太田述正コラム#2296(2008.1.13)
<皆さんとディスカッション(続x35)>
<大学生>
 太田さん、中東諸国と我々側(?)の価値観の違いについての指摘は理解できますが、それを考慮したとしてもユダヤ関係のイギリスの外交活動、それに取って代わって中東を引っかき回しているアメリカの行為と言うものを正当化できる話にはならないと思います。
 (太田さんは正当化していないのかもしれませんが、拡大解釈するとそのように受け止められます。)
 現代の日本人の価値観から言っても、アメリカの対中東政策、イスラエルパレスチナ外交は身勝手であると思う人が大半だと思います。
 そしてそれを日本人が中東情勢を眺める時に頭の片隅に入れとかなければ、やはり日本はアメリカの後ろを付いて行くポチにしかなりませんし、これからの日本の国際的評価を著しく損なう事に繋がりかねない事だと思うのですが。
 日本への評価など度外視したとしても、もうアメリカ型のアプローチは見直すべき段階にきていると思います。
 イスラエルが危うくなってしまう危険性もあるかもしれませんが、近視眼的すぎますかね?
 未完成である中東の価値観を変え、あの地域の民主化と発展(と勢力拡大)を目論んだアメリカが大失敗したと言うことは明らかです。
 太田さんの論調にはちょっと危うさを感じてしまいます。
<太田>
>日本はアメリカの後ろを付いて行くポチにしかなりません
 何度言ったら分かっていただけるのですかねえ。
 日本は米国の属国であり、米国の後を当然ポチとしてついていっているのです。
>日本への評価など度外視したとしても
 米国の属国に甘んじている現代日本への諸外国の評価は以前から地に堕ちています。
>現代の日本人の価値観から言っても、アメリカの対中東政策、イスラエルパレスチナ外交は身勝手であると思う人が大半だと思います。
 そんな現代日本人が中東問題についていかなる価値観を抱いていようと、諸外国は何の関心もありません。
>そしてそれを日本人が中東情勢を眺める時に頭の片隅に入れとかなければ、
 とんでもない。頭の片隅にさえ入れたら目が曇ります!
>ユダヤ関係のイギリスの外交活動、それに取って代わって中東を引っかき回しているアメリカの行為
 この後のやりとりを読んでください。
<Yoshu>
 太田さんの仰りたかったのは、憶測ですが、こういう見方があるよと、教えて下さったんだと思います。「中東諸国」と「日本や欧米諸国」との違いをあげて、色々な見方や考え方をしてみなさいと、仰られていると、そう私はとりました。間違ってたら、すみません。
 とは言え、私も太田さんの書き方は、読む側の取り方によっては、危ういと思います。 やはり、最低、英仏の行った中東分断あたりから、現在のアメリカの行ってる中東政策までは、把握しとくべきでしょうね。
<太田>
 私のコラム等にコメントする際には、できるだけ典拠をつけるようにしてくださいとお願いしているところですが、
>英仏の行った中東分断あたりから、現在のアメリカの行ってる中東政策までは、把握しとくべき
とおっしゃっているところを見ると、これらについて詳述してきた私のコラムや私のコラムが依拠してきた典拠よりも信頼できる典拠が他にあるとおっしゃっているようにも私は思えます。
 ぜひともその典拠を教えていただきたいものですね。
 典拠をあげられないのなら、せめて人類共通の倫理・論理を踏まえつつ、日本人が誰でも知っている事実を引用してたとえ話で論じることをお奨めします。
 お二人は、対パレスティナ政策のことがもっぱら念頭にあるのかもしれませんが、イラクに係る「現在のアメリカが行っている中東政策」について言えば、
1 フセイン政権は侵略的(イラン・イラク戦争開始、クェート侵略)で人権蹂躙を重ねていた(クルド人への毒ガス攻撃、シーア派の大量処刑等)。これが江戸時代末期の徳川政権だったと仮定する。
2 (史実とは異なるが(以下同じ))徳川政権樹立直前、天皇制は廃止されていた。
3 その徳川政権が、核兵器を開発しようとしているという情報を米英が得た。
4 そこで、米国が英国等と語らって徳川政権を打倒する軍事行動を起こし、それに成功した。
5 しかし、徳川政権は核兵器開発を既に断念していたことが判明した。
6 米軍を中心とする占領軍は、わずかな兵力しか日本に派遣しないまま、(史実とは異なり官軍が存在しない状況下で)徳川軍を解体するとともに、ただちに版籍奉還・秩禄処分(=武士階級(バース党員!)の追放・特権剥奪)を断行した。更にほとんど時間を置かずに憲法を制定、施行し、日本の自由・民主主義化を図った。その際、天皇制を復活するオプションは考慮されなかった。
7 このため各地で旧武士達による占領軍や日本の新政府に対する叛乱が起こり、これに支那等からの志士が加勢し、米軍等の兵力不足もあり、叛乱は深刻化・長期化した。
8 その後、日本は主権を回復したが、新政府内部の薩長両勢力及び中立勢力の三つどもえの抗争や腐敗のため、新国軍や警察の整備等の行政機構の整備は遅々として進んでいない。なお、米軍等は引き続き日本に駐留している。
9 しかし、遅きに失したきらいがあったもののようやく米軍が兵力を増強したこともあり、叛乱は沈静化の兆しを見せている。
と日本に置き換えることができます。
 私は、イラクに係る「現在のアメリカの行ってる中東政策」でドジった点は、基本的に6に書いたことに尽きると考えています。
 お二人が、イラクに係る「現在のアメリカの行ってる中東政策」の問題点はそれに尽きないと考えておられるのであれば、具体的に説明してください。
 もちろん、対パレスティナ政策についてでも結構ですが・・。
<Pixy>
>要するに、「反捕鯨は宗教なのでどういう風に反論しようが聞く耳持たれない」ということだそうです。
>みなさんはどう考えられますか?
 自分も年末に例の「豪批判」Youtube動画で1週間ほどコメント投稿してましたが、豪州人の反応コメントを読む限り、個人的な印象としては、「聞く耳」がないという指摘は事実としか思えないですね。
 少し前のガーディアンのブログでも日本人が何を言っても、一見聞いたようなフリをして実際は同じような内容を繰り返すばかりで呆れました。
Harpoon this ecoimperialism
http://commentisfree.guardian.co.uk/brendan_oneill/2007/11/harpoon_this_ecoimperialism.html
 反捕鯨論者が意識して反論を無視しているのかどうかは定かでは無いですし、彼らの意識としてはひょっとして十分に反論にも耳を貸しており、科学的調査も尊重しているつもりなのかもしれません。
 ただし、IWCでいままで日本が受けてきた不当な仕打ちを考えると、少なくとも一般的な日本人的な感覚では「反捕鯨は宗教なのでどういう風に反論しようが聞く耳持たれない」という結論に達するのもやむを得ないと思います。
 「豪批判」Youtube動画には、豪州の白豪主義、カンガルー殺しうんぬんで攻めるのは、捕鯨と直接関係ないし、失礼な方法だ。科学的事実をぶつけて正 々堂々と話し合えばいい。といった正論の批判もあります。ただ、それは少なくとも捕鯨問題に関しては、過去の経緯を無視した意見です。もし科学的事実をぶ つけて討論して反捕鯨派が納得するのであれば、とっくにIWCは正常化してミンク鯨の商業捕鯨も再開出来ている筈です。
 ここで正論が通じない相手に一体どうやって自分の意見を伝えて交渉に持ち込むかという悩ましい問題になります。
 Youtube等にあった水産庁の森下氏のインタビューを見る限り、日本側は反捕鯨と同じ土俵で醜い争い(捕鯨と関係ない国をIWCに加盟させて票を集め る・・等)を積極的に行うつもりはないようです。ただ、それでは半永久的に現在のままという可能性もあり、やられたらやり返す、最初に難癖つけて攻撃して、討議に持ち込むみたいな考え方もあり得ます。「豪批判」Youtube動画はその一つではないかと。
<太田>
>豪州人の反応コメントを読む限り、個人的な印象としては、「聞く耳」がないという指摘は事実としか思えないですね。
 豪州のメディアでは、私が以前指摘した英米のメディアのような「聞く耳」を示す動きが見られない、という理解でよろしいですか。
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太田述正コラム#2297(2008.1.13)
<台湾立法院選挙>
→非公開