太田述正コラム#2226(2007.12.10)
<皆さんとディスカッション(続x15)>
<ドイツゲーマー>
昭和恐慌の研究 岩田 規久男
流れ豚斬りですいません。最近いきがかりで畑違いの経済の本を読んでいます。その中でこの本は素人の自分にも面白かったです。
世界大恐慌の原因として教科書でよく挙げられるのが「為替切り下げ競争(=>近隣窮乏化政策=>ブロック経済などと続く)」ですが、最近の研究(現FRB議長のバーナンキはまさにこの分野の専門家)によれば、そうした理解は間違っているのだそうです!(FRBの無為無策による)アメリカ発の不況が世界大に拡大した真の原因は、なんと「金本位制への固執」なのだとか。だから、金本位制からの離脱による為替切り下げは、むしろ経済の回復に役立ったらしいです。例えば以下の用語解説などは典型的な誤解ということになります。
http://money.infobank.co.jp/contents/K200164.htm
また、よく言われているのは違い、大規模公共事業も戦争も、実は大恐慌からの脱出路としては大した効果を持たなかったらしいです。常識・通説を覆す学問の力を見せつけられた気がしました。他にも、次の本が同様の視点を示していました。これも面白かったです。
 経済論戦は甦る 竹森 俊平
ところで、最近太田さまのテレビ・ラジオなどご活躍の場が増え、応援する者の一人としてうれしい限りです。同時に、一段落してからまた再開されるであろうコラムも楽しみにしています。またオフ会(関西+関東とか)も開いてください。ただ,お願いしたそばから何ですが、最近お疲れのようなのは少し心配です。アシスタントを雇われた方がいいのではないでしょうか。では、失礼いたします。
<太田>
>また,よく言われているのは違い,大規模公共事業も戦争も,実は大恐慌からの脱出路としては大した効果を持たなかったらしいです。常識・通説を覆す学問の力を見せつけられた気がしました.
 私が大学の法学部時代にとった地方財政論で林建久助教授(経済学部)がこのことを指摘されていて目から鱗の思いがしたものです。
 現在ではそんなこと常識になっているだろうと思っていたら、そうでもなかったようですね。
 ・・とMixiで書いてから、「戦争も」という一言が入っているのに気がつきました。
 それなら確かに常識・通説を覆す新学説ですね。
 ぜひ、もう少しこの新学説のご紹介をいただけませんか。
 
>一段落してからまた再開されるであろうコラムも楽しみにしています。
 確かに最近、国内政局を扱っているコラムが多いし、推敲の足らないコラムが多いことは事実ですが、単なる評論ではなく、実践を通じて評論対象に若干なりとも影響を与えようとする私の営みをご紹介していることに免じ、ご放念いただければ幸いです。
 後、これは全くの言い訳なのかもしれませんが、まがりなりにも引き続き国際情勢や、書評に係る英米等の論説・記事を読んでいる印象として、このところ、特筆すべき出来事が乏しく、また斬新な本も出ていない、という感じを持っています。
 つまり、やろうとしても、果たして従来ベースのコラムを果たして毎日2篇書けていただろうか、と思うのです。
 ともあれ、罪滅ぼしに、現下の国際情勢についての私の所見を箇条書き的にお示ししましょう。
1 イランの核開発への評価を米国が変更した件ですが、要は現時点では米国は対イラン軍事行動はとれないしとる意思がない、と以前から繰り返し私が指摘したことが改めて裏付けられた、ということです。イスラエルが単独で対イラン軍事行動をとる可能性はあるという点についても私は変更する必要を認めません。
2 北朝鮮の核申告が遅れている件ですが、これまた、米ブッシュ政権の対北朝鮮政策は融和策へと転換したわけでは必ずしもない(「北朝鮮をいたぶる米国」シリーズ)、北朝鮮に完全な核申告を迫るということは、事実上北朝鮮に体制変革を迫ることである、という私の主張(コラム#2123)が引き続き裏付けられ続けている、ということです。
3 パキスタン情勢は混乱に次ぐ混乱という感がありますが、ムシャラフへの私の高い評価は基本的に変わっていません。私が希望しているのは、ムシャラフが可及的速やかに軍部から自分の後継者を見つけ、育み、権力を委譲することです。なぜなら、権力を掌握してから長期間が経過したため、パキスタン国民がムシャラフに倦んできているし、ムシャラフ自身はクリーンだとしても、取り巻きが腐敗することが避けられないからです。いずれにせよ、ムシャラフの方がブットやシャリフよりははるかにマシであることを忘れてはいけないでしょう。
4 中共情勢も変化がありませんねえ。北京オリンピックが終わるまでは、対日友好姿勢(コラム#1454)に変化はないでしょう。
5 韓国情勢も、韓国世論が反北朝鮮親米へと今年回帰し(コラム#1835)、今や右派の大統領誕生は必至という状況です。
6 ロシア情勢も、ロシアのファシスト国家化の道を歩んでいるがまだファシスト国家にはなりきっていない(「不気味なロシアの動向」シリーズ)という状況に変化はありません。
7 米国については、・・疲れたのでこれくらいにしておきましょう。
<okano>
>こんなことになったのは、納税者たる皆さんのせいなのですぞ。(コラム#2163)
 そんなこと知らないですよ。
 多くの日本人は、日本自衛隊は日夜わが国の防衛、自衛活動をしている。
 またその訓練に勤しんでいると思っているでしょう。
 大事な防衛予算は、わが国を守るための装備に使っているのだと必要なのだと思っているひとがほとんどだと思いますよ。
 国民の税金を使って勉強した一応頭がいいと思われる人が、ほとんど役に立たない税金の無駄使い、間抜けな事をまた税金泥棒のような事をしてしているとは思いもしないでしょう。
 
<太田>
 そう言われてみれば、なお、私の努力が足らなかったのかもしれませんね。
 しかし、今週またもや少しく世間をお騒がせするので盛り返しはするでしょうが、既にここ数日、ブログ訪問者数は目減り気味ですよ。
 第一目減りがどうこう言えるほどの読者数やブログ訪問者数にまだなっていません。
 読者数は有料読者を含めて2700人になりましたが、これでは絶望的なまでに少人数であると思われませんか?
 やはり依然として、日本の納税者の皆さん一般は、防衛省・自衛隊の抱える構造的問題になど、何の関心も持っておられないのではないでしょうか。
 そのことをもって私は「こんなことになったのは、納税者たる皆さんのせいなのですぞ」と申し上げているのです。
<友人TK>
 週末から 太田君の「防衛庁再生宣言」を再読しております。
 本当に7年あまりの間 いろんな本を読んできてはじめて太田君の本のすばらしさを痛感しております。
 福沢諭吉 吉田ドクトリンなどなどもちゃんと言及されており幅広い太田君の主張にようやく少し耳を傾けることが出来るようになりました。
 この本の内容をチューンナップして題名を吟味して「日本再生」なんかにして再発行したらいいのではと思います。
 感激です。
<太田>
 お褒めいただいて恐縮です。
 (内容はともあれ)キャリアが書いた防衛省批判本が書評に全く当時とりあげられなかったこと自体が防衛省キャリアがいかにジャーナリズム等から無視され、蔑まれているかを如実に示しています。
 なお、この本の防衛力の日英比較の所は、今年になってから(?!)我が国の軍事オタクの連中から重箱の橋をつつくような批判を浴びせられたのですが、木を見て森を見ない連中には私の方が恥ずかしくなります。
 ついでに言うと、日本史に係る記述で一箇所トンデモナイ誤りを書いてしまっているのですが、気がつきました?
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<太田>
 本日、裁判で支払いを命ぜられた賠償金額50万円の残りの20万円を支払うことができました。
 これも、皆さんのご支援、とりわけカンパをお寄せいただいた皆さんのご支援のおかげです。心から御礼申し上げます。
 時間ができたらカンパ状況を公表させていただきますが、50万円には達していないと思います。
 大変心苦しいのですが、今後の新たな裁判対策等もこれあり、引き続きカンパは続けさせていただきます。
 なお、繰り返し申し上げているように、拙著「防衛庁再生宣言」の手元在庫を1000円でお譲りしています。住所と電話番号をお教えいただければ、振込先をお教えします。宅急便代は受取人払いにさせていただきます。 
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太田述正コラム#2227(2007.12.10)
<近況報告(続々)>
 (本篇は当分の間、非公開にします。)
1 私の記者会見
 明日、1410から参議院議員会館第三会議室で私の記者会見を行います。
 社会民主党の保坂展人衆議院議員のお名前でこの会議室を確保しました。
 保坂議員とは面識がないのですが、彼が麹町中学の後輩、ということでお願いをしたところ、快諾していただけました。
 私がお話しするのは、あの「斡旋利得議員等リスト」の残された4名についてです。
 社会民主党から流してもらった記者の皆さんへの連絡FAXは「4名の政治家」とありましたが、正しくは「1名の政治家と3名の官僚」です。
 読者の中に、記者の方がおられたら、念のため、同じ社の司法記者クラブや防衛記者クラブ等の記者に注意喚起してあげてください。  
<以下、非公開>