太田述正コラム#2422(2008.3.14)
<日本文化チャンネル桜収録記>(2008.3.16公開)
1 始めに
このところ、コラム執筆以外で忙しく、本日も寝不足のまま、渋谷にある日本文化チャンネル桜に赴き、同社のスタジオで明日2100から放送される討論番組の収録に臨みました。
1400から1800まで、間に2回の休憩を挟んで収録が行われたのですが、最後のあたりで、寝不足が目に来て、しょぼついてしまい、何度もコップの水でハンカチをしめらせては目を拭い、かろうじて最後まで議論を続けることができました。
討論参加者は、日本文化チャンネル桜社長・水島総、日本財団・山田吉彦、岡崎研究所理事・佐藤守、拓殖大学海外事情研究所教授・荒木和博、岡崎研究所副理事長・川村純彦、杏林大学客員教授・田久保忠衛、法学博士・平間洋一、帝京大学短期大学人間文化学科准教授・潮匡人(コラム#2414)各氏と私です。
このうち、佐藤守(空)、川村純彦(海)、平間洋一(海)、潮匡人(空)の各氏は元自衛官です。(括弧内は自衛官当時の区分。元陸上自衛官がいない!)
また、荒木和博氏は予備自衛官(2等陸曹)だそうで、何と自衛官の制服を着用して収録に臨んでおられました。
予想した通り、水島(私を呼んでくれた人です)、平間(かつて私が防大総務部長をしていた時の同校図書館長。歴史学者。コラム#1651参照)両氏はともかくとして、残りの全員と私が対立するという進行になりました。
途中で潮氏が、昨日の日テレの番組で太田さんとご一緒したと発言したとき、うっかり今日ですよとアホなことを言ってしまいました。まだ、私はテレビずれしてないってことですが・・。
2 議論のあらまし
何せ、実質3時間にも及ぶ議論なので、とても簡単に要約はできないのですが、私と他の各氏との主要対立軸は以下のとおりです。
・現在日本に対する直接的な軍事的脅威は(核の脅威を除き)ないv.ある
・「ソ連の脅威」はなかったv.あった
・日本の領域防衛の話などするなv.とんでもない
・自衛隊は法理論上も実態も軍隊ではないv.自衛隊は少なくとも実態は軍隊だ
・日本のジャーナリズムを批判しているヒマがあったら利用することを考えよv.日本のジャーナリズムは反自衛隊でけしからん
・防衛省キャリアや陸海空自衛隊をかばうなv.かばうべきだ
・自民党を擁護するなv.自民党は民主党よりはるかにマシだ
・法理論上も実態も日本は米国の属国だv.日本は少なくとも実態は独立国だ
・世界や日本周辺の軍事情勢についての議論をしても日本の現状では無意味だv.いや議論すべきだ
・日本は全く変わっていないv.日本は次第にまともになってきている
最後あたりで、私が、「皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわけだが、何も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ」、と発言したところ、皆さんシュンとされていました。
とはいえ、全部終わった時点で、皆さんが異口同音に、本日は面白かったとおっしゃったのでよかったと思います。
本日は、言いたいことの6~7割は言えたと思います。
スカパー視聴可能の方は、絶対にお奨めですよ。
それにしても、上記対立軸に関しては、私は「左」の人々とはおおむね意見を同じくし、結論だけが正反対になるのに対し、本日のように「右」の人々とは結論だけが一致する、というのが何とも悩ましいですね。
私と同じスタンスの人、名乗り出て下さい!
日本文化チャンネル桜収録記
- 公開日:
楽しみです。ただ、佐藤・川村の両氏もさることながら、直接、岡崎久彦氏と議論していただきたかったです。
ソ連の脅威、現代日本をめぐる軍事的脅威の観点もそう、ジャーナリズムは反自衛隊でけしからん、自衛隊は軍隊だ、日本は独立国だ、そういいながら、日本の論客たちが朝日新聞と産経の間を右往左往している間は、日本の独立もアングロサクソン化・同盟も永遠に実現しないということですね。
ObamacanのSusan Eisenhower支持の在米読者より。
チャンネル桜の視聴者です。
>皆さんは私よりずっと前から言挙げをしてこられたわけだが、何も変わってないじゃないですか。方法が間違っていたのですよ
この発言の後の空気が非常に面白かった。心の底では思っていることを第三者に言われてしまったという感じがしました。
同じ思想同士が集まっての議論は所詮自慰行為です。最近の桜はそんな感じがしていました。最終目的「日本よ、独立国となれ!」は同じですので、是非ともまた桜に出演して頂ければと思います。
【質問です】
万が一日本が巻き込まれる戦争の危険性という観点から、自国の軍事予算縮小にヒステリックに反対する人は、軍拡競争をして戦争に巻き込まれる危険性を考えていないのが不思議です。太田先生に伺うのもおかしいのかもしれないのですが、何故なんでしょうか。
ちょっとアカっぽいですが軍事は再生産のきかない奢侈品、もしくは掛け捨ての保険で、できれば必要最小限にとどめてもらいたいと思うので、「見せ金」にしては、防衛費は高すぎると思います。
太田さんの言ってる事は正論な気がします。
けど、二点。メディアに出る際に注意してほしいです
■怯えたような態度で喋らない事(自信もって話すだけで説得力が増す)
■(特にバラエティーでは)馬鹿にした態度を取らない。(そう見えてしまう)
オバマみたいにスピーチのトレーニングを受けられたらいいかと。太田さんが国政に関わる事を確信しています。
YOUTUBEで観ました。見た目は他の評論家よりも弱そうだけど、どんなに批判されても確信的に自分のスタンスで力強く述べているのが素敵だと思いました。
例えばあの回で尖閣諸島での中国との衝突などの話でも。
専門家じゃなくてもある程度教養のある人が放送を観てたら、誰の意見が頷けるか分かりますねぇ
> 私は「左」の人々とはおおむね意見を同じくし、
> 結論だけが正反対になるのに対し、本日のように
> 「右」の人々とは結論だけが一致する
変な言い方になりますが、正しい左翼思想なんだと思います。本来、左も右も結論は同じでその手法が違うものですが、何故か日本では左は反日、右は憂国みたいになってます。太田さん頑張って下さい。桜にも一杯出て下さい(笑)