太田述正コラム#2318(2008.1.24)
<皆さんとディスカッション(続x46)>
<読者SK>
 ネットワーク上のツール(メール、掲示板、Mixi)の使い分けについて<ですが>、
私はメールが主です。掲示板、Mixi(IDはあります)は全く使っていません。
 掲示板、Mixiは直ぐに反応があって面白いと思います。
 が、議論が白熱して非難の応酬になったり、的外れな議論もあったりするので、書き込みした事はほとんどありません。
 そんなに議論したいことがあったら、直接会って話をしたらと感じております。
<みらい>
外国人の地方参政権を与えることには反対です。
 せいぜい、臨時に住民投票をするぐらいまででしょう。
 また、地方参政権をやってしまったら、外国人による治外法権の都市が誕生する。
 それこそ、明治維新初期に逆戻りです。
<太田>
 移民の受け入れとか外国人への地方参政権の付与と聞いただけで、拒否反応を示す読者がいらっしゃるようですね。
 有料読者でない方は、現在連載中の「世界帝国とその寛容性・包摂性」シリーズ(コラム#2317~)がいずれ公開された時に読んでいただきたいものですが、史上出現した世界帝国であるペルシャ、ローマ、唐、モンゴル、オランダ、英国、米国はいずれも世界から広く人材を集めることができた国々です。
 私は、これは世界帝国に限らず、いかなる国であれ、その国が繁栄するための必要条件であると考えています。
 世界から広く人材を集めるには、帰化オプションだけでなく、長期滞在オプションも整備する必要があるところ、その長期滞在オプションを魅力あるものにするために、地方参政権の(部分的)付与は有効な手段の一つではないかと私は考えているのです。
 長期滞在オプションが魅力的になれば、長期滞在の外国人が増えるだけでなく、その中から日本に帰化しようとする人も増えることでしょう。
 なお、明治維新初期は、多数のお雇い外人が活躍した時代でもあります。
 彼らは日本の指導者達の熱意にほだされ、もちろんべらぼうに高い給与にも惹かれて故郷を遠く離れた日本にやってきたわけですが、治外法権であったことも彼らの念頭にあったかもしれませんよ。
 ま、冗談ですが。
<読者SK>
 移民の受け入れ及び外国人への地方参政権への付与は太田さんと基本的には同じです。
 <しかし、>やはり日本が独立して、憲法改正、スパイ防止法などの法整備後でなければ認められません。
 移民に紛れて必ずスパイが潜入する可能性を否定できないし、必ず紛れ込むと考えた方が良いでしょう。
 現在の日本でそれを受け入れると今以上に困難な状況になるので反対です。
 早くその時が来るのを望んではいますが・・・
 紛争(戦争)になったら、出て行く人と踏み止まる人は分けて考えなければなりません。
 反対な方々の理由は様々だと思いますが、以下のように考えると受け入れ容認になるのではないでしょうか?
 何をもって日本人とするのか日本人の究極の例を考えました。
 単純に日本に住んでいるから日本人とか言うのは「日本人」ではないと思います。
1 日本人のDNAを受け継ぐ人
 ほとんどの日本人が該当しますが、究極の人は外国で生まれ育った3世4世。日本と繋がりなく、日本的な教育は全く受けてない方。
 例を挙げると某宗主国のマイク・ホンダ氏。彼はDNAの祖国日本に弓退く存在に成り果てました。
 この他、反日の政治家、言論人、言論タレントなどなど。
2 「日本人」の考え・思想を受け継ぐ人
 日本を愛し、叱咤激励をする外国人。例を挙げると李登輝さん、金美麗さんなど。
 お二人のご活躍はこの場であえて言う必要な無いと思います。貴重な存在です。
 1であり且つ2であれば一番良いと思いますが、2だけで十分ではないでしょうか?
 ローマ帝国が最大版図を得た勢いのある頃(キリスト教 国教化の前)の政策に通じるものあるのではないでしょうか?
 自分自身も1であり2であるなら良いと思っておりますが、どれだけ受け継いでいるのかは分かりません。
<太田>
 建設的なご意見をいただきましたが、移民の受け入れに関しては、ご意見は分かるものの、地方参政権の(一部)付与をしたからといって、潜入するスパイが増えるとは私は思いませんね。
 いずれにせよ、スパイ防止法(防諜法)の制定は急務だと思います。
<KAZU>
コラム#1860を読みましたが、チャルマーズ・ジョンソンは、かつてCIAの協力者でその腐敗ぶりに辟易したと後年述懐していることからも、基本的にフランケンシュタイン化したCIAを(組織論レベルではなく)、蛇蝎の如く嫌悪していると見るべきだと思いました。
帝王学ではないですが、やはりdivide & ruleで危険な組織は複数分断型でコントロールしていくべきだと思います。何事にも効率悪いから一元化せよという判りやすいロジックには、途方もない怪物を意に拠らず創出すると思うのですがいかがでしょうか。
<太田>
 秘密工作を行うに当たっては情報が不可欠であり、秘密工作が一種の作戦である以上、作戦情報(戦術情報)がほぼリアルタイムで秘密工作部門に与えられなければなりません。
 ですから、秘密工作を行う機関は、作戦情報収集・分析部門を自ら持っていなければ十分機能しえない、と私は考えます。
 また、秘密工作は軍事よりも政治の比重が高いことから、戦略情報と作戦情報との境界が不分明です。
 結局秘密工作を行う機関は、秘密工作部門のほか、作戦情報収集・分析部門ならぬ、(戦略・作戦)情報収集・分析部門を自ら持っている必要がある、ということになるのではないでしょうか。
<田吾作>
 <千葉英司氏が提起した>裁判についての私の意見を述べてみます。
 戦略としては「勝つ」事が第一義だと私は考えます。言い換えると「正義」や「真実」は戦術的(二次的)な問題だと言うことです。勝者の言い分が「正義」だという事を我々は敗戦で学びました、同じ事を繰り返すのは愚か者のやる事だと私は考えます。
 戦術的には自分の発言を「裁判で勝利して取り返すまでは削除する」という宣言文に差し替える事が有効だと私は考えます。複雑な世の中で自分の主張を立証する事は容易ではありませんので、告訴した側に立証責任がある以上敵に塩を送るようなまねは慎まねばなりません。戦争に負ける事は消滅を意味するので戦略上は負ける事は許されません。
 要は相手の主張を相手の論理を利用して矛盾に導けば良いのであり、「正義」や「真実」などは論点をそらすのでむしろ邪魔になります。自分の主張が事実である事(全ての論点を論破する必要がある)を複雑な世の中の現状を踏まえる中で証明することを義務づけられているのは原告なので、矛盾が一つあれば事実で無い事が証明できます。
民間人が権力当局に勝利した珍しい実例(参考)
 「・・本映画の原作は、ベストセラーとなった『不撓不屈』(高杉良著:2002年6月)であり、一税理士と国税庁が日本経済史上、希有の死闘を繰り広げた「飯塚事件」の実話に基づいています。
 「飯塚事件」は国家権力と一税理士との前代未聞の闘争劇となりました。故飯塚毅は、信じ難い不撓不屈の精神で闘いぬき、ついに完全勝利するに至りました。
 その後、故飯塚毅は、昭和41年10月に株式会社TKCを設立、昭和46年8月にはTKC全国会を創設しました。・・」
http://www.tkcnf.or.jp/00top/futofukutu.html  
<太田>
 コラム#2315(未公開)を読んでおられない読者にはチンプンカンプンだと思いますが、あしからず。
 ご助言いただき大変ありがとうございます。
 ただ、コラム#1184をこの際削除した方がよいというご趣旨であれば、それは余り意味がないのではないでしょうか。
 というのは、千葉氏はコラム#1184の削除を要求しているわけではないのであって、単に私がコラム#1184をインターネットにアップロードしたこと・・アップロードし続けてきたことではない・・が名誉毀損にあたる、と主張しているからです。
 ですから、コラム#1184を削除したところで、(かつコラム#1184が転記したところのコラム#195を削除したところで、)千葉氏から見た訴えの利益は全く失われないのであって、裁判所の行う法的判断にも影響を与えないでしょう。
 もっとも、削除すれば、裁判所が刑事裁判における情状的にこのことを受け止め、量刑ならぬ損害賠償金額の算定の際に考慮してくれる可能性はあるかもしれません。
 しかしそれは、コラム#1184が名誉毀損にあたると裁判所が判断した場合のことであり、私としては、あくまでも名誉毀損にあたらない、と主張して行くことになります。 
 なお、前回及び今回の訴訟の本筋とは関係ありませんが、名誉毀損訴訟における真実性の証明は被告側に課せられていることをお忘れなく。
<読者SK>
 裁判の件、私は法律の専門家でもないので直接お力になれる事はないと思うのですが、秋田の地から応援しております。少ないですが、カンパをいたします。
 必ずお勝ち下さい!
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太田述正コラム#2319(2008.1.24)
<新裁判雑記(その2)>
→非公開