太田述正コラム#2379(2008.2.22)
<皆さんとディスカッション(続x70)>
<大>
多民族国家では単一民族国家に比べて民主主義が機能しにくいところがある、という風に太田さんの言葉(コラム#2377)を理解してみたのですが、いまいち関係があるということが理屈として納得できないのですが。
<太田>
多民族国家では民主主義が機能しにくいというより、多民族国家が民主主義化すると民族ごとに分裂・分解しがちだ、ということを申し上げているのです。
旧ソ連や旧ユーゴスラビアの例が典型的です。
<友人TK>
イージス艦と漁船の衝突事故について、防衛省が全く懲りずに隠蔽したのは本当にまずかったですね。
厚生労働省の隠蔽事例研究もしていないようで、あいかわらず官庁はどうしちゃったんだろうと暗然とした気分です。
また、国道交通省のFuyushibaも最低の男ですね。
みんなお金の亡者だと思います。
<太田>
今回の事故(事故後の対応を含む)を官庁不祥事の一環として捕らえることは適切であると思います。
ただし、今回の防衛省の情報「隠蔽」については、その背景・・情報発出に係る制服組の実戦感覚の欠如と背広組のダメさかげん・・についても理解する必要があります。
先程自宅でフジテレビの録画取材を受け、このことをしゃべりましたが、その一部が明日(土曜)1000~1130の番組の中で用いられます。関心のある方はご覧下さい。
それにしても、渡辺金融担当相ならずとも、今回の事故がイスラム過激派によるテロ攻撃だったらと思うとぞっとします。
どうやら、衝突するまで清徳丸の存在にあたご側は全く気付いておらず、ライトを点滅させたのも、衝突したからだったようだというのですから何をかいわんやです。(事実関係にについては、
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080219-1263180/news/20080221-OYT1T00364.htm、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008022202089476.html
(どちらも2月22日アクセス)による。)
2000年10月、イエメンのアデン港に燃料補給のために停泊中の米イージス駆逐艦・・要するにあたごとそっくりの艦艇・・コール号に対し、所属不明の小型ゴムボートが接近し、爆発し、コールの乗員のうち17人が死亡し、39人が負傷し、同艦左舷中央部に横 12m、縦 6mの破口が生じ、航行不能となったという事件をご記憶の方も多いと思います。小型ゴムボートは停泊作業中のコール号に対する支援船を装っていたものであり、事件の翌日に反米イスラム 過激派が犯行声明を公表しました。(
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2004/00502/contents/0002.htm
。2月22日アクセス)
海自のイージス艦は補給艦「護衛」のためにインド洋に何度も派遣されており、日本による米国等の対テロ戦争協力を象徴する存在であり、さすがにインド洋派遣時にはもっと真剣に見張りをしていたと思いたいところですが、日本沿岸海域と言えども警戒を怠ってよいはずがありません。
いやそれどころか、あたごは横須賀を目指しており、横須賀は米空母や第7艦隊の旗艦の母港でもあり、いつイスラム過激派のテロ攻撃を受けても不思議ではない場所であり、横須賀を目指したり横須賀を出発した日米の艦艇は狙われているという自覚が海幕にはなかったとすればゆゆしい問題です。
その上、極めて多数の艦船が行き交う海域でもあり、自動操艦していただの、清徳丸に気がつかなかっただの、あたごの当直士官以下は気でも狂ったのかと言いたくなります。
このような観点から、防衛省や海幕は批判されるべきであり、防衛省や海幕は、海自の艦艇の警戒要領や交戦規則(ROE)の整備に努めるべきでしょう。
これは、刑事責任の追及や連絡の遅れの追及よりも優先されてしかるべきです。
<友人TK>
アメリカが古い衛星を地上から打ち落としたらしいですが、安全面は大丈夫なのでしょうかね?心配です。
<太田>
20日、米国は太平洋上のイージス艦からSM3ミサイルを発射して、老朽化した米偵察衛星を破壊しました。
これはこの衛星が積んだ1000ガロンの有毒燃料が人口密集地に落ちることを防ぐというのが名目ですが、実質、昨年1月に中共が行ったことに対抗して敢行した疑いが濃厚です。
中共の上記行為は事前に公表することなく行われ、しかも、破壊された衛星の残骸が地球に近接した宇宙空間に散乱して宇宙船や他の衛星に危険を及ぼすと非難されましたのに対し、今回は事前公表がなされ、また、(偵察衛星の軌道が大気圏に近いためか)残骸散乱の危険は少ないというふれこみですが、宇宙の軍事化が着々と進んでいる感は否めません。
米国は対衛星/弾道弾撃墜能力のあるSM3システムを18隻のイージス艦に搭載することにしていますが、米国以外では日本だけにこのシステムを提供しており、日本のイージス艦のうちの4隻に逐次このシステムが搭載されつつあります。
今回事故を起こしたあたごは5隻目の最新鋭のイージス艦ですが、あたごに将来SM3システムが搭載されるかどうかはともかく、日本も中共、米国と並んで衛星撃墜能力も保持することになり、この軍事的意義は極めて大きいものがあります。(SM3システムのソフトを手直しする必要がありますが・・。)
(以上、事実関係は
http://www.latimes.com/news/opinion/la-oe-macdonald21feb21,0,5500762,print.story(2月21日アクセス)による。)
<コバ>
コラム#2313「日本の若者達の劣化」を読みました。
これだけ長年に渡って、政治や行政の腐敗や退行を見せつけられているのに(氷山の一角に過ぎないだろうに!)、多くの批評家たちは自民党を支持し、自民党の延命のために民主党の政権担当能力(官僚機構の意向に追従する能力?)の無さを攻撃する人たちばかりです。
こんな状況下で、若者が何かに夢や意欲を持って生きることができるものでしょうか。自民党の総裁が自民党をぶっ壊す!なんて主張しておいて、衆院で圧倒的な議席を得て、結局は自民党が壊れることなどついぞなく、今日もまた政治や行政の腐敗をテレビや新聞で眺めなくてはならないのですから・・。
連歌にもならない雑文しか書けない自分のアホさ加減にも、愚者の楽園の住人として誇らしいかぎりです。
<ちんみ>
コラム#2313にて、太田さんが仰る、<日本が半世紀にもわたって米国の属国であり続けた結果、日本人がついに家畜化・・思考能力が低下・・し始めたことの現れなのです>・・
これは、今の若者を指導すべき立場にある親や大人にこそ問題があり、見本となるべき親や大人の生き様が既に劣化済みであり、責任回避に躍起となる(責任をとらない)、自分では尻拭いする覚悟なんぞ皆無の完全家畜化してしまった。
そんな“様”をこれでもか~とばかりに見せつけられている結果が、若者達の劣化と称される所以であり、品性なんぞあさっての世界の、儲けてなんぼの吉田ドクトリンの遅行性猛毒に害された結果ではないでしょうか。
宗主国・米国からの命により、戦後日本は それまで伝統ある「大麻」(ヘンプ)を一方的に禁止され、今ではその大麻は≪立派な麻薬≫と出世??して、現在に至っています。(酒・タバコより害がないのに・・)
神社や相撲の横綱のしめ縄から、衣類、薬、食物、建材、燃料、プラスチック…他。
このヘンプ、自動車の燃料として戦前には米国内で実証済み・・。←そりゃ~、石油メジャーに睨まれますよネ。
ヘンプは、農薬や化学肥料を必要とせず、繁殖力も旺盛で直ぐ成長する、地球がくれた最大の贈り物と呼ばれていますが・・。(バイオ燃料??ヘンプがあるっしょ!)
北海道では、そこら中で勝手に自生しています。 麻薬のレッテル(強力な)を貼られていますが、道東・北見では、農薬で痛めつけられた土壌改良用にひっそりと試験栽培中でもあります。(成果をあげている)
ヘンプをどうしても抹殺させたいヒトたちがいるようです。
↓前出、武田邦彦教授も ~大麻 犯罪の創造者は誰か?
http://takedanet.com/2007/04/post_f17a.html
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太田述正コラム#2380(2008.2.22)
<衝突事故でのフジテレビ録画取材>
→明日昼まで非公開
皆さんとディスカッション(続x70)
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