太田述正コラム#2449(2008.3.27)
<皆さんとディスカッション(続x96)>
<大阪の川にゃ>
 –台湾の核武装をアメリカが承認か?–
台湾に核の起爆部品を「誤配達」、米国防総省が大失態
(2008年3月26日10時39分 読売新聞)
 米国防総省は25日、米国が2006年秋、台湾に大陸間弾道ミサイルの核弾頭を起爆させるための部品を「誤って引き渡していたことが判明した」と発表した。米国防総省によると、台湾に送られたのは、弾道ミサイル「ミニットマン」(射程1万キロ・メートル以上)の弾頭に取り付ける電気式信管4個。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080326-OYT1T00219.htm
 これは以下のような、数年前から噂されていたところの、北朝鮮核開発牽制のための米国による中国に対する台湾核武装カードなのでしょうか。
「北核阻止できなければ米も台湾核阻止できず」
チョソン・ドットコム(朝鮮日報 2004/04/22)
 趙甲済(チョ・ガプジェ)月間朝鮮編集長は22日、「米国の消息筋によれば、チェイニー米副大統領は最近中国を訪問し、『中国が北朝鮮の核武装を阻止で きなければ、米国も台湾と日本の核武装を阻止できない』というブッシュ大統領のメッセージを党政の首脳部に伝達した」と主張した。
http://www.chosunonline.com/article/20040422000027
<太田>
 米空軍による単なるミスです!(
http://www.ft.com/cms/s/0/f7f252a6-faa2-11dc-aa46-000077b07658.html
。3月26日アクセス)。
 それがいかなるひどいミスの連続であったかが、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/03/26/AR2008032600666.html
(3月27日アクセス)に詳述されています。
 通常爆弾だと思って米空軍のB-52が核爆弾を搭載して米本土上を飛行したというミスが昨年起こりました。
 今回のミスは2006年に発生し、今年、台湾当局からの強い注意喚起があるまで米側が気付かなかったものですが、こんなミスが続くということは、いかに米軍が核兵器を無造作に扱っているかを示して余りあるものがあります。
 (事実関係は、上記FT、ワシントンポスト記事による。)
<○○>
 『赤頭巾ちゃん気をつけて』、名前は知っていたのですが、そういう内容が含まれているとは思っていませんでした(コラム#2415)。ぜひ読んでみたいと思います。
 筑駒が教育をしていないという点については、筑駒卒の(珍しく)優秀な同期の知り合いが、高校では何も教えてくれなかった、と日記で述懐していたのを思い出しました。
 あまり受験教育を行うのは、本人の将来を底上げはしても、上限を潰すものなのではないか、というのが私の個人的な感想です。
<太田>
 受験教育についてのご所見は、言い得て妙ですね。
<finprodrifting>
 コラム#2351「オバマ大頭領誕生へ?(続x4)」を読みました。
 私も基本的にオバマ有利と見ています。ただし、民主党内での候補者争いがあまりにも長引けば長引くほど、クリントンのオバマに対するnegative campaign を有権者は耳にすることになるので、本選挙では共和党に負けてしまうのではと危惧しています。
 また、クリントンの場合、ブッシュよりはましな政治をするかとは思いますが、選挙運動の中でも、ネガティブキャンペーンを恥じらいもなく繰り広げ、平気でうそをついたりするところを見ると、ベネズエラをはじめ反米的な国家のリーダーからは信頼を得ることはできないと思います。
 経験は未知数とは言われますが、リーダーに求められるのって、実務能力や細かいノウハウじゃなくて、最終的には人間としての高潔さではないかと思います。
 その点でも、オバマが当選しないと、今後、4or8年、極めて不安定な世界情勢になるのではと危惧しています。
<コバ>
米国の世論調査でマケイン候補が民主党候補よりも優勢になっているようです(
http://www.ntv.co.jp/news/105626.html
)。
 しかし、今やオバマがヒラリーの圧倒的優位を覆しているからあまり当てには出来なそうです。
 マケインはブッシュと比較するとどうなのでしょう。そして、オバマやヒラリーのほうがマケインよりもマシなのでしょうか。
 泥沼の中東、世界を安定化させることの出来る大統領を米国人が選ぶことが切に望まれます。
<太田>
 引用された世論調査については、昨日も本日も、ガーディアン、FT、NYタイムス、ワシントンポストの電子版に、私が気がついた範囲では一切言及されていませんでした。
 ということは、論ずる価値はないということでしょう。
 それはさておき、マケインについてのご質問もこれあり、近々コラム(非公開)でマケインのことを書くことにしました。
 ポイントは、共和党がメタメタであること、当選すればこれまでで最高齢で米大統領に就任すること、にもかかわらず、3人のうちマケインだけがロースクール出身でなく海軍兵学校出身であり戦争経験がありしかも長期にわたる捕虜経験があること、マケインは共和党左派であること、等から、オバマ、クリントンのどちらの民主党候補ともいい勝負になりうること、です。
<兵頭二十八>(http://sorceress.raindrop.jp/blog/より転載)
 チャンネル桜の先々週の日本の防衛をめぐる討論会、じつはわたしにも声がかかっていたのであるが、2月冒頭の強度のギックリ腰の後遺症で、安い椅子に長時間腰掛けていると苦痛であったので、参加をお断りした。<中略>
 で、じつはわたしは、代わりとして、太田述正氏と「エンリケ航海王子」氏を参加させるべきですぜと、秘書の方を通じ、水島さんに熱烈に推挙申し上げたのである。近代国家の「政-軍関係」について、この2人以上にマトモな発言をしてきた人は、日本には居やしないんだから。わたしへの出演依頼の電子メールには予定メンバー表がついていた。その全員を集めても、この2人の面白さには敵うまいとわたしは即断した(一面識もない田久保さま、おゆるしください)。
 太田氏については、わたしからの意見具申以外にも、視聴者のリクエストがすでにあったらしく、サクッと列席が実現したようなので、慶賀の至りだ。ささやかなカンパの代わりにもなれかしと祈る。(たしか出演料は、ソロバン玉の上の1コ? でも無編集・無検閲で語り抜ける番組はここしかない筈。)
 案の定というか、プロボカティブな展開となったようで、これまた大慶と存ずる。何年も太田氏のメルマガのバックナンバーを読んできたわたしとしては、番組のビデオを見なくとも、太田氏がよいことを存分にブチカマシたと分かっている。
 太田氏は「山田洋行」プロットがムチャクチャになる前に防衛庁のインサイダーではなくなっている。しかし太田氏を非難する陣営の方々はどうなのかな?  知っていて黙っていた人がいるんじゃないですか? 真に勇気のある人はどっちで、偽愛国者やヘタレ言論人は誰なのか、追々、世間にも知られて行くだろう。
<太田>
 なるほど、そうだったの。
 ところで、「エンリケ航海王子」とは何者か?
http://sorceress.raindrop.jp/blog/2008/02/
にその手がかりがあります。
<某某某>
 コラム#2414「「太田総理・・」ダブル収録記」を読みました。
 太田さんが出た、3月14日の「太田総理・・」の番組を見ていて、気になったことがひとつありました。
 「脅威なんて実はなかったから、予算を半分にしても防衛は出来る」との話です。
 これは筋が通るんでしょうか?私にはそうは思えませんでした。
 というのも、過去は過去、今は今、未来は未来であって、過去の体験値を大事にするのはもちろんですが、「過去大丈夫だったから、今後もだいじょうぶ」とは言えないと思うのです。
<太田>
 私が言っているのは、自衛隊に対して具体的な任務を与え、それに必要な予算をつけよ、ということに尽きます。
 日本の領域(国土)防衛という任務だけでは、これまで自衛隊の保持してきた機能や自衛隊の規模、ひいては防衛費の規模の説明は不可能です。
 説明が不可能である限り、自衛隊に対して具体的な任務を与えたことにはなりません。
 そして、具体的任務を与えなければ、自衛隊の退廃、腐敗、そして不祥事や事故の頻発が続くことは避けられません。
 将来、領域防衛任務の重要性が増す可能性が強いと思うので、それに備えるべきだとおっしゃるのであれば、整備すべきは自衛隊というより、自衛隊をとりまく国内環境・・防衛基盤・・の方でしょう。脅威の増大が現実化してきたら、防衛産業を拡大したり、自衛隊を拡大したりするための基盤の整備です。
 しかし、現時点でより行うべきことは、現状で与えうる任務相応に自衛隊の規模、ひいては防衛費の規模を大幅に圧縮するか、集団的自衛権を行使できるようにして、自衛隊の海外派遣任務を質量共に増やすことによって、現在程度の防衛費や自衛隊の規模を維持しつつ、トータルとしての自衛隊に具体的な任務を与えることだと私は考えます。
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 3月31日(月)1930開演の週間金曜日主催のトークライブに出演します。
 場所は阿佐ヶ谷ロフトA(
http://www.loft-prj.co.jp/lofta/
)です。
 概要は以下の通り。
創刊15周年『週刊金曜日』PRESENTS vol.3 in ASAGAYA/LOFT A
「三菱重工の正体と自衛隊の本質」
「希望は戦争」が最もあてはまるのは、フリーターではなく、巨大軍事産業だ。明治時代から「戦争」とともに歩み続ける政商「三菱重工業」の正体に迫る。
半田滋(『東京新聞』編集委員)
田中みのる(ジャーナリスト)
鎌田慧(ルポライター)
太田述正(評論家)
佐高信(評論家、『週刊金曜日』発行人)
北村肇(『週刊金曜日』編集長)
【司会】伊田浩之(『週刊金曜日』編集部)
18:30 開場
当日券のみ:¥1,500+最低1ドリンク
 出演者のうち、佐高信、鎌田慧ご両名とは初対面です。
 それにしても、何ともおどろおどろしい能書きですね。
 チャンネル桜に出演した時とは正反対のシチュエーションですが、果たして私なんぞが出演させていただいてよろしいのでしょうかね?
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太田述正コラム#2450(2008.3.27)
<マケイン?!(その1)>
→非公開