太田述正コラム#2526(2008.5.4)
<皆さんとディスカッション(続x129)>
<ししのは>
 石破氏「国民の目線で」再検討 自衛隊ゴルフ場
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080430-00000916-san-pol
 こちらの件について太田さんのご意見をお聞きしてみたいです。
1 ゴルフ場が基地内にあることについて
2 自衛官が基地内でゴルフをすることについて
3 OBが基地内でゴルフをすることについて
4 その他特筆事項
 等々よろしくお願いいたします。何もなければスルーしてください。
<太田>
 航空基地(や弾薬庫)には保安用地が国内法上も必要とされており、通常保安用地には芝を植えるので、そこをゴルフ場として使うことは、むしろ用地の有効利用であると言えます。
 それに、自衛官は体力・健康を維持することが強く求められており、ゴルフをやることはその目的にもかなっています。ジョギングだけじゃ長続きしませんよ。
 (硫黄島の航空基地のように、基地外にゴルフ場がない場所だってあります。)
 メンテナンスは自衛官がやるとしても、若干の維持経費を厚生経費から支出したっていいでしょう。
 事情は米軍でも同じです。
 それどころか、大学の構内にゴルフ場があるケースが少なくないお国柄です。
 だから、在日米軍基地でめぼしい所にはゴルフ場があるし、多摩には専用のゴルフ場すらある(確か弾薬庫の上というタテマエだったけど)のです。
 これら自衛隊のゴルフ場は、当然、平日の昼間等はガラガラですから、OBにだって、ある程度カネをとって使わせたっていいし、更に余裕があれば、それ以外の人に開放したっていいでしょう。
<大阪の川にゃ>
 –国民主権が侵害されます–
1、お答えありがとうございました。(コラム#2520・#2522参照)
 「地方参政権が純粋に民生部門だけなら私も賛成です。」という私の意見に対して、「純粋に」などは民生部門でもありえない、安全保障の要素・目的を含んでいる、だから防衛問題についてだけ外国人参政権を除外するのは矛盾する、と太田さんから批判されました。なるほど勉強になりました。
 しかしそうすると、ますます外国人に地方参政権を付与する事には賛成しかねるなあという思いです。領土問題・基地問題はもちろん、民生部門の問題も、安全保障については国民主権(外国に逃げ場のない日本人が決める権利)に基づきたいですから。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E4%B8%BB%E6%A8%A9
2、平成3×年島根県議会議員選挙での某候補者の演説「私は、竹島の日をなくし、独島は日本領土ではないという議会決議に賛成します。東シナ海のEEZ日韓中間線は認めません、大陸棚延長をして全て韓国のものです。在日有権者の方々のために働きます。だから私に投票して下さい。」
 かくのごとく国内では国民主権が侵害されかねず、現在の韓国内では親日派の子孫の財産がどんどん没収される反自由主義(財産権侵害、遡及処罰)が横行中です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E5%B8%9D%E5%BC%B7%E5%8D%A0%E4%B8%8B%E5%8F%8D%E6%B0%91%E6%97%8F%E8%A1%8C%E7%82%BA%E7%9C%9F%E7%9B%B8%E7%B3%BE%E6%98%8E%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%B3%95
 朝鮮日報がんばれ。
<太田>
 地方選挙権を与えることにも一定のメリットはあるわけですから、どこで線を引くかという問題です。オールオアナッシングという発想は、硬直的過ぎると思いますよ。
 いずれにせよ、島根県議会でのご指摘のような決議が成立するか否かは、同県での世論調査で竹島は日本の領土だという意見が多数を占めた、占めなかったというのと同次元の話であり、目くじらを立てるようなことではありません。
 なお、在日朝鮮人への地方選挙権付与を日本政府に求めている(典拠省略)韓国の李明博新大統領は、4月29日、「民族問題研究所と親日人命辞典編纂委員会が「親日派人名辞典」収録者4776人のリストを公開した事実について、・・・「親日問題は、本人の功績と過ちをバランス感覚を持って見つめるべきだ」と批判的に言及した上で、13の歴史関連委員会の整理に向けた関連法の改定を示唆しました(
http://www.chosunonline.com/article/20080430000016
。5月1日アクセス)。また、朝鮮日報は5月1日付社説(
http://www.chosunonline.com/article/20080501000002
。5月1日アクセス)で、親日派追及の行き過ぎを叱っています。
 朝鮮日報は十分がんばってますよ。
<秋の空>
 コラム#2522に関連し、細かいことですが、financial は英米両国〔地域によって〕発音が /ai/ と /i/ 差があります。financeも動詞と名詞ではアクセントに違いがありますし、その違いも地域差・・・というよりは混乱が・・・あるように思いますが?
 私は英国からカナダに移住した人に、Oxford Advanced Learner’s Dictionary of Current English を使いながら英語を習いましたが、その辞書にはfinanceを/ai/と発音するのが英国、米国では/i/と書いてありましたが、実際に米国で生活しての実感とは違います。Webster は両方の発音併記です。
 私自身、simultaneous, route, tomato, eta, theta, zeta, 等々、学生時代、議論の途中、相手に通じなくて苦労したこともありましたが、英米の発音の違いで自分が苦労しているのに気づいたのは随分後のことでした〔笑)。
<偏屈親父>
 北海道新聞の3日の社説
 ・・・イラク派遣訴訟で明らかにされたように自衛隊のイラク派遣は憲法違反だ・・・
 名古屋高裁の判決では(派遣の違憲性〉小泉首相の言った「自衛隊の居るところが非戦闘地域」、これに反するそうだ。
 いわば村の消防団で防火服を着ないで消火したから消防法違反というに等しい。
 「(控訴人の)請求に該当せず」が判決で原告の敗訴。新聞が主張するように、これで憲法違反の判例なのか?
 事情に疎いじっちゃんばっちゃんは新聞に書いてあるから本当だーと思うでしょう。
 救いは「憲法は不磨の大典ではない」と書いてあることだが、記者の言うように国民的議論をするためにも嘘は書いてはならない。
 賛否両論事実を記載し読者の判断を待つのが良識あるマスコミでしょう。
 それとも戦前の某新聞のように世論形成を誘導して、国民に塗炭の苦しみをもう一度あじあわせたいのですか。
 読者を舐めてはいけません。腹立つなーもう。
<太田>
 憲法改正を是とする世論は、このところ毎年後退を続けています(
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080503AT3S3000Z02052008.html  
。5月3日アクセス)。
 日本人は、三分の二による衆議院再議決規定といった手続き的規定を除き、日本国憲法に規範性はない、つまりは日本に成文憲法はない、という認識に一刻も早く切り替えるべきです。
<読者A>
 バイオエタノール擁護&2011年食料危機?の記事
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/foodsecurity/news/08050201.htm
元記事に英文リンク有り
 「この研究によると、米国は2007年、1995年の1億9200万トンよりも1億5700万トン多い3億4900万トンのトウモロコシを生産した。・・・穀物不足と価格上昇の第一の元凶と批判されてきた米国のエタノール産業は、この12年の間に穀物利用を3100万トン増加させた。他方、中国の食肉消費のための家畜飼料用穀物需要は1億9900万トン増加した。」
ということのようですが、実際どんなもんでしょう?
 さらに、
 「中国の成長が余りに速過ぎるから、米国エタノール産業を明日閉めたとしても、2011年までには中国の需要増加が過剰な穀物を飲みつくす。2010(11?)年に穀物在庫がゼロになる」
なんて書いてありますが、もしそうだとしたら、食料防衛を大急ぎですすめなければいけませんね。
<太田>
 中共の人口は早晩減少に転じますし、日本人のカロリー上の肉摂取率の伸びが1985年代後半から止まっていることから見ても、現在日本人に比べて10%ほど低い中共の人々の肉摂取率もやがて日本人の水準に追いついてそこで伸びが止まることを期待できます(
データは、
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0200-1.htm
5月4日アクセス)。
 ですから、問題は米国やEUにおける無謀なエタノール化の推進にあるのであって、引用された記事は、典型的な問題のすりかえってやつです。
 いずれにせよ、よりにもよって、米国のバイオ燃料会社がこんな記事を載せちゃいけません。
 米国の人口は世界の5%に過ぎないけれど、米国では年間100億頭近くの家畜を屠殺しており、これは世界全体の15%以上に相当します。
 家畜の生産は、世界の温暖化ガスの五分の一近くを排出しており、交通による排出量を上回っているのですよ。
 それに、同じカロリーを肉類から摂取すると、直接穀物から摂取する場合より2~5倍の穀物が必要になる勘定であるところ、米国の場合はそれが10倍以上に達しているときているのです。
 (以上、
http://www.nytimes.com/2008/01/27/weekinreview/27bittman.html?pagewanted=print (1月28日アクセス)による。)
 結局、米国は、(地球温暖化防止のためにも、また米国民の健康のためにも)その肉類の過剰な摂取を減らすことが求められているのであり、かつ、肉類の生産を、より環境負荷の小さい形で行うことが求められている、ということです。
 最後に食糧安全保障についてですが、農業生産において日本列島は他地域に比べて比較優位はありません。世界に向けて、以上のようなことについて情報発信を行い、基本的に価格メカニズムが貫徹する形で世界の食糧生産や食糧貿易が行われるようにすべく努力することこそが、日本にとって最上の食糧安全保障政策でしょう。
<コバ>
週刊新潮を読んでいたら、今年は日英外交関係が結ばれて150年になるそうです。それを記念して日本各地で様々なイベントがあるそうで、イベントなどについてブログ記事を寄せてくれるUKーJAPAN2008公認ブロガーが募集されています(
http://www.ukjapan2008.jp/
)。
 お忙しいとは思いますが、太田さん、公認ブロガーはいかがでしょうか?
<太田>
 公認ブロガー募集は見あたらなかったけれど、つい最近交替して日本を去ったばかりのグレアム・フライ前駐日英国大使とは、彼の前回の日本勤務時代(当時参事官)に2度夕食を共にしたことがあります。
 また、駐日英国商業会議所(BCCJ)が運営していたロンドン・クラブに、ロンドンから帰国してから、同会が解散されるまで10年以上入会しており、その間英国大使館で催される会合によく出席していたこと、英国防大学校「卒業生」として同大学校「学生」が毎年日本を訪問するたびに英国大使館で開催されるレセプションに招待されていたこと、この関係で年一回開催される大使主宰レセプションに招待されたことがあること、等英国大使館とは深いご縁があります。
 いずれ、同大使館とのご縁が復活するのではないか、と思っています。
 話は変わりますが、昨日配信された、村上龍氏が編集長を勤めるJMM [Japan Mail Media] のNo.477 Saturday Editionで冷泉彰彦氏が「国の原罪としての人種問題」と題して、コラムでオバマ/ライト問題を取り上げていましたが、やはり、見事なまでに原爆投下問題から目を逸らせていましたね。
 どうしてこういくじがない日本人ばかりなんだろうね。
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太田述正コラム#2527(2008.5.4)
<支那の体制(その2)>
→非公開