太田述正コラム#13300(2023.2.12)
<大谷栄一『日蓮主義とはなんだったのか』を読む(その19)>(2023.5.10公開)
[大日蓮主義とアジア主義]
一 慶應義塾設立
「慶應義塾大学は、中津藩士の福澤諭吉が藩命により江戸築地鉄砲洲(現在の東京都中央区明石町)の中津藩中屋敷内に、1858年(安政5年)開校した「蘭学塾」を起源に持つ大学である。・・・
1879年(明治12年)3月<、>官立大学化を望まず、島津氏らの旧大名に維持資金の援助を賜る。
⇒中津藩士転じて幕臣となった福澤は、薩摩藩が幕府に送った諜報員であったという私見、及び、中津藩は事実上の薩摩藩の支藩となっていたこと(コラム#省略)、を想起すれば、慶應義塾は、薩摩藩が作ったところの、秀吉流日蓮主義/島津斉彬コンセンサスを普及させるための高等教育研究機関、だったと言ってよかろう。(太田)
1880年(明治13年)・・・2月<、>興亜会へ参画。・・・
⇒だから、慶應義塾が興亜会(下出)設立にかかわったのは当然だ。(太田)
慶應義塾では・・・1863年<の>・・・芝・・・新銭座(現在の東京都港区浜松町)・・・時代から心身共に健康を保つ手段として学生の体育を奨励し、1892年(明治25年)<には>體育會(体育会)を創設<し、>専門家を雇って指導にあたらせた。初めは乗馬が主であり、1878年(明治11年)から剣術稽古が始まり、1894年(明治27年)には神道無念流の根岸信五郎を師範に招いた。のち柔術、端艇、陸海軍操練、弓術、徒歩の各部が加わった。・・・
なお、「義塾」とは英語の「パブリックスクール(public school、共立学校)の訳語とされる。・・・
1896年(明治29年)徴兵令適用により学校に兵式訓練が課せられるに至るが、これより先に慶應義塾では兵式操練が行われており、1892年(明治25年)12月、大日本帝国陸軍(旧陸軍)から銃剣その他兵器の払い下げに特別の便宜を与えられ、1897年(明治30年)には「慶應義塾生徒隊」を結成し、1898年(明治31年)春に東京府下で初めて発火演習を行った。なお、1898年には陸軍の軍旗(旭日旗)を製作している高級軍装品店より特別の許可をもってこれを購入。旭日旗自体はそのままに、竿頭は塾章であるペンマーク(軍旗では菊花紋章)に、房を浅葱色(常備歩兵連隊の軍旗では紫色)に変え、さらに福澤諭吉によって「慶應義塾生徒隊」の文字が書かれ(軍旗では連隊の隊号を記入)、翌1899年3月15日に福澤別邸において隊旗授与式が行われている。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B6%E6%87%89%E7%BE%A9%E5%A1%BE%E5%A4%A7%E5%AD%A6 前掲
⇒福澤は、イギリスのパブリックスクールの何たるかを理解しており、少なくとも彼の存命中には、集団スポーツを含む体育、及び、教練、を義塾での教育に組み込んでいたところ、義塾における教育は、(維新後の武士身分の消失を前提として、)秀吉流日蓮主義を抱懐する武士的な人々を日本において維持・養成することを目的とするものであった、と言えるのではなかろうか。(太田)
二 興亜会設立
「1874年(明治7年)の台湾出兵の際の天津条約交渉に参加した大久保利通<が>、李鴻章から<の申し出を受け、>「日本、支那、朝鮮等東洋の団結」を目的として相互に語学校を開設することを約束し<、>これに随行していた支那通の曽根俊虎<に指示して>・・・1878年(明治11年)<に>・・・興<させた>・・・「振亜社」」を前身として「1880年(明治13年)<には>「興亜会」が発足<し、その興亜会が>・・・1883年(明治16年)<には> 「亜細亜協会」に改名<する>。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%88%E4%BA%9C%E4%BC%9A
⇒興亜会の幹事6名中の一人は曽根俊虎であり、顧問6名中の一人は福澤諭吉であって、大久保利通が1878年に暗殺されなかったならば、大久保が振亜社や興亜会の会長に就任していたことだろう。
この興亜会が、日本最初のアジア主義団体とされており、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E4%B8%BB%E7%BE%A9
まさに、アジア主義は、秀吉流日蓮主義/島津斉彬コンセンサス信奉者達によって唱導されたことになる。(太田)
三 玄洋社設立
日本で二番目に設立されたアジア主義団体である玄洋社は、やはり、事実上の薩摩藩の支藩となっていた福岡藩(黒田藩)(コラム#省略)の旧藩士達・・つまるところ、やはり、秀吉流日蓮主義/島津斉彬コンセンサス信奉者達・・が中心的な設立メンバーだった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E6%B4%8B%E7%A4%BE
(続く)