太田述正コラム#2470(2008.4.6)
<皆さんとディスカッション(続x104)>
<コバ>
文科省の元部長が収賄容疑で逮捕されました(携帯サイトですが、
http://i21.4cast.co.jp/news/html/106621.jhtml?uid=NULLGWDOCOMO&sid=MYNI
)が、防衛施設庁事件のように、施設整備事業をめぐった不正は発覚しやすいというだけのことでしょうか。
元部長はキャリア技官で、文教施設整備事業を担当していたようです。
今回の事件はあまり関係がないかもしれませんが、文科省と業者(関連団体も数え切れなそう・・)との天下り、談合といった本丸の癒着構造関係を解明するのは政権交代が実現しても難しいものでしょうか。
<太田>
収賄のような個人犯罪は、どのような時代、どのような体制下でも起こりうるし、根絶することは不可能です。
しかし、官僚の天下りとか選挙に係る政治家への(選挙法や政治資金規正法違反にはあたらない)不当な便宜供与といった、取り締まることが困難な構造的退廃・腐敗については、政権交代によって解消させることは可能です。
少なくとも、政権交代が、解消させるための必要条件であることは間違いありません。
<ケンスケ2>
コラム#2388「米キリスト教原理主義退潮へ?(その1)」を読みました。
ナイシェリア国籍の黒人米兵が、タクシー運転手を殺しましたね。横須賀で。
これが現在のアメリカです。
今アメリカを最前線で守っているのは、昨日今日アメリカに渡ってきた人々です。
この国の意志統一を生み出すには、どうすれば良いんでしょうか。
何らかの属性によって多数派を形成し、これに依拠して統治するしか方法がないようです。
それがとりあえずこれまでは、キリスト教原理主義であったようです。
そしてまさにそのことが、イスラム世界の反乱を引き起こした。
反共、そしてキリスト教原理主義の次は、何になるのでしょう。
この国は、共通の的を思い定めることに拠ってしか統治出来ないようですから。
<太田>
どうすればよいかは、理論的には簡単なことです。
米国はアングロサクソンと欧州両文明のキメラであるわけですが、欧州文明的な部分を捨て去り、アングロサクソン文明に回帰すればよい、つまり米国はカナダ化すればよい、ということだと思います。
しかし、実際にはそれは容易なことではありません。
独立戦争以来の米国の歩みの全否定を意味するからです。
<コバ>
–タタ自動車、旧宗主国の名門企業を買収–
タタ自動車がジャガーとランドローバーを買収するそうです(
http://diamond.jp/series/inside/04_05_003/
)。
これはインドの再興の兆しなのでしょうか?
<太田>
ジャガーとランドローバーはこれまで米フォードの子会社であり、イギリスの前期帝国時代の旧植民地たる米国の会社から、後期帝国時代の旧植民地たるインドの会社に所有権が移るというだけのことです。
また、支那とは違って、果たしてインドに「再興」するほどの過去があったかどうかは疑問なしとしません。
いずれにせよ、私が1988年のインド訪問時に目にした車と言えば、まだマルティ(鈴木)とアンバサダーだけという感じだったのに、その後のインドの興隆には、中共にこそ及ぶべくもないけれど、大変なものがあります。
インドでは現在、規制緩和と自由化によって、高度経済成長がもたらされ、中産階級が勃興して車市場も飛躍的に拡大し、それに伴って、海外の会社が雪崩を打ってインド市場に参入してきており、インドの会社も海外にうって出なければ生き残れない、という状況にあります。
このような状況の下、インドの製鉄会社のミタル(Mittal)が買収を繰り返してここ数年で世界最大の製鉄会社になったことは記憶に新しいところです。
そして今度は、インドのタタ自動車(Tata Motors)が、他のインド自動車メーカー1社と競った上、「勝利」をもぎ取りました。
たまたま、米英では金融不況のため、どの投資グループも資金の借り入れが困難になっていて、タタ等を出し抜くことができなかったことが幸いした面があります。
23億米ドル出してジャガーとランドローバーを買収することになったタタ自動車は、インド最古かつ最大のタタ・グループに属しており、先日も、世界一安い20万円車を発表して話題を呼んだ会社です。
(以上、
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/7169681.stm、
http://www.newsobserver.com/business/v-print/story/1017295.html、
http://news.goo.ne.jp/hatake/20080111/kiji841.html
(いずれも4月6日アクセス)による。)
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太田述正コラム#2470(2008.4.6)
<スコットランドと近代民主主義の起源(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x104)
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