太田述正コラム#13389(2023.3.29)
<皆さんとディスカッション(続x5486)/映画評論83:灼熱の魂/特捜部Q カルテ番号64>
<太田>
安倍問題/防衛費増。↓
<と、隣国がいうとりはります。↓>
「日本防衛費、26%増えて過去最大6兆円以上増加···GDPの1%超・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302609
ウクライナ問題。↓
<露軍の醜態。↓>
Russian soldiers say commanders used ‘barrier troops’ to stop them retreating–Assault unit members claim in video that superiors ‘want to execute us’ after ‘huge’ losses in eastern Ukraine・・・
https://www.theguardian.com/world/2023/mar/27/russian-soldiers-commanders-used-barrier-troops-stop-retreating
<ご愁傷サマ。↓>
Russia ‘Panicking’ Over Bakhmut Delays, Ukraine Adviser Says・・・
https://www.newsweek.com/russia-panicking-bakhmut-delays-ukraine-adviser-andriy-zagorodnyuk-1790837
<オースチン米国防長官がお墨付き。↓>
Ukraine Spring Counteroffensive Has ‘Very Good Chance’ of Success: Austin・・・
https://www.newsweek.com/ukraine-spring-counteroffensive-very-good-chance-success-lloyd-austin-1790990
それでは、その他の国内記事の紹介です。↓
そっかー。↓
「・・・日本橋小伝馬町の牢屋敷は幕府最大の牢獄で、敷地面積は約2618坪(約8637平方メートル)あり、サッカー場をひと回り大きくした広さだ。周囲は高さ約8尺(約2.5メートル)の練塀(ねりべい)が囲み、その外側には堀がめぐらされていた。・・・
一般庶民が入る牢獄<は>広さは約30畳である。
大牢は東西にあり、囚人同士の無用ないさかいを起こさせないために、宝暦5年(1755)には、牢馴れした常習犯は西大牢へ、初犯などの処遇の容易な罪人は東大牢への振り分けがなされた。
同じ庶民でも「宗門人別改帳」から外れた無宿はやや狭い24畳の二間牢に入れられた。このため二間牢は「無宿牢」とも呼ばれる。
御目見え以下の御家人、大名・旗本の家臣などが入る西奥揚屋(あげや)は18畳で、雑居房であることに変わりはないが、便所が設けられるなど、やや待遇はよくなる。
さらに500石以下御目見え以上の旗本、僧侶・社人などの上位身分の者は特別牢である揚座敷に入ることになる。揚座敷は個室で、軽犯罪者が身の回りの世話を行った。
これ以上の身分の者は基本的に牢獄に勾留されることはなく、藩の預かりとなる。
大番屋では男女問わずに収容されたようだが、伝馬町牢屋敷では西側の揚屋が女牢として使われ、女性は身分を問わず収容された。安永4年(1775)には江戸に流入して罪を犯した百姓を収容するための百姓牢が新設された。また遠島となる者は、東側の揚屋が使用された。
伝馬町牢屋敷では、これらの獄舎のほかに取り調べを行う穿鑿(せんさく)所、拷問蔵、さらに死刑囚人を斬首(打ち首)にする死罪場、死体の試し斬りを行う様場があった。
牢獄を管理するのは「囚獄(しゅうごく)」と呼ばれた牢屋奉行で、石出家が世襲し代々「帯刀(たてわき)」を名乗った。この石出帯刀配下の同心約50人と下男が囚人を監視していた。・・・
囚人の入浴は夏場で月6回、冬場で月3回のみしか許されず、すし詰め状態の牢内の衛生環境は悪かった。・・・
牢内が過密になると、病人、規律を乱す者、いびきがうるさい者、ツルが少ない者などが夜のうちに殺された。人を減らして牢内のスペースを確保する暗殺は「作(さく)造り」と呼ばれた。・・・
年間約300人が死罪となったが、獄死者は年間1000人を超えるという異常な状態だった。・・・
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74407?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top
どーでもいいけど・・。↓
「明智光秀=天海説は、本当に荒唐無稽な伝承なのか?・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f975a9e29ff034fd6c705d7602b6b7e120ea0a92
日・文カルト問題。↓
<「自国中心」で当たり前。↓>
「日本の教科書検定「自国中心の誤った歴史観で歪曲」 是正求める=韓国教育・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/28/2023032880221.html
<同じく。↓>
「・・・独島「不法」とする日本の教科書が検定通過…韓国政府「深い遺憾」・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/29/2023032980012.html
<そう言われましても・・。↓>
「日本の小学校教科書「竹島、韓国が不法に占拠」…韓国政府「是正せよ」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302596
<どーぞどーぞ。↓>
「韓国野党代表「独島が日本の領土という話を聞けば、尹大統領は席を蹴ってくるべき」・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302586
<どこがー?↓>
「韓国専門家「望んで日本兵になったと誤解招く恐れも」 教科書検定に懸念・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/28/2023032880245.html
<そーゆーこと。↓>
「日本の教科書歴史歪曲、日本に軽々しい期待はせず国益守る外交を展開すべき・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/29/2023032980013.html
<ストーキング反対。↓>
「MLB:投手で3億・打者で3億…今オフFAの大谷、6億ドル突破なるか–今季終了後FA…米大リーグ史上最高額になる見通し・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/03/29/2023032980050.html
https://japanese.joins.com/JArticle/302603
<日本を引き合いに出さない!↓>
「<サッカー>日本、韓国と引き分けたコロンビアに逆転負け…3月のAマッチ1敗1分け不振・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302606?sectcode=610&servcode=600&cloc=jp|main|
https://www.recordchina.co.jp/b911584-s39-c50-d0191.html
<健闘を称える。↓>
「日本に輸出される人気製品もコピー…韓国ファッション、偽物に苦悩・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/302620
フランスでの年金暴動なんて関心ゼロだが、こっちの方は少しはあるが・・。↓
What to know about Israel’s protests and judicial overhaul・・・
The controversy stems from several bills amending Israel’s “basic laws” — legally equivalent to constitutional amendments — which would grant members of parliament, or the Knesset, control over judicial appointments, eliminate judicial review of legislation and allow parliament to vote down Supreme Court decisions.
Effectively, these changes would mean “there is no legal boundary to government,” said Aeyal Gross, a professor of constitutional and international law at Tel Aviv University. “A government with no limits totally undermines any idea of democracy.”・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2023/03/27/israel-protests-judicial-reform/
humanismを早く人間主義で置き換えなきゃ。↓
・・・The “human” that humanism trumpets has for too long been essentially white, male, able-bodied and educated, with females and people of colour omitted, or sidelined. ・・・
https://www.theguardian.com/books/2023/mar/24/humanly-possible-by-sarah-bakewell-review-the-meaning-of-humanism
中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
<人民網より。
ご愛顧に感謝。↓>
「宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」が6月1日に中国で31年ぶり再公開へ・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2023/0328/c206603-10228231.html
<ここからは、レコードチャイナより。
同じく。↓>
「公開わずか3日で今年の外国映画トップに、「すずめの戸締まり」・・・中国のエンタメメディア・捜狐娯楽・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911527-s25-c30-d0052.html
<だねえ。↓>
「中国メディアの上観・・・記事は、今月25日にドイツと欧州連合(EU)が2035年以降もEU域内でガソリン車などの内燃機関(エンジン)車の販売を継続することを条件付きで認めることで合意したと伝え、「EUは2035年までのガソリン車販売禁止計画を事実上、撤回したことになる」とした。
その上で、「現在、東京の自動車台数は400万台近くで、日本全体の5%を占める。東京を含め、日本国内で販売されている新車のほとんどは依然としてガソリン車と、一部のハイブリッド車だ」と紹介。この合意によって、「日本の自動車メーカーは安堵したと言えるだろう」と述べた。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911582-s25-c20-d0052.html
<くしゅん。↓>
「・・・華字メディアの日本華僑報網・・・文章は、「日本のハイエンド人材の66%は中国から来ていると日本のメディアが報じた」ことが中国のネット上で紹介され、「中国の人材が流失している」といった議論が起きたと紹介した上で、「実際の状況は中国のネットユーザーの想像と異なる」とした。
そして「想像と異なる」理由として、日本の「高度人材」の含意が中国の「高端(ハイエンド)人材」よりも広く「中国では高端人材とはみなされないような新人や、エキスパートの域に達していない人材も含まれる」と説明。中国から日本に渡る人材の多くはまさに「中国では高端人材とはみなされないような」人材であり、むしろ業界の屋台骨となりうる日本のエキスパート人材が、良好な研究環境があり高待遇が受けられる中国へとどんどん流出しているのだと論じた。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b911497-s25-c30-d0193.html
–映画評論83:灼熱の魂/特捜部Q カルテ番号64–
1 始めに
昨日鑑賞した映画が、偶然、どちらも、社会性ある実話にひっかけたグロ・残酷サスペンス映画で、しかも、欧米だけど比較的マイナーな国で制作された、という共通性がある2本になったので、今回も一緒に論じたい。
2 灼熱の魂
「2010年のカナダ映画。レバノン生まれでカナダ・ケベック州に移住した劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲『焼け焦げるたましい(原題:Incendies、戦火)』(2003年) の映画化<で、>・・・最優秀カナダ映画賞を受賞<し、>・・・第83回アカデミー賞外国語映画部門<で>・・・最終的な5本のノミネート作品にまで名を連ねた」作品だ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%BC%E7%86%B1%E3%81%AE%E9%AD%82
https://en.wikipedia.org/wiki/Incendies
最後まで堪能はさせるのだが、筋が、原作のように戯曲ならともかく、不自然さだらけ、で、私なら、もう少しまともな脚本が書けると思ったくらいだ。
第一のハテナは、主人公の女性が遺言書を残し、その双子の姉弟がその中に書かれていたところの、自分達の父と兄を探し出せという指示を実行に移そうとする物語なのだが、父/兄が目と鼻の先にいることを知っていながら、どうして、彼女が回りくどい指示を残したのか、だ。
第二のハテナは、この主人公の女性が、内戦中に戦地に赴こうと決意した理由が薄弱だし、キリスト教徒なのにキリスト教側の指導者を暗殺しようと決意した理由もまた薄弱であることだ。
第三のハテナは、この主人公の女性が、父/兄を発見した出来事が、余りにも出来過ぎであるだけでなく、相手に気付かれなかったことが不自然過ぎることだ。
第一のハテナは、第三のハテナさえ何とかすれば、回避することができたはずなのだが・・。
問題は、第二のハテナだ。
これは、ひっかけられた実話を調べることで、疑問は氷解した。
つまり、主人公のモデルになった女性は、正教会信徒の家庭の出身ながらレバノン共産党員だった父の(恐らく)影響で彼女自身共産党員になっていて、1988年にイスラエル占領下にあったレバノン南部に赴き、イスラエルが支援していた南レバノン軍(South Lebanon Army (SLA))の指導者たるカトリック・マロン派信徒のアントワーヌ・ラハド(Antoine Lahad)を暗殺しようとし、拳銃で彼に重傷を負わせ、その後10年間にわたって拘禁されていた人物だ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Souha_Bechara
https://en.wikipedia.org/wiki/Antoine_Lahad
この通りの設定なら自然だったのだが、原作/脚本があえてそうしなかったのは、2010年当時に、世界的に、ソ連型共産党の権威は既に地に堕ちていたのに対して宗教紛争はむしろ先鋭化していたことから、リアリティーを求めたということなのだろうが、繰り返すが、キリスト教徒がキリスト教側の指導者の暗殺を試みるという設定はひっかかる。
ちなみに、原作者のワジディ・ムアワッド(Wajdi Mouawad。1968年~)は、「ベイルートに生まれ、8歳で家族とともにフランスに亡命。その後、滞在許可証の更新が拒否されたため、83年にカナダのケベック州に移住。91年、カナダ国立演劇学校を卒業後、劇団「テアトル・オ・パルルール」を創立。2016年、コリーヌ国立劇場(パリ、フランス)芸術監督に就任」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B8%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%89
という人物であり、元フランス委任統治領のレバノン、フランス、そしてカナダ・ケベック州、と、フランス語圏を渡り歩いて成功を収めた人物だが、高い能力を持つレバノン出身者である点では同じでも、非フランス語圏でも活躍して転落したカルロス・ゴーン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%B3
同様の危なっかしさを感じるものの、手堅くフランス語圏内に留まっているムアワッドが転落することはなさそうだ。
3 特捜部Q カルテ番号64
下掲の、この映画の紹介は、デンマーク語によるウィキペディア
https://no.wikipedia.org/wiki/Journal_64_(film)
より遥かに詳細であり、これに付け加えるものはない。↓
「201<8>年(デンマーク・・・映画)<で、>・・・原題<は>Journal 64<。>・・・
映画の原作小説は、ユッシ・エーズラ・オールスンによって記されました。
性科学者で精神科医の父を持ち、少年時代は精神病院内の邸宅で過ごした彼は、かつて女性収容所で行われた人権侵害に高い関心を寄せました。
映画や小説に登場した収容所はフィクションの存在ですが、モデルは実際に1921年から1962年まで<コペンハーゲン近郊の>スプロー島に実在した女性収容所です。
収容されたのは軽度の知的障害の女性、そして当時の基準で“ふしだら”とされた女性でした。
収容された女性の出所には、不妊手術の同意が条件でした。“ふしだら”な女性は優生学的に劣る存在とされたからです。・・・
日本でも1948年から1996年までの間、「旧優生保護法」の下で知的障害者の女性に対する、本人の同意なき不妊手術が行われ<ました。>・・・
忘れかけられた、国家ぐるみで行われた犯罪的行為に対し、・・・黒幕<を>新進政党も関与した、よりスケールの大きな存在<へと作り変えた上で>・・・エンターテインメントの形で光を当てた作品が<この>『特捜部Q カルテ番号64』です。・・・
デンマークでは、国内映画で歴代No.1の興行成績を記録しました。」
https://cinemarche.net/column/mitaiken10/
暇つぶしに好適な映画と言えよう。
なお、優生保護は、英米が主導し欧州がそれに追随・・ナチスドイツによるものが悪名高い・・し、世界中に広まったところの、キリスト教由来であるところの、魔女狩り的なものと見てよかろう。
日本で戦後1948年の優生保護法制定に尽力したのが、日本社会党で、しかも多くは国会議員を含む女性達であったこと、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%84%AA%E7%94%9F%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95 ←事実関係
にはやるせない思いを禁じえないのであって、戦後日本の「左」が、主体的な思考が本来的にできなさそうであることを象徴的に示しているように思う。
だからこそ、彼らは、イギリス人が主体的思考で生み出したところの優生保護、や、岸信介が主体的思考で生み出した岸カルト、等の(人間主義に反する)醜悪なものに、善意に基づき踊らされ続けて現在に至っている、ということではなかろうか。
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太田述正コラム#13390(2023.3.29)
<小山俊樹『五・一五事件–海軍青年将校たちの「昭和維新」』を読む(その18)>
→非公開