太田述正コラム#13387(2023.3.28)
<皆さんとディスカッション(続x5486)/映画評論82:散り椿/アデライン、100年目の恋>

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <お疲れさん。↓>
 「中国公安当局、アニメ海賊版サイトを摘発…日本側の告発受け「B9GOOD」閉鎖・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230328-OYT1T50087/
 <プーチンまで習ちゃんの日本再軍備政策に強力。無駄な努力だよ。↓>
 「ロシアが日本海で超音速ミサイル「モスキート」2発を発射…日米防衛連携に反発か・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230328-OYT1T50078/

 ウクライナ問題。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 自身、乗った時に危険だと感じたなあ。↓

 「京都・保津川下りの舟が座礁、乗船していた1人が流される・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230328-OYT1T50111/

 ニュース性あんの?↓

 U.S. and Japan Reach Deal on Battery Minerals–While the terms of the deal are limited, the agreement appears to provide a model for resolving recent trade spats between the United States and some of its closest allies.・・・
https://www.nytimes.com/2023/03/27/business/economy/us-japan-battery-minerals-deal.html

 世界的ニュースに。↓

 Kazuki Miyamoto, 37, is accused of killing 21-year-old university student Hinako Hamano last October by lacing her drink with thallium.
 Thallium was also recently found in his female relative, who has been in a coma since 2020, local media reported citing sources.・・・
https://www.bbc.com/news/world-asia-65084566

 同じく。↓

 A university student in Japan has dressed up as Volodymyr Zelensky for his graduation ceremony.・・・
https://www.bbc.com/news/world-asia-65090318

 まあそんなところか。↓

 「・・・戦国大名を国家に、室町幕府が体現する天下を国連に対比しつつ、足利将軍の役割を活写している・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e445b8c407118c382a09b205c92678530b0ab50

 全てには同意できないが、一応紹介しておく。↓

 「「天皇をつかえ」…終戦のときイギリスの「チャーチル」が、アメリカに伝えた「意外なメッセージ」・・・
 日本が八月一〇日にポツダム宣言の受け入れを表明した直後、このプランは撤回され、天皇に代わって日本政府と軍部の代表が、二人で降伏文書にサインするプランへと変更されます。  
 その理由は、アメリカにとって最大の同盟国であるイギリスのアトリー首相とベヴィン外相から、バーンズ国務長官のもとに、「天皇個人に直接降伏文書へのサインを求めることが、良い方法かどうかは疑問です」  
 というメッセージが届いたからでした(「アメリカ外交文書(FRUS)」1945年8月11日)。  
 なぜならこれから私たちは、天皇を使って、広大な地域に広がる日本軍を確実に武装解除していかなければなりません。それがアメリカ、イギリス、その他、連合国の多くの兵士たちの命を救う方法なのです、と。  つまり、今後は天皇の命令というかたちで、アジア全域にいる日本軍を武装解除させていく計画なのだから、そのためには、なるべく天皇の権威を傷つけないほうがいいというわけです。  
 このメッセージを本国に伝えたアメリカの駐英大使からは、その夜、イギリスのチャーチル前首相からも電話があり、そのとき彼が、「天皇をつかえば、遠い場所で多くの兵士の命が救われる」と確信をもってのべていたということが報告されています。
 その結果、ミズーリ号の調印式には、日本政府の代表である外務大臣・重光葵と、軍部の代表である陸軍参謀総長・梅津美治郎が二人で出席し、九月二日、降伏文書にサインすることになりました。こうしてこの一大セレモニーから、天皇の姿が意図的に隠されることになったのです。  
 その一方で、昭和天皇には八月二一日、マニラにいるマッカーサーから英語で書かれた「布告文」が届けられました。それは本来なら天皇自身が調印式に出席して、そこで読みあげる可能性のあった、あの「日本国天皇の宣言」が、その後、アメリカ国務省のなかで何度も改訂されてできあがったものでした。  
 日本語に翻訳したその布告文に署名と捺印(御名御璽)をして、九月二日のミズーリ号の調印式にあわせて表明せよと指示してきた。言い換えれば、それさえやってくれれば、昭和天皇は調印式に出席することも、降伏文書にサインすることも、宣言を読みあげることも、すべてやらなくていいということになったわけです。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/408baad8b8e72fe5f8c1511587b36cfd00dd69b6

 ムオ。↓

 「・・・「三重県に多い服部姓のルーツは2種類に分かれていて、ともに大陸から渡来した機織機で反物を織る『機織部(はたおりべ)』が祖。うち1つは紀元前にやってきた、『漢織(あやはとり)』、もう1つはその300年~400年後、三国志時代の呉から来たため『呉織(くれはとり)』と呼ばれた一族なんです。
 音が似ているし、服を織ることから『機織部』は『服部』と変わったというわけです」
 漢織は時代が進むにつれ、機織機を一旦捨てて刀に持ち替えて、平家の武士になっていく。そして、安徳天皇の衛士大将にまで登り詰めたというのが、『源平盛衰記』にも登場する服部平内左衛門なのだという。
 「その人が服部一族の出世頭で、今でも兵庫県には『平内神社』という氏神様があり、そこが現在に至るまで漢織の聖地になっています。・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E7%9A%84%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%97-%E6%9C%8D%E9%83%A8%E5%8D%8A%E8%94%B5%E3%81%AF%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AF%E6%9C%8D%E9%83%A8%E5%B9%B3%E8%94%B5%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E4%BA%88%E5%AE%9A%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F-%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%99%E3%82%8B%E5%AE%B6%E5%BA%B7-%E4%BA%BA%E6%B0%97%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%81%AE%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%96%E3%82%8B%E5%91%BD%E5%90%8D%E3%82%A8%E3%83%94%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%89-%E5%AE%B6%E5%BA%B7%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%A6-%E5%B9%B3-%E3%81%8C-%E5%8D%8A-%E3%81%AB/ar-AA196py7?ocid=msedgntp&cvid=09e9b1d0e89a464e825e73b8840dd11a&ei=19

 日・文カルト問題。↓

 <ちゃうちゃう。日本人ほぼ全員がオオタニさーんなんだよ。全く朝鮮半島の人々は支那人に比してトロ過ぎるよ。↓>
 「「オオタニは“神タニ”だ!」韓国人は大谷翔平をどう見たか? WBC優勝後の韓国言及に「器が違う」韓国人記者も驚いた神対応・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/499a0e16b0e3e50ceee8f343e1b90372f6d0b80c
 <それが何か?↓>
 「強制徴用:日本の小学校社会科教科書、「強制」の文言削除か–独島関連では「日本領土」が「日本固有の領土」へと表現を強化・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/28/2023032880015.html
 <期待せず見守るだけよ。↓>
 「韓国大統領室「日本のホワイトリスト復元措置もう少し見守りたい」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302545
 <今頃、こういう記事を載せやがって。遅過ぎるんだよー。↓>
 「日本の汚染処理水、国際検証結果を見て判断すべき–年間22兆ベクレルで30年間放出予定–韓国の排出量はその10倍–フランス623倍、カナダは85倍排出中・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/27/2023032780080.html
 <寝惚けた言いザマは止めよう。「右翼」は最も親韓なのー。↓>
 「「日本の右翼でも韓日関係改善の変化感知」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302542
 <侵略しようとしたのは支那で朝鮮じゃあ必ずしもなかったし、それ、欲に基づくものでもなかった。勉強不足。↓>
 「・・・黄金茶室は朝鮮を侵略した秀吉の「欲」がよく表れた象徴のように見える。・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302537
 <日韓交流人士モノ。↓>
 「・・・韓国のインターネット・・・掲示板によると、ある韓国人男性は先月、SNSに「韓国人だが、日本で立花ユズヒコ(漫画『あたしンち』に登場するキャラクター)のマスコットをなくしてしまった」「東銀座から八丁堀まで日比谷線に乗った」「見つかったらどうか連絡がほしい」「とてもショックを受けている」との内容を書き込んだ。
 すると数日後、この投稿に同漫画の公式アカウントから「ユズヒコのマスコットを送ります。今回のことが日本の悲しい思い出になりませんように」と返信があった。それから約3週間後、男性は実際に送られてきたマスコットの写真を掲載。マスコットには韓国語で『お待たせ』とのメッセージも添えられており、男性は「しっかり受け取りました」「メッセージがとても優しい(泣)」と感動した様子でつづったという。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911465-s39-c60-d0191.html

 首相もロンドン市長もスコットランド首相もインド系人になった英国。
 杉山元らもますますお喜びに。↓

 Humza Yousaf, the grandson of a Pakistani immigrant who arrived barely speaking English to work in a sewing machine factory in Glasgow, was named as the new leader of the Scottish National Party on Monday.
 Because of his party’s majority, Yousaf will almost certainly be chosen as first minister — the leader of Scotland — by the Parliament on Tuesday.
At age 37, Yousaf would be the youngest first minister of Scotland and the first Muslim to run the nation. His mother, wearing a headscarf, dabbed a tear as he spoke after the vote results were announced.
 His ascension as Scottish leader comes alongside the premiership of Rishi Sunak, a Hindu, whose parents are also South Asian. London’s mayor is Sadiq Khan, a Muslim and son of Pakistani immigrants. Today, Sunak, Khan and Yousaf are three of the most prominent — and powerful — leaders in Britain.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2023/03/27/scotland-leader-uk-future/

 おや、この程度でも記事にはするんだね。↓

 Nashville school shooting: Six killed by 28-year-old ex-student in Tennessee・・・
https://www.bbc.com/news/uk-65092102

 読売まで書いたので一応紹介しておく。↓

 「ベートーベンの毛髪でゲノム解読、飲酒で重度の肝臓病か…難聴の原因は特定できず・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230328-OYT1T50083/

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓ 

 <邦語媒体より。
 にもかかわらず、なんで習ちゃんがやらかすのかを考えなきゃねえ。↓>
 「中国の邦人拘束、日系企業に衝撃 広がる慎重論、投資の機運そぐ・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%82%A6%E4%BA%BA%E6%8B%98%E6%9D%9F-%E6%97%A5%E7%B3%BB%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AB%E8%A1%9D%E6%92%83-%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%82%8B%E6%85%8E%E9%87%8D%E8%AB%96-%E6%8A%95%E8%B3%87%E3%81%AE%E6%A9%9F%E9%81%8B%E3%81%9D%E3%81%90/ar-AA197qvK?ocid=msedgntp&cvid=09e9b1d0e89a464e825e73b8840dd11a&ei=52
 <英語媒体より。
 同じく。↓>
 Japan demands China release Astellas Pharma employee accused of spying・・・
https://www.bbc.com/news/world-asia-65085546
 <ここからは、レコードチャイナより。
 さよでっか。↓>
 「・・・中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で200万超のフォロワーを持つ日本在住ブロガーは26日、4年ぶりに日本に来た友人に「変わったところはある?」と聞いたところ、「基本的にはないけど、ただ一つ、明らかに通行人が少なくなった感じがする」と答えたとのエピソードを紹介した。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911437-s25-c30-d0052.html
 <おとといおいで。↓>
 「放射能汚染水の安全に関する日本の主張を国際社会が納得するのは難しい―中国外交部・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911515-s12-c100-d0189.html
 <日中交流人士モノ。↓>
 「・・・中国メディアの新聞晨報<の>・・・文章は、四川省の名物料理である麻婆豆腐が日本の「中華料理」における代表的なメニューの一つとして広く知られ、愛されていると紹介。麻婆豆腐が日本でスターダムに駆け上がった背景には、四川料理の大家だった陳建民氏とその息子である陳建一氏の努力があったとし、その功労者である建一氏が先日死去した際には日本国内で大きな話題となったと伝えた。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911435-s25-c30-d0193.html
 <ご愛顧に感謝。↓>
 「・・・時間の推移や中国の科学技術レベルの向上に伴い、日本で代理購入された電子製品や家電製品の消費量が減る反面、菓子類の購入量は明らかに増えたとも説明した。
記事によると、日本の菓子は包装の美しさ、種類の多さ、独特な味により、ソーシャルメディアでの情報の拡散と宣伝で中国人に購入への強い興味を抱かせたという。記事はまた、桜や抹茶味など日本的な風味の商品はお土産の良い選択肢にもできるとした・・・中国メディアの新消費智庫・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b911268-s25-c30-d0190.html

       –映画評論82:散り椿/アデライン、100年目の恋–

1 始めに

どうして、二本の映画で評論は一本なのか、と思われるだろうが、昨日、プライムビデオで二つとも見たからだけではないのであって、両方とも、とびっきりの美人俳優が映画の中でプロットの展開を決定しているという共通点があるからだ。
 但し、前者はヒマつぶしにお勧め、後者は秀作、という違いがあった。

2 散り椿

 原作が直木賞作家の葉室麟(1951~2017年)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E5%AE%A4%E9%BA%9F
の時代小説、『散り椿』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%A3%E3%82%8A%E6%A4%BF
であるところの、2018年の邦画で、ほぼ忠実に原作に従っていることもあり、映画独自のウィキペディアは存在しない。
 最大の収穫は、とびっきりの美人日本人女優の麻生久美子(1978年~)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E7%94%9F%E4%B9%85%E7%BE%8E%E5%AD%90
https://advanced-time.shogakukan.co.jp/11597
の存在を知った・・オイオイ・・ことであり、映画そのものは月並みな勧善懲悪剣豪モノです、で終わりだ。
 なお、太田コラムにひっかけて言えば、月並みである以上、当然のことながら、殿様は人間主義者であって、善政を期している存在だ。
 数々の賞を授賞された葉室の作品群の中で、映画化されたのは直木賞受賞作の『蜩ノ記』とこの『散り椿』だけだ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E5%AE%A4%E9%BA%9F 前掲
が、どうして、何の賞も受けていないこの原作の映画化が企画されたのかいささか不思議ながら、月並みであるところにむしろ目をつけたのかもしれない。
 蛇足ながら、私のようなスレた観客ばかりではなかったとみえて、この映画、「第42回モントリオール世界映画祭で最高賞に次ぐ審査員特別グランプリを受賞」している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%A3%E3%82%8A%E6%A4%BF 前掲

3 アデライン、100年目の恋

 こちらは、原題がThe Age of Adalineという、2015年の米映画で、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%81100%E5%B9%B4%E7%9B%AE%E3%81%AE%E6%81%8B
やはり、最大の収穫は、とびっきりの美人米国人女優のブレイク・ライヴリー(Blake Lively。1987年~)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%83%AA%E3%83%BC
https://marriageaftergod.com/blake-lively/
の存在を知った・・もう一度オイオイ・・ことだが、秀作だと思ったのは、仮に人間が加齢しなくなった・・病・事故死しない限り不老不死になった・・場合には結婚は成り立たなくなる、と訴えることで、豊かな長寿社会において結婚制度が果たして存続可能なのか、という深刻な問題を逆説的に提示している、と私が受け止めたからだ。
 (製作者や監督がそういうテーマでこの映画を作ったのではない可能性は否定しないが・・。)
 というのも、彼女の子供の役で老け顔の・・実際、この映画当時既に後期高齢者だった・・エレン・バースティン(Ellen Burstyn。1932年~)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3
が、ハイティーンの時から後期高齢者の頃までを演じるのだが、20歳当時のハリソン・フォードを別の役者に演じさせているというのに、バースティンについてはそうしなかったのは、意図的なのではないか、と私は受け止めたからだ。
 そういう問題意識の下、調べてみたら、案の定、バースティンだって、若い頃は、一応とびっきりの美人女優だったと言える
https://www.gettyimages.co.jp/detail/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%86%99%E7%9C%9F/portrait-of-american-actress-ellen-burstyn-new-york-1975-she-%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%86%99%E7%9C%9F/498834977?adppopup=true
ことを知り、映画の中で、わざわざ彼女に、ライヴリーに向って、「私がお母さんのように美人だったら」と言わせていることから、私の受け止め方が正しかったと(勝手に?)得心した次第だ。
 つまり、誰でも、遅かれ早かれ、加齢に伴い、自分が絶対に結婚しなかったであろう相手と結婚生活を続けさせられているという残酷な現実に直面させられる、ということだ。
 いや、恋愛感情が家族感情に変わるので大丈夫だろうだって?
 甘い甘い。
 本当の家族だって、憎しみあうようになることはいくらでもある、いわんや赤の他人の場合をや、だ。
 もちろん、子供なんて、かすがいになんかならないどころか、むしろ、夫婦関係を離間させる原因になることさえよくあることだ。
 それに、経済的に相手に依存しているだの2人だと安上がりだの、なんてことは、もはや、豊かな福祉社会においては大したメリットではなかろう。
 しかし、その一方で、この映画は、救いも用意しているように見える、というのが私もう一つの感想だ。
 それは、ライヴリーが演じる主人公が、(100年を超える人生を歩んできたという設定からでもあるが、)恐ろしく博識で、何か国語も操り、シャーロック・ホームズばりの推理力のある、高い知性の持ち主であることだ(映画)。
 (ライヴリーが、小さい時はスタンフォード大学入学を夢見、俳優業で忙しくなった高校生の時にも最後まで大学進学を諦めない向学心の強い女性である
https://en.wikipedia.org/wiki/Blake_Lively
のに対し、バースティンの方には、全くそんな気配がない
https://en.wikipedia.org/wiki/Ellen_Burstyn
ことも、それが制作者による意図的な配役だったのではないか、という印象を私は(勝手に?)受けた。
 バースティンが演じる役の女性は、映画の最終場面では、一人ぼっちで介護施設に入ろうとしている、という設定だ。)
 つまり、夫婦が相手を(知性に限らないが)尊敬できると思って結婚し、その尊敬の念を持続できるようにそれぞれが努力し続ける場合に限って、豊かな長寿社会においても、結婚制度は維持できるかもしれない、ということをこの映画は示唆しているのではないか、と。
 蛇足ながら、この映画の舞台が、私の勝手知ったる、サンフランシスコとその郊外で、ほんの一部、イギリスの田舎、ということも、私の琴線に触れた部分だ。

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太田述正コラム#13388(2023.3.28)

<2023.3.25東京オフ会次第(続々)>

→非公開