太田述正コラム#2548(2008.5.15)
<皆さんとディスカッション(続x139)>
<読者MN>
≫蛇足ながら、日本における「支那」呼称の禁止の経緯とこの呼称の解禁を訴え
る呉智英氏のコラムが産経新聞電子版に載っていました・・・賛成!≪(太田。コラム#2546)
 いつもながらナイスピックアップですありがとうございます。
 典拠なし人伝で聞いた話で恐縮ですが、大航海時代より前、欧州から見た中国は、二つあったのだという話を聞いたことがあります。
 ひとつは、海から見たチーナ(China、シーナ、シナ、支那)。
 ひとつは、陸から見たキャセイ(Cathay、キタイ、契丹)。
※ロシア語には『チーナ』に相当する語は存在しないという
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%91%E4%B8%B9 の脚注2。
 耶律楚材(1190–1244)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%80%B6%E5%BE%8B%E6%A5%9A%E6%9D%90
を輩出した遼(契丹、キタイ)の領土
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:China_Song_Dynasty.jpg
を見るにつけ、まさに現在の歴史問題喧しい中国東北部そのものであります。
 旧満州、餃子粉物がうまいところです。ふるい洋館なんかもたくさんあります。
 司馬遼の『坂の上の雲』でもおなじみですね。
 自分たち(例えば旧遼国土エリア住民、清~中華民国ころ)を『キタイ』とし か呼ばないロシア人が南下してきたとき、彼らや、朝鮮半島の人々は何を思ったのか不思議でなりません。
 (結局は日本が押し戻した格好になったわけですが。)
 耶律楚材、すなわち漢人化した遼王朝の末裔がジンギスカンの軍師として活躍した云々の支那説に対し、西アジアの歴史書ではまったく言及がないといったこと等の類推交え、あらためて所謂白ロシアと中国の相互歴史認識についても興味がわいてきました。
さて、ガイシュツスマソなのですが
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080514-00000926-san-int
 詮無き事でしょうけれども、震災時、陛下にも怒鳴っていただきたかったものです。
<太田>
 キャセイについては、香港を拠点とする英国系航空会社のCathay Pacific Airways でおなじみですね。
 これまで、なぜ私が「支那」、「中共」という言葉を用いているか、何度も(例えば、コラム#179)ご説明しているところですが、先日も、Second Sino-Japanese War という表現に遭遇し(
http://en.wikipedia.org/wiki/Lu_Jiamin
。5月12日アクセス)、日清戦争と日中戦争なんて言っているから、それぞれを第一次、第二次日支戦争ととらえる視点が戦後日本に欠落しているのだな、と反省させられました。
 ところで、スターリンは、「1904 年の日露戦争でのロシア軍隊の敗北は国民の意識に重苦しい思い出をのこした。この敗北はわが国に汚点を印した。わが国民は、日本が粉砕され、汚点が一掃さ れる日がくることを信じ、そして待っていた。40年間、われわれ古い世代のものはこの日を待っていた。そして、ここにその日はおとずれた。きょう、日本は 敗北を認め、無条件降伏文書に署名した。」とラジオで演説しています(
http://www.hoppou.go.jp/library/document/data/19450902.html
。5月15日アクセス)。
 ご存じの方も少なくないと思いますが、彼にとっては先の大戦における対日戦は、まさに第二次日露戦争だったわけです。
 それから、「震災時、陛下にも怒鳴っていただきたかった」に関連してですが、温家宝国務院総理を日本を含む諸外国は首相と受け止めているところ、中国共産党での彼の序列(正確には政治局での序列)はナンバースリーであり、日本で言えば、内閣官房長官相当と考えればよろしい。
 だから、昨年の日本訪問時に国会で演説させたのはおかしいのではないでしょうか。
 いずれにせよ、中共のナンバースリーでしかない国務院総理と日本のナンバーワンである天皇とを同列視しないでくださいね。
 ちなみに、温家宝もこの訪日時に池田大作に会ってたんですね。
 まことに怪しからん。
 (以上、事実関係は、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E5%AE%B6%E5%AE%9D
(5月15日アクセス)による。
<コバ>
 子供のころ、テレビで中国地方の天気は…などというと何で広島とか鳥取あたりの天気に中国なんて言ってるんだろうと不思議に思っていました。中国、と言うことに何の違和感も疑問も持たない自分はチャイナとその弟分日本当局にしっかりと教育されたダメ日本人ですな。
<アミダ>
『南京の真実』は虐殺肯定派、否定派双方に不利な記述があるものの、伝聞による記述が少なくない、と言われています。図書館で借りて読んでみます。「防衛庁再生宣言」も読んでいる途中ですが、頭の悪い気ちがいの自分は読むのがのろいので、まだ三分の二しか行っていません。頑張って読み切りたいと思います。
<太田>
 そうそう、二次史料としては、畏友、秦 郁彦氏(コラム#1679)の『南京事件―「虐殺」の構造』 (中公新書)が必読書だと思います。
 なお、増補版が最近出たようですが、私は増補版は読んでいません。
<タテジマ>
メルマガ全然こないのでどうしたのかと思ったら、片岡鉄哉さん、亡くなられてたんですね。
http://archive.mag2.com/0000110606/index.html
http://tkataoka.com/
もう少し本読みたかったな。
<太田>
 片岡氏とは、20年前に一度お目にかかったことがある、とコラム#594の質疑応答中で述べたことがあります。1982年白書編纂作業中に、有識者のお話を伺う機会があり、当時の白書担当審議官の紹介で防衛庁でお目にかかりました。
 片岡氏は、結構、私のコラム中で登場しています。(コラム#602、1334、1698、2302)
 心からご冥福をお祈りします。
 話は変わりますが、テレビ朝日の5月30日(金)25:20~28:20(AM4:20)、「朝まで生テレビ」に生出演することになりました。テーマは公務員制度改革問題です。
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太田述正コラム#2549(2008.5.15)
<ミヤンマーに人道的介入?(続)(その1)>
→非公開