太田述正コラム#2246(2007.12.20)
<皆さんとディスカッション(続x22)>
<古参有料読者TK>
— 一言 —
 一般の視聴者は驚くほど常識のレベルが異なるものとお考え下さい。
 余程丁寧な前提の説明を含んだ発言をしないと全く逆の理解をされたり不要な反感を買う恐れがあります。
 限られたフレーズで中身の濃い発言をなさりたいお気持ちは分かりますが、意図することが半分しか伝わらなくても正しく伝わることの方を選ばれることの方が望ましい結果が得られます。
<古参有料読者AH>
 いつもコラムをご配信いただき、ありがとうございます。
 今後ともよろしくお願いいたします。
 最近では、メディアでのご活躍も少ないながら拝見しております。
 コラム読者とホームページ来訪者の減少をお嘆きだった頃を思うと、マスコミへの露出で一気に知名度が上がって(コラムの内容が変化して)、嬉しいようでもあり心配なようでもある、若干複雑な心境です。
 また、政治家の口利き、キャリア官僚の口利き・天下りについては、太田さんの真摯で的確な、勇気のある告発に感銘を受けました。
 問題をすり替えたり、矮小化しようとする勢力は大ですが、がんばって下さい。
 及ばず乍ら応援しております。
 とは言え、日本の公務員はOECD諸国の中でも人数が少ないこと、キャリアでも待遇面では決して恵まれていないこと、だからこそ、優秀な人材確保のためには給与・年金等をキチンと支給する必要がある(当然、不正な便宜供与を伴う天下りは禁止)、というところまで議論が辿り着くことはなさそうですね・・・
 私も、仕事柄、某省キャリアの方を何人も存じ上げておりますが、その給与や本省での仕事の過酷さを知っている人があまりに少ない気がします。
 個人的には、あれだけの精神的にも過酷な労働の対価(不足分の補填)として、また、天下国家を支えるモチベーション維持のため、現状では多少の天下りもやむを得ないような気もします。
 もちろん、それは不正の温床になるので、本来は正当な対価を用意して天下りは禁止にすべきとは思いますが。
 長々と駄文を書き連ね、失礼いたしました。
 これからも素晴らしいコラムをお待ちしております。
<太田>
 ご心配いただいたり、激励をしていただいたりありがたい限りです。
 おかげさまで、例えば本日配信された田中秀征氏のコラムを読むと、まるで私が田中氏に乗り移ったような感じです。
 「福田内閣の支持率の急落にはさまざまな要因がある。なかでも主要なものは、1)年金問題、2)防衛省疑惑、3)C型肝炎問題の「3点セット」であろう。
この3点セットには顕著な共通点がある。それはいずれも一義的責任が官僚にあること。そして、実害が直接間接に納税者に及ぶことである。さらにこれらの問題は、「日本の政治が、官僚組織をコントロールできていない」というゆゆしき実態をまざまざと示している。とりわけ、現在の統治構 造を基盤として成立している福田政権には、根本的な問題解決能力が欠けているという見方が広がっている。それが今回の支持率急落につながったと言えよう。・・C型肝炎問題については、・・その1は、徹底した責任の追及をすること。法的責任を厳しく問い、それを問えない部分には道義的責任を追及すること。当時の関係者は被害者と納税者 に謝罪をし、自発的に何らかの具体的な形で償うこと。この問題に関係した人たちが、天下りして平然と過ごしていることは許されない。 その2は、二度とこのような問題を起こさないために、官僚制度の抜本的改革を行うこと。特に、天下りによって、官庁の民間に対するチェック機能が麻痺している現状を打破しなければならない。・・政・官・業が癒着する現在の統治構造にメスを入れない限り、今後も問題は起き続ける。そのたびに納税者は大きな損失をこうむることになる。そして自民党や現内閣の支持率は低下を続けるだろう。」(
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/shusei/071220_60th/
12月20日アクセス)
 田中さんがこんなことを言い出されたのは、最近のことではないでしょうか。
 私のたった一人の闘争がオピニオン・リーダー達をも動かしつつある、と思いたいところです。
 それでこそ、守屋の人柱も生きるというものです(注)。
 (注)検察は、懸命に守屋による山田洋行ないし宮崎氏への便宜供与を立証しようとしているが、かなり無理がある。また、守屋はどうやらゴルフの際カネは負担していなかったらしいし、次官就任祝い以外にもカネをもらったらしい。とはいえ、カネの大部分は奥さんの幸子さんがもらっていたようで、検察が幸子さんも逮捕したことで守屋が奥さんをかばおうとしているフシもうかがえる。いずれにせよ、時効にかかっていないここ5年間のトータルで、守屋が受け取ったとされるカネの総額が1000万円にはなりそうもないことに注目しよう。これは山田洋行への天下り10数名のうち1名の年間ヤミ年金額相当の金目でしかない!
    (カネを受け取ったはなしについて、
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007121902073268.html
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071218ig90.htm
http://news.livedoor.com/article/detail/3435966/
(以上、12月19日アクセス)
http://mainichi.jp/select/today/news/20071220k0000m040158000c.html
(12月20日アクセス)参照。)
 また、防衛省問題に限定しても、次のような東京新聞の昨日の社説
 「調達の在り方そのものが、腐敗の根源といえる。何しろカップめんから戦闘機までという装備品の調達予算は、年間約二兆円もある。輸入が約一千億円台だが、ライセンス生産も含んだ、三菱重工など国内メーカーの納入は九割以上を占めている。問題点はもっと根深い部分まで広く及んでいないか。 もともと日本の装備品は「割高だ」と指摘されていた。輸入品なら国際相場があるが、国内生産では特定のメーカーに限定されるため、「言い値」がまかり通っているとされる。国内企業の育成は軽視できないが、原価計算やチェックすらおろそかでは困る。「割高製品」に税金が野放図に注ぎ込まれては、国民が到底、納得するはずはない。 対空ミサイル防御装置などの同社の水増し請求問題も、そんな背景に由来する。・・天下りの実態も旧態依然である。「その実績で受注関係が決まる」ともささやかれる。同省からの天下り先には大手の重工・電機メーカーなどがひしめく。山田洋行は上位二十位にも入らない。天下りの構造自体にも問題が潜在している。 大手メーカーの子会社が絡んだ旧調達実施本部の背任・横領事件や談合事件など、不祥事が続く。東京地検は不正の連鎖を断ち切るためにも、大構えの姿勢で、国内企業などの受注をも総点検すべきである。・・沖縄・普天間飛行場の移設や米海兵隊のグアム移転など、米軍再編の費用は三兆円とも見積もられる。ミサイル防衛では一兆円とも…。そんな巨大事業が動き始めている。「軍・産・政」の癒着の密室空間が懸念される。太平洋をまたいだ利権構造にまで踏み込み、調達のからくりを解き明かしてほしい。」(
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007121902073272.html
。12月19日アクセス)
など、まるで私が書いているようだと思われませんか。
 オピニオンリーダーや主要紙の認識はここまで来ました。
 しかし、田中氏は、「この機会に福田首相は一変して“改革の鬼”になったらどうだろうか。行政改革、官僚改革の先頭に立ち、小泉元首相も本格的な着手に至らなかった統治構造の改革に取り組んだらどうだろうか。」とこの期に及んでなお自民党に期待し、東京新聞は検察に期待しています。
 検察には期待できないし、自民党政権は打倒する以外ない、という私の主張が浸透するまで引き続き頑張りますので、皆さんのご支援のほどをよろしく。
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<太田>
 有料読者で12月末が期限となる多くの方々はできるだけ早く次期会費をお支払い下さい。
 また、拙著『防衛庁再生宣言』の注文を受けています。住所・電話を教えていただけば代金1000円の振込先をお教えします。着払いで宅急便でお送りします。
 この関連でガックリきた出来事をご報告します。
 10月末、大阪で「たかじん・・」の収録があったことを契機に、必要が生じると考え、東芝の携帯パソコンを新宿のヨドバシカメラ本店で購入しました。
 このパソコンを12月11日の参議院議員会館での記者会見の際に持参し、その帰りに事務所によって拙著を30冊自宅に持ち帰りました。この時、キャリーバッグの中に入れていたパソコンに圧力がかかったと思われます。
 16日に5日ぶりにこのパソコンを起動したところ、液晶画面の上隅に長さ3cm最大幅0.5cmほどの欠損部分を発見し、東芝に修理に出したのです。
 結論的には、ユーザーの過失によって生じた欠損と認定され、8万5,000円で有償修理、と言われ、今度はヨドバシカメラに確認したところ、同店の延長保証に私が入っているので、ユーザーが重過失でない限り無償で修理されるが、メーカーの保証期間1年が経った時点、すなわち来年10月末以降しか受け付けられないので、次第に欠損部分が広がる可能性があるけれど、それまでだましだまし使っていてくださいとのことでした。
 東芝に対しては、上記記者会見の際に私と(東芝製と分かる)パソコンとが一緒に写っている写真に言及しつつ、東芝のパソコンの宣伝になっている、また、東芝の携帯パソコンは私として3台目である、と縷々陳情したのですが、結局無償修理を飲んではくれませんでした。
 携帯パソコンに圧力を加えてはならない、という注意書きが目に付くところに書いていない東芝のマニュアルのできの悪さ、また、保証の上述のようなわかりにくさ等、(必ずしも東芝に限らないのでしょうが、)東芝には一層の企業努力を求めたいと思います。
 こんな「犠牲」を払ったのですから、発送の手間はばかになりませんが、皆さん、拙著を注文しましょうね。
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太田述正コラム#2247(2007.12.20)
<NLPで役人を辞めた私(その1)>
→非公開