太田述正コラム#2594(2008.6.7)
<皆さんとディスカッション(続x157)>
<コバ>
レスポンスありがとうございます。
以下ハチャメチャな理解になってると思いますが、愚鈍な英語音痴なりに辞書片手にして読んでみました。オバマは共和党の社会保障政策をか社会主義の亜種?(Social Darwinism)扱いしてるのでしょうか(笑)。共和党は右のはず…。
それはそれとして、private accounts for Social Securityというくだりがいまいちピンとこないのですが、社会保障のための個人口座? 退職金を運用する口座でいいんでしょうか?マケインがSocial Security private accountsを設けようとしているのは検索して目に入って来た限りではわかりましたが…。土地勘のない米国事情はワーキングプアには難しい。
クリントンもクリントンで、決して低所得層優遇を自ら行ったわけでなく(the Fedのなすがままに)、株バブル起こして高所得者に所得を分配したり、EITCで労働者にカネはやっても貧しい人たちへの政府の支援をひどいものにしたりして不平等を増大させた面もあるのですね。
ヒラリー・クリントンは国民皆保険に熱心でしたが、オバマは保険問題はどうするのでしょうか。正副大統領同時就任となれば、差別問題も社会保障問題も米国はクリアするのでしょうか。
日本も早く政権交代しないともう沈没しちゃいます。太田さんの書いたように省庁のタクシー券問題とかチョンボがまだまだ続発しそうな雰囲気で、とことん自民党がぶっ壊れるまでうみが出てくることに期待したいです。
<太田>
本来、英文を翻訳すべきところ、時間の節約のため、余儀なく手抜することがあります。
典拠をつけないよりは良心的だ、くらいに受け止めていただければ幸いです。
Social Darwinism(社会的ダーウィン主義)とは、適者生存なる生物学上の学説を人間社会に拡大適用する考え方です。この主義に立てば、国家が弱者を救済することは、適者生存の貫徹を妨げるのでよろしくない、ということになります。つまり社会的ダーウィン主義は、市場原理主義的な英米流保守主義のことなのです。(典拠省略)
そこで、
associating Republican proposals to establish private accounts for Social Security with Social Darwinism.
は、「<オバマは、>社会保障には個々人が<、例えば保険に入ったりする等によって(太田)、>自分の勘定で対処しなさいとする共和党の諸提案は、社会的ダーウィン主義を思わせるものである<、と主張している。>」とでも訳すべきことになります。
<スワン>
コラム#2593(未公開)を読みました。ダライラマは「欧米で大人気」という記述がありましたが、本当にそうだと思います。
私の親しい、リベラル派のフランス人もそう言っていました。
それにかこつけて質問です。
5月末にダライラマがドイツと英国を訪問したときの報道です。
ドイツでは、ダライラマと会談したのはメルケル首相ではなく、閣僚でした。
http://mainichi.jp/select/world/news/20080520dde007030013000c.html
中共への遠慮があるんでしょうか?
<太田>
はい、その通りです。
<スワン>
ドイツと中共はどういう関係なんですか?
英国では、ブラウン首相がダライラマと会談しました。
これは何を意味しているんですか? 英国は中共に遠慮しないということですか?
http://www.guardian.co.uk/politics/2008/may/23/brown.dalai
(太田さんの愛読紙、ガーディアンを初めて読んでみました)
チャールズ皇太子もダライラマと会談しました。日本だったら天皇陛下とお会いになる感じでしょうが、天皇陛下がダライラマがお会いになることは、ありえなさそうですね。http://www.dalailama.com/news.254.htm
(↑これって、良くない出典ですか?)
去年の話ですが、ブッシュ大統領もダライラマと会って、大統領と議会がダライラマを表彰しています。
ブッシュ大統領がチベット仏教に傾倒するようには見えないのですが、アメリカの意図はどこにあるんでしょうか?
http://www.nytimes.com/2007/10/18/washington/18lama.html
ダライラマは今年8月にフランスに訪問する予定だそうです。フランスの報道に注目したいです。
http://www.lemonde.fr/web/recherche_breve/1,13-0,37-1011139,0.html
サルコジ大統領、ブッシュ大統領は北京オリンピック開会式への参加をボイコットを示唆する発言もしています(典拠省略)。
欧米諸国はチベットに肩入れしているように見えるのですが、その意図はどこにあるんでしょうか?
本当に、人権尊重の精神なんでしょうか。
<太田>
アングロサクソン(米国も一応アングロサクソンです)は、(自由、人権、法の支配を重視する)リベラリズムの文明であるのに対し、欧州は、元来は反リベラリズムの全体主義的文明だからです。
アングロサクソン文明から輸入されたリベラリズムは、まだ欧州諸国には十分根付いていません。
これは、私のアングロサクソン論の核心部分ですが、このことを頭に入れて、本件に限らず、欧米に関するニュースを追ってみてください。
<スワン>
日本の仏教界は、日本の隣国で仏教が弾圧されているのに、見てみぬふりをしているそうです。
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2008/04/19/%e3%80%8c%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ae%e3%83%81%e3%83%99%e3%83%83%e3%83%88%e5%bc%be%e5%9c%a7%e3%82%92%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%a6%96%e7%9b%b8%e3%80%81%e4%bb%8f%e6%95%99%e7%95%8c%e3%81%af%e9%bb%99/
中共に遠慮して何も言えないままでは、<太田さんが夢見ておられるような、>日本の仏教が自由民主主義世界の仏教のリーダーになる日は来ないと思います。まず、近くで起こっている弱いものいじめをやめさせるのが宗教者の仕事だと思うのですが、そんなのは仕事ではないですか?
ところで、私は櫻井よしこさんが好きです。勇気と正義感のあるジャーナリストだと思います。
太田さんは櫻井さんをどう思いますか?
<太田>
1998年に、防衛白書担当の審議官として、白書室チームを率いて、「有識者」のご意見拝聴の一環として、櫻井さんに、ニューオータニ近くの超一等地のビルにある、広々としたご本人の事務所でお目にかかり、お話をうかがったことがあります。
ただし、櫻井さんは私が積極的に選んだ「有識者」ではありませんでした。
もっともこれは、当時既に私は日本の論壇をほとんどフォローしなくなっていたからであり、他意はありません。
要するに、櫻井さんのご所見がいかなるものか、当時も今も私はよく存じ上げない、ということです。
(確か、私が自分で白羽の矢をたててお話をうかがった「有識者」は堤清二さんだったと思いますが、審議官室でうかがった堤さんのお話は印象的だったですよ。ただし、いかなる意味で印象的だったかは控えさせていただきます。)
<スワン>
来月、関西オフ会をされるんですね。
もうちょっと西に移動して、欧州オフ会のご予定はありませんか?ちょっと遠すぎるでしょうか。
海外在住読者は、何人ぐらいいらっしゃるんですか?
<太田>
ホームページを立ち上げた当時のホスティング会社からは、海外サーバーからのアクセスについても分析データが送られてきましたが、現在のブログについては、そこまで分析データは得られないので、分かりません。
なお、欧州たって広い。たまたま私が(地理的意味での)欧州のどこかの国に行く所用ができれば、ついでにその国の首都あたりでオフ会をやったっていいですが、そんな機会が近い将来に訪れるとは、ちょっと考えられませんね。
<まこっちゃん>
どなたか存じませんが、仕事が速いですね。
チャンネル桜の動画がアップされたようです。
<中略>
タグ(検索用のキーワード)の最後に「属国」とあったのには笑えました。
先週の朝生に引き続き深夜まで見てしまいました。
食料、エネルギー争奪戦にからめて「中国は立派な国だ」、という西部さんの発言がありましたが、しばしば皮肉屋と評される太田さんも「うまい。」と思われたんではないでしょうか。
対して、潮さんはどこかで思考が停止したロジックで危機を煽りすぎでは? と思ったしだいです。
ネタバレになるといけませんのでこの辺で。
<お節介婆 = ライサ>
貴方が典拠、典拠と主張するたび、「ああー、この人は官僚だ、自分に自信がないんだ、裏付けが欲しいんだなー」と思います。典拠は必要かもしれませんが、それを自分の意見の補強剤にするのは、役人と変わらないのではないですか。きっとこの文にも貴方はムキになって、自分の主張というか信念というかを、弁解混じりに言うんでしょうね。
<細田>
典拠がある方が好ましいケースもあるが、太田氏の場合は一種の職業病かな。
典拠は一種の保険のようなもので、批判を受けた場合にそれに責任を転嫁できる。
官僚の保身技法が習い性になっていて、ご本人も無意識に当然の事として、他者にも要求してしまうのでしょうね。
<遠江人>
なぜ言論には典拠が付いていなければいけないのか、は過去に太田コラムで何度も分かりやすく説明されてきたことです。
今まで太田さんからの指摘を受けるまで典拠を付ける必要性を知らなかった(私も昔は分かっていませんでした)方はたくさんいたと思いますが、指摘されても理解できない人がいることは驚きですね。
<太田>
私の指摘なるものの典拠(コラム番号)を付けていただきたかったですね。(笑)
英文ウィキペディアを読んでいると、「この部分、典拠がついていない」というウィキペディア「当局」サイドからの警告にしょっちゅう出っくわしますが、日本文ウィキペディアじゃまずないですね。
まことに嘆かわしい日本人の病理です。
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太田述正コラム#2595(2008.6.7)
<中共体制崩壊の始まり?(続x3)(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x157)
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