太田述正コラム#2403(2008.3.5)
<過去・現在・未来(続x5)>
1 欧州人の人種差別意識
読者の遠江人さんが、スウェーデン人の黄色人種差別意識を赤裸々に描いたブログ
http://reekan-j.hp.infoseek.co.jp/swetoho7b.html
http://reekan-j.hp.infoseek.co.jp/swetoho5.html
http://reekan-j.hp.infoseek.co.jp/swetoho12.html
を紹介し、「久しぶりに読む機会があったのでよかったらどうぞ。ヨーロッパの白人にとってこの程度の人種差別意識は普通に持ち合わせていることなのでしょうね。」と言っておられます。
しかし、このブログに出てくるエピソードは、スウェーデンの特殊性に照らして理解されるべきだと思います。
私は(英国には1年間住んだけれど)、欧州には(小学校時代の1ヶ月のザルツブルグ滞在を除けば)住んだ経験がないのですが、私の認識では、欧州諸国の中でもバルト三国、フィンランド、東欧諸国中のロシア接壌国は、基本的にすべて日露戦争の勝者日本に敬意を抱いています。
同様、私の認識では、(英国はともかくとして、)ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアは、かつて列強として日本と競った記憶から、日本を対等視しています。
スペインだって、米西戦争で米国にわだかまりを持っており、米国と真正面から戦った日本に悪い感情は抱いていないように思います。
これに対し、スウェーデンはこれらのいずれの範疇にも属さない国なのです。
2 アブラハム系宗教の好戦性
コラム#2402「アブラハム系宗教の好戦性」(未公開)で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に内在する青年達を生け贄(犠牲)として神に捧げるというエートスが、戦争やテロをを育んできた、という説をご紹介したところです。
しかし、何と言っても、イスラム教社会こそ、現在一番このエートスが生きている社会でしょう。
アルカーイダ、レバノンのヒズボラ、ガザのハマスらを、このような意味におけるイスラム教社会における前衛ととらえることができそうです。
例えばハマスは、いかなる条件下においてもイスラエル国家との共存を拒否し、イスラエル国家打倒を目指して、ガザの青年達を戦争やテロに駆り立て続けるでしょうし、ガザの青年達もまた、喜々として殉教・・戦争やテロ・・に身を捧げ続けることでしょう。
つい最近まで、パレスティナ人に領土を割譲することで和平が実現できると信じていたけれど、ついにそれが不可能だと悟ったイスラエルのリベラル派の心情が
http://www.latimes.com/news/opinion/la-op-halevi2mar02,0,7450703,print.story 。3月3日アクセス
に描かれています。
3 オバマ候補の足踏み(速報)
オハイオ、テキサスという大票田でクリントン候補にオバマ候補が敗れ、米民主党の予備選の決着は持ち越されることになりました。なお、バーモントではオバマが、ロードアイランドではクリントンが勝利しました。
ただし、テキサスでは、代議員の3分の2が投票で決まるのですが、この投票ではクリントンは勝利したものの、代議員の3分の1が決まる党員集会が投票が終わってから開催されており、こちらは、党員集会に強いオバマが勝利するのではないかと予想されています。
投票結果では、98%の開票でオバマ48%、クリントン51%ですが、党員集会では36%の進行でオバマ52%、クリントン48%であり、全般的にクリントン有利な形でデッドヒートが続いていると言ったところです。
オハイオでのクリントンの勝利は、出口調査によれば、オハイオでもテキサスでも経済問題が一番の関心事であったところ、テキサスでは48%がそう答えたのに対し、景気低迷に悩むオハイオでは61%がそう答えたことに尽きています。
テキサスはクリントンの強固な支持母体であるヒスパニック系人口が多いところから、もともとクリントン有利と目されていた州であり、むしろオバマが健闘したと言うべきかもしれません。
今後の予備選の日程ですが、土曜日にはワイオミングで、そして火曜日にはミシシッピで行われます。クリントン陣営自身、このどちらの州でも人口構成から言ってオバマが勝利すると予想しており、決戦は4月22日に行われる最後の大票田のペンシルバニアでの予備選です。
これまでクリントンはニューヨーク、カリフォルニア、ニュージャージー、そしてオハイオとテキサス(?)と大きな州で勝利しており、オバマの勝利の多くは小さい州であるという違いが見られます。
ちなみに、共和党の方は、マケイン候補がオハイオ、テキサス、バーモント、ロードアイランドのすべてを制し、代議員の過半数1191人を超え、候補者の座を確定しました。
(数字は、CNNのサイトの1850現在。基本的には、
http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/05/hillaryclinton.barackobama1
(3月5日アクセス)による。)
4 日テレ「太田総理・・」への連続出演
2月14日と21日、2週連続して日本テレビのお馴染みの「太田総理・・」に出演することになりました。
お時間が許せばぜひご覧下さい。
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太田述正コラム#2404(2008.3.5)
<「太田総理・・」2008年第2回出演)>
→非公開
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