太田述正コラム#2284(2008.1.6)
<オバマ大頭領誕生へ?(その2)>
「イラクの状況が改善し、政治的議題として小さくなったことに伴い、経験豊富な大統領候補者を必要とする度合いも小さくなった。・・イスラム学校に少年時代通い、人種や宗教を超越したところの、アフリカ人の息子が次の米大統領になる可能性が出てきたことは、米国民自身に、そして不安を抱いている現在の世界に希望に満ちた力強いメッセージを送ったと言えよう。」
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/story/0,,2235791,00.html
3 米ワシントンポスト
「今年の大統領予備選挙のシーズンが早く始まったことはよく知られているが、政治日程におけるより大きな変化はいかにそれが圧縮されたかということだ。アイオワ州の党員集会を皮切りに、33日間で31の州で一つの党か両方の党の投票が行われる。8年前には同じ期間にわずか9州でしか投票が行われなかったことを想起せよ。・・今年の予備選挙はかくも密度が濃いのだから、勢いこそカギであり、民主党のヒラリー・ロダム・クリントンにとって今後求められる努力の度合いがいかばかりのものか想像に難くないというものだ。」
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/01/04/AR2008010404126_pf.html
「私は彼女がニュー・ハンプシャー州で勝てるとは思わない」とある民主党の選挙参謀は断定的な口調で語った。同州での火曜日の予備選挙までに態勢を立て直す時間がほとんどないからだというのだ。「私に言わせれば、ニュー・ハンプシャー州での興味は、彼女がいかに負けるかということだけだ。」つまり、負けてどんな言葉を彼女が吐くか、そしてどれだけ彼女が負けるか、というわけだ。余りに冷酷な予測と言われるかも知れないが、木曜の夜、アイオワ州の各地の学校の体育館や地域センターにおいて、クリントンの時代は必然的に終焉を迎えたのだ。」
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/01/04/AR2008010403409_pf.html
→ワシントンポストの論調もガーディアンと同じでしょう。(太田)
4 米ニューヨークタイムス
「歴史家達は彼らの典拠資料を投げ捨てよ。これは全く新しい事態なのだ。米国において、バラク・オバマ現象のようなことは今まで一度もなかった。・・オバマ上院議員の勝利演説は簡潔で素晴らしい弁舌だった。どちらの党のいかなる候補者も彼のように聴衆を感動させることはできない。彼はこの驚くべき勝利を「不可能に思えることでも、この国を愛する人々によって変えることができるという最も米国的な観念」が裏付けられたと形容した。・・この選挙の結果がどうなろうと、オバマ氏は巨大なことを成し遂げたと評価されるに値する。」
http://www.nytimes.com/2008/01/05/opinion/05herbert.html?ref=opinion&pagewanted=print
→興奮で筆が踊ってますねえ。しかし、最後のところで正気に戻って「この選挙の結果がどうなろうと」なんて安全パイを用意したところは誉めるべきか、さて?(太田)
5 英ファイナンシャルタイムス
→筆が踊っていると言えば、ファイナンシャルタイムスのルース(Edward Luce)による論説もそうです。余りの名文なので、訳すのもホネです。よって最期の部分だけをご紹介しましょう。(太田)
「・・オバマ氏が今後より厳しい反対尋問に晒され続けることが必至である中で果たしてこの勢いを維持できるかどうかはともかくとして、彼に批判的な者ですら、彼が今まさに、雷光を瓶の中に捕まえるという世にも稀な技量を発揮したことは認めざるを得ないだろう。」
http://www.ft.com/cms/s/0/2fe4bd78-baef-11dc-9fbc-0000779fd2ac.html
6 最後に再びガーディアン
→それにしても、どうしてオバマが単に民主党大統領候補当確だけでなく、大統領当確なのでしょうか。1月6日付のガーディアンに転載された姉妹紙のオブザーバー掲載の米New Republic誌上級編集者クロウリー(Michael Crowley)のコラムがその理由を説明してくれています。米国は今や完全に民主党の時代になったというのです。どうしてそうなったかは余りにも長くなるので別のコラムに譲ることとし、ここでは省略しますが、結論の部分をご紹介しておきます。(太田)
「アイオワ州での結果は選挙民が革命的ムードにあることを物語っている。すなわち、彼らは米国の政治システムが彼らの本当の気持ちとはかけ離れてしまったと感じているのだ。8年もの苛烈で混乱した年月を経て、彼らのこの気持ちは民主党の大統領という形をとって来年満たされるに相違ない。」(
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/story/0,,2236161,00.html
。1月6日アクセス)
(完)
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太田述正コラム#2285(2008.1.6)
<1999年のマレーシア公式訪問記(その1)>
→非公開
オバマ大頭領誕生へ?(その2)
- 公開日:
女性のU.S.大統領は,まだ無理なんでしょうかねぇ~…