太田述正コラム#2497(2008.4.20)
<皆さんとディスカッション(続x117)>
<MS>
≫英米における、欧米以外の歴史家ないし歴史書についての研究水準が低い、というわけではない・・・。それは例えば、支那最初の歴史家と目される司馬遷(Sima Guang・・・)に関するウィキペディアの英語版と日本語版の質と量を比べただけでも分かります≪(コラム#2496「駄作歴史学史書の効用(その2)」(未公開))
司馬遷のwikipediaですが、英語で書いているかと言って欧米人が書いているとは限らないんじゃないでしょうか?
wikiscanner というページでwikipediaのページにどこの組織からアクセスしたかというのが分かりますので、何かわかるかなと思い検索してみると、トロント、香港、シンガポールからの書き込みが多いようです。
中国と日本からの書き込みはありません。
香港やシンガポールにいる欧米人が書いていてもおかしくありませんが、優秀な華僑が中心に書いているのでは?
古代中国の文化を、中国自身より健全な形で消化吸収してきた日本人ががんばらなければならないと思いますが、それ以上に、優秀な人がどんどん逃げ出してしまう(たとえば中華系自然科学ノーベル賞受賞者はたくさんいますが、 全員米国に帰化しています)中国の状況が問題なのではないでしょうか?
<太田>
にゃるほど、米国を除く、アングロサクソン系の地域や国の支那系住民がクサイというわけですね。
まあしかし、アングロサクソン文明は、もともと人種を超越した文明(コラム#379、380、381)ですから、仮にそうだとしても、英米の人々が英語版ウィキペディアの司馬遷について書き込んでいることに変わりはないでしょう。
最後のご指摘はおっしゃる通りであり、今や海外からの優秀なインド系の人々の帰国ラッシュにウハウハのインド(
http://www.guardian.co.uk/world/2008/apr/20/india.globaleconomy
。4月20日アクセス)とエライ違いですね。
今後の中共の経済発展に黄信号が灯っている、と言うべきでしょう。
<コバ>
日本としては(自立を選ぶことは当然として)中国とどういう付き合い方をすればいいのでしょうか? 今のところはやはり静かな外交が妥当?
<太田>
このご質問にコラム#2491でお答えするのをうっかりしました。
チベット問題についての福田首相の中共外相への発言(宗主国米国のブッシュ政権のスタンスと全く同じ)も、善光寺当局の聖火リレー起点返上の際の言明も英米では好意的に受け止められており(
http://www.guardian.co.uk/world/2008/apr/19/tibet.china
。4月19日アクセス)、日本は民間も、そして結果的であれ政府もうまく立ち回っていると思います。
チベット問題を離れて対中外交がどうあるべきか、ですが、属国である日本としては、政府はその時々の米国政府の指示に従う以外に選択肢はないのですから、われわれがそんなことをあげつらっても時間のムダでしょう。
ただし、日本の民間人ができることがあります。
それは、中共当局関係者や中共の知識人に対して、国際社会の尊敬を得るために、高度経済成長を続けることやオリンピックとか万博を主催することより大事なことは、(平和賞を除く)ノーベル賞受賞者たる中共国籍者を一人でも生み出すことであり(コラム#1115)、そのためにも、中共における自由主義の確立が不可欠であることを強調し続けることです。
なお、私ならこれに加えて、日本が明治維新の時から、欧州ではなく英米を模範として文明開化を推進してきたことに触れた上で、中共は欧州由来の共産主義やファシズムを捨て去り、英米由来の自由民主主義を採択すべきであって、その場合、自由主義の採択、徹底から始め、民主主義は時間をかけ、漸進的に定着させ行くという方法もあること、を伝授するでしょうね。
<ちょいまる>
ガソリンの暫定税率がまた上がる公算が高いそうです。しかも、前よりも高くなるのでは?との予測もあります。
あまり報道はされていませんが、ガソリンには既に現在も税金はかかっており、さらにそれに上乗せされていた暫定税率分がなくなっただけなのに、なぜこんなに騒がれて、しかもまた上げられなければいけないのでしょう?
質問をまとめますと以下の通りです。
一、もうかなり道路は整備されていることを考慮し、今のガソリン税だけで未整備の道路建設もなんとかならないんですか?
二、道路族議員はなぜ強い権力を持っているのですか?
もう議論済みかと思いまして、バックナンバー見てみましたが、見つかりませんでした。もし、議論済みでしたら、番号お知らせください。読ませて頂きます。この時期ですのでありきたりな質問かと存じ上げますが、よろしくお願いします。
<太田>
最初のご質問については、地方は、公共事業を引っ張ってきて土建業で経済を活性化するなんてのは愚の骨頂だという認識に立って、大都市圏と同じ土俵で競うことなど考えず(
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMIT1h000017042008
。4月18日アクセス)、主として農林業や水産業、そして観光業で地域興しを図ることとすべきでしょう。
成功のカギは、外国人労働力の導入(
http://www.asahi.com/national/update/0420/TKY200804190221.html
。4月20日アクセス)と外国の観光客の誘致、つまりはヒトの面での日本の開国です。
こう方針を決めれば、地方でどれくらいの高速道路を、何時までに整備するかは自ずから決まってくるはずです。
後の方のご質問に対しては、自民党恒久政権がもたらした政官業の三位一体的癒着構造のせいで、道路族を含むありとあらゆる族議員が跋扈しているから、というお答えでご納得いただけますでしょうか。
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太田述正コラム#2498(2008.4.20)
<先の大戦正戦論から脱する米国?(続々)(その1)>
→非公開(原爆投下をめぐる論争を扱ったコラム)
皆さんとディスカッション(続x117)
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