太田述正コラム#2299(2008.1.14)
<「太田総理・・」2008年初出演(続)>(2008.1.19公開)
 (本篇は、18日深夜まで公開しません。)
1 始めに
 日本テレビ(汐留)に録画撮りに行ってきました。
 エレベーターで平沢勝栄議員と一緒になったところ、向こうから話しかけてきたので、何だか面はゆい気がしました。
 担当者との打ち合わせの際、どうして急遽私の出演が決まったのか尋ねたところ、誰かが欠けた穴埋めということではなく、こういうマニフェストならやっぱり太田さんに出てもらわなきゃと言い出したスタッフがいて、声をかけたのだと言っていました。
 先に送ってあるアンケートでの私の書き方ではいささかパンチに乏しかったかなと思っていたので、「護衛艦を監視のためにインド洋に派遣したいがそれでは日本国内で通らないので給油艦を連れて行き、給油させることにした。しかし、有償だと誰も油を受け取ってくれないので無償にしたのだ」と説明したところ、担当者の目が輝きました。
 1730過ぎに録画撮り会場に入ると、事前に聞いていた配置と異なり、(この番組出演5回目にして初めて)私が後列の席に座らされる予定であったところ、前列の席に差し替えになっていました。
 (前回のこの番組出演は「証人」としての出演であり、座席はなかったので、厳密に言うとカウントすべきではない。)
 私が専門的アドバイザー役から主要出演者に格上げになった、と受け止めました。
2 出演者
 マニフェストが、(中身は変わらないけれど、)「ハリウッド映画を0円にしてもらいます」に短縮されていました。
 賛成は、宮崎哲弥、浅尾慶一郎(民主・参。影の防衛大臣)、渡辺周(民主・衆)、井上哲士(共産・参)、私、金美齢、小倉優子、ふかわりょう、ラサール石井、フットボールアワーのコンビ2人。
 反対は、平沢勝栄(自民・衆。元警察庁)、秋元司(自民・参。防衛省政務官)、大村秀章(自民・衆。元農水省)、山本かなえ(公明・参。元外務省)、森本敏(拓殖大教授。元外務省、元航空自衛隊)、村田晃嗣(同志社大教授)、サム・ジェームソン(元ロサンゼルスタイムス東京特派員)、ケビン・クローン、秋野暢子。
 私は初めての賛成席(「議長」席に向かって右手)です。
3 私の発言
 反対席に与党、賛成席に野党の国会議員が陣取ったため、国会での論戦の蒸し返しのようなつまらない話が続いたところで、おもむろに手を挙げたのですが、森「議長」がなかなか指名してくれません。
 挙げ続けること約10分(?!)。ようやく指名されました。
 「当然踏まえなければならない事実を踏まえずに議論をするからかみ合わない。護衛艦を監視目的で派遣したいがそれでは通らないので、給油艦を派遣し、その護衛という形で護衛艦を派遣したのだ。給油すると言っても有償だと誰も寄りつかないので無償にした、ということ。監視して得た情報は米軍に提供している」といった趣旨のことを話しました。
 浅尾議員が、私の発言を受けて、イージス艦の派遣の話を持ち出し、政府は情報開示をしないと述べたので、イージス艦は高性能なだけで、普通の護衛艦でも同じことだとたしなめました。
 また秋元議員が、海自の護衛艦が不審船情報等を得たら、米軍等に通報する場合もあるというだけのことだと反論したので、「受け売りのタテマエ論を言うな。護衛艦が得た情報は自動的に全部米軍が吸い上げる仕組みになっている」とこれもたしなめておきました。
 そのあたりで、苦虫を噛みつぶしたように聞いていた森本氏が、派遣された護衛艦が海軍艦艇として当然行うことを行っているということだと述べた上で、長々とイージス艦派遣の事情について蘊蓄を傾けました。安全保障専門家としての面子がかかっているという風情でした。
 これにも茶々をいれようかと思ったのですが、誰かが、「要するに太田さんの言ってる通りなんですね」と述べたので私が発言するのは止めておきました。
 この間、日本が米国に貢いでばかりでけしからんといった議論が飛び交ったので、私の持論の日本は米国の保護国である論も開陳しました。
 「英文ウィキペディアのprotectorate(保護国)をひいて読んでみろ。日本のことを言っているのではないかと思うことうけあいだ」と述べたところ、森本氏がまたもや顔をゆがめたのは不思議ではないとして、その隣に座っていた村田氏が「ウィキペディアなんて信用できない」と言い出したのには哀しくなりました。反論にも何にもなっていないのですが、いずれにせよ、政治学者で心底日本が米国の保護国でないと思っている人がいる事実に哀しくなったのです。
 もう一つ発言したのは、小沢さんの新テロ特措法採決棄権はけしからんし理由が分からないという議論が交わされたので、これまた私の持論の宗主国米国による小沢脅迫論をご披露し、「大連立話もテロ特措法問題から小沢さんが下りるためのものだった可能性が高い」と述べました。
 ただし、この論に関しては絶対に正しいとは言い切れない、と留保をつけておきました。
4 録画撮り終了後
 宮崎氏が、米国が小沢さんを脅迫しているネタは何かと聞くので、不祥事でしょうと答えておきました。
 さあ、私の三つの主要発言のうちいくつ放送するか、日テレの存念のほどを期待して見守ることにしましょう。