この騒ぎが一段落して、再び本来のコラムを上梓するようになった暁に、新規で増えた読者が、果たしてついてきてくれるのか、今から心配です。
 ところで、しばらく前までは、オレは官庁不祥事問題専門家ではない、安全保障・国際問題専門家だ、と思っていましたが、最近では、官庁不祥事問題専門家でどこが悪い、と開き直れるようになりました。
 というのも、安全保障・国際問題専門家としての自負を持ったところで、日本が、その蘊蓄を活かせるような国ではない以上、むなしいことこの上もないではありませんか。
 まずは日本を米国から自立させて、自らの外交・安全保障政策を展開できる国にしなければならない。
 そのためにも、政界再編成を実現し、政官業(+マスコミ)の癒着体制を破壊しなければならない。
 この、いわば日本全体を相手にする戦いの先頭に立つことができるのは、日本で唯一、官庁不祥事に根底的批判を加えることができる私しかない、というわけです。
 何でお前一人だけなんだ、とおっしゃるのですか?
 私以外のすべてのキャリア官僚は、多かれ少なかれ癒着体制の中に絡め取られているため、癒着体制に対して批判の声をあげることができないからです。
 癒着体制の中に絡め取られない生き方をやってみて、それがいかに厳しく苦しい生き方であるかを私は思い知らされました。
 私に続くキャリア官僚が一人も出てこないわけです。
2 燭光
 しかし、ようやく燭光が見えてきました。
 「たかじん・・」への出演もそうなのですが、やはり、首都圏を攻略することが必要です。
 本日午後、TV朝日の録画撮り(月曜2300からの番組用)を、自宅の近くの公園でやったのですが、守屋自身についてとGE幹部を守屋に引き合わせた件だけの収録を希望した先方に対し、当方からは、本件は全省庁共通の問題だということも言わせろと条件を出し、先方が飲んだ、という経緯があります。
 果たしてどんな内容になるかですが、いずれにせよ大して期待は持てません。
 夜は、週刊金曜日の女性記者の取材を受け、小沢・東の話とGE幹部の話を追及するように発破をかけておきました。
 夜遅く、今度は週刊新潮の電話取材を受けました。守屋擁護論をぶっておきましたが、若干の期待が持てます。
 実は、明日、東京新聞本社に赴き、守屋の国会喚問を見ながら、記者の質問に私が答えていき、それが記事になります(火曜の朝刊?)。
 条件は、私が守屋擁護論しか言わないがそれで結構というもの。
 いわゆる6紙のうち、今まで守屋事件に関し、取材がなかったのは東京新聞だけだったのですが、満を持していた、と解釈しましょう。
 (もっとも、これでいよいよNHKだけからコンタクトがないことが不気味になってきました。)
 
3 闘争宣言
 (これは、本日、情報屋台にアップロードしたものです。)
 情報屋台のライターの皆さん、読者の皆さん。
 しばらく休筆させていただきます。
 私自身のメルマガ(一部有料)のコラムに少し手を入加えて、情報屋台に掲載してきたのですが、そもそも、コラム執筆の時間を捻出すること自体苦しくなってきているので、それに手を加えて情報屋台用のコラムに仕立てる時間など全くなくなったからです。
 情報屋台に誘ってくれたのは大学の教養課程で同級生だった高成田君(ライターのお一人です)ですが、当時、東大紛争でヘルメットを被って活躍していた高成田君を始めとする全共闘及びそのシンパの同級生達に、「今のうちせいぜい楽しんでおくといいよ。どうせ君達みんな、東大紛争なんかあったの、という顔して銀行員になるんだから」と私が言って顰蹙を買ったことがあります。
 だけど、本当にみんな銀行員とか、フツーのサラリーマンになっちゃったんですよね。
 その中で、高成田君は朝日新聞に入ったのだから、ある意味で節を曲げなかったわけです。
 私は、最初からばかばかしい限りだと思っていた東大紛争の収束に、最終場面で動いたのだけど、日本がこれでいいと思っていたわけでは決してありません。
 だからこそ、私は卒業後防衛官僚になる道を選んだのです。
 今、私の入庁同期の守屋が国会喚問に臨もうとしています。
 私は、徹底的に守屋擁護の立場で既に論陣を張ってきており、これまでのところ断片的にしか私の考えが報道されていませんが、本日から様相が変わってきます。
 なぜ守屋を擁護するか?
 第一に、(ゴルフも含む)業者による接待は、今なお全省庁の全キャリアが受けているからです。天下りだって、ほぼ全員がやっているからです。
 検察ですらそうです。
 検察の上層部は、法務本省と検察庁との間を行き来しながらエラくなって行きますが、連中だって法務本省にいる時は、飲み食いの接待、「割引」ゴルフという生活をさんざんっぱら楽しんでいるのですよ。
 防衛省以外の天下りだって、私の知っている限り、本当に能力・識見を買われて天下った官僚なんて100人のうち1人いるかどうかです。官僚出身の大学教授だってゴマンといるけど、論文などロクに書いたこともない人物が、そもそも何で大学教授になれるんですか。(東大教養学部助教授時代の、同期の桝添要一くらいとならいい勝負かもしれませんが・・。)
 第二に、なにゆえ守屋がかくも脇が甘かったのかです。他官庁の連中はここまでドジじゃないよ。
 それは、防衛省に自衛隊を軍隊として機能させるな、自衛官を一人も殺すなと言って、・・つまり、端的に言えば、全部用途外使用をせよと言って・・国民が5兆円近くのカネを防衛官僚に投げ与えているため、他官庁に対する以上に防衛省に対し、自民党系政治家、業者、基地周辺住民、更には米国が、蜜に集まるアリのようにたかってくるからです。
 防衛官僚がおかしくなるのは当たり前でしょ。
 皆さん。
 私が殺されたら、本来行われるべきだったまともな東大闘争を、たった一人で58歳にもなって始めた誇大妄想狂のキチガイが日本にいたことを、たまには思い出してくださいね。