太田述正コラム#2642(2008.7.1)
<皆さんとディスカッション(続x181)>
<ライアン・コネル>
 ビクトリア朝的禁忌にとらわれている(コラム#2640)と言うよりよくわかりません。
 太田氏も書いているように“日本以外の世界の一流紙のサイトには絶対載らない記事ばかりでもあります。”つまり世界的な基準からすれば非常識な内容であるとするなら、国内向けはともかく、海外向けに対してはその基準に合わせるのが本来の形だと思います。
 故に“問題は毎日新聞に一流紙という自覚があるにも関らず、これらのタブロイド的な記事が配信され、”と書いたのです。
 個人的には民族的な性に対するスタンス問題にしたつもりはなく、日本のマスコミのレベルの低さを指摘したつもりなのですが・・・?
<FUKO>
 ライアン・コネルさんがお示しの「まとめwiki」を熟読したところ、毎日が発信した記事が「ジョーク」として受けとめられていない状況が窺えます。
 それは、太田氏がいつも典拠として利用しておられるwikipedia英語版のソースとして、これらの記事が引用されている事から察することが出来ると思われます。
 実害が出ているとも書いてあります。
>世界のどこにでもある類の記事ばかりですが、日本以外の世界の一流紙のサイトには絶対載らない記事ばかりでもあります。
 日本の一流紙はタブロイド並の信頼性ということですか?
 そして、ライアン・コネルさんと反反日反島人さんが問題にしているのは、日本の高級紙の記事によって、外国人が「日本人女性は異常」であると信じてしまったということであって、高級紙が下品な「ジョーク」を載せている事ではない、と思います。
 論点は「記事を見た外国人の多くがその内容を信じたかどうか」ということになると思いますが、これは「まとめwiki」内とその周辺の情報しかないので、それを信じるか信じないか、となるのではないでしょうか。
 太田氏は、あんなものは典拠にならない、と言われることでしょうが…。
<太田>
 ニューヨークの新聞・雑誌スタンドには、高級紙(誌)とエロ紙(誌)が一緒に売られています。日本の場合は、高級紙(誌)ないしはその提携紙(誌)がエロ紙(誌)を兼ねている場合があるというだけのことであり、同じことが電子版でも言えるはずです。私に文句を言っているヒマがあったら、本件がらみの海外サイトの掲示板にその旨投稿して、「誤解」を解いてもらう努力をして欲しいものです。
 また、その際、男女に限らず、日本人の性衝動は現在世界で最低クラスであることを指摘した上で、その主原因は(縄文モード化による)現代日本人の中性化に求められる(コラム#276)ところ、いつの時代でも、上述のように日本では性の世界が比較的オープンであった(コラム#1513)ことから、日本人の性衝動は他の国に比べて低かった可能性がある、といったことを付け加えるといいと思います。
<読者FY>
 わたしのケインズ云々(コラム#2640)に典拠がないとのご指摘がありましたので、(二次資料になるかもしれませんが)、少しだけ補足します。
 ケインズが二番のためインド省に入省したというのは、『実務家ケインズ―ケインズ経済学形成の背景』(中公新書)という本で読んだ記憶があります。この本は今手元にありませんが、
http://www.papy.co.jp/act/books/1-10757/
などから、その本でそのような記述があったのは確かのようです。
 また手元にある「ヘッジホッグ(日本経済新聞社)」という本の第21章がケインズについてで、そこの389ページに「1908年、彼(ケインズ)は公務員試験を受けたが全国で第二位の成績に終わった。」という記載があります。この章自体は、スキデルスキー(Skidelsky)のケインズ伝を引用しているので、一定の確度はあると思います。
 また、年表
http://www.maynardkeynes.org/keynes-career-timeline.html
では、1906年に試験を受けて、ケインズがその結果に失望したこと、インド省に入ったことは書かれています。
 私としては、ケインズが公務員試験で2番のために大蔵省に行けずにインド省にいったことはよく知られていると思っていたのですが、英語のホームページ等では、そのような記載は見つけづらいです。(ケインズが試験で2番のためインド省に行ったことが事実であったとすると)、現代のイギリス(とアメリカ)は、そのようなことにはあまり興味を示さなくなっているのかも知れません。
 二次資料ばかりで申し訳ありません。信頼できる一次資料がネット上で発見できれば、改めてご報告したいと思います。
<太田>
 どうもありがとうございました。
 ご言及になった
October 1906・・The results of his civil service exams infuriate Keynes. He writes to Strachey:”I have done worst in the only two subjects of which I possessed a solid knowledge – Mathematics and Economics. I scored more marks for English History than for Mathematics – is it credible? For Economics I got a relatively low percentage and was eight or ninth in order of merit – whereas I knew the whole of both papers in a really elaborate way. On the other hand, in Political Science, to which I devoted less than a fortnight in all, I was easily first of everybody. I was also first in Logic and Psychology and in Essay.”
He was later to say: “I evidently knew more about Economics than my examiners.”
に、それまでやたらケインズの試験成績の順位が出てくるのに、ここだけ順位が出てこないのは奇異な感じがしますね。
 ところで、同じサイトに出てくる、ケインズによる政治家一般に対する悪口雑言
September 1911・・After a tour of Ireland with Liberal politicians, Keynes writes to Duncan Grant, “You have not, I suppose, ever mixed with politicians at close quarters. They are awful… their stupidity is inhuman… The rest of them had minds and opinions as deplorable as their characters.”
は実に面白い。
 日本のミーチャンハーチャンの間での政治家の悪口と全く同じですねえ。
<読者SM>
 NONFIXの佐々井秀麗のドキュメンタリー(コラム#2639。非公開)を見ました。
戦う男ですね。かっこいいです。
女性では、横田早紀江さんも、すごいとおもいませんか?
日本の国会議員が束になってかかっても、 この一人の信念を持った忍耐強い母にはかなわない気がします。
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http://blue-jewel-7.cocolog-nifty.com/blog/2005/04/post_5abe.html
「だからもうあの子供達の苦労、苦しみは、これがあの、この(聴き取れず)が絶対、無駄だった、しょうがなかったというような事で終わらないように、こんなに苦労してきた事が、こんなに日本が良くなって、甲斐があったのよ、あなた達の御蔭よって言ってあげられるように、私は絶対頑張りたいと思ってますので、どうかこれからも宜しく御支援下さいますように御願いを致します。」
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080627/kor0806270018000-n1.htm
「私たちは政府に頼るしかない。政府のみなさんには『本当に真人間になってやってください』、首相にも『本気でやってください』と言いたい」
<太田>
 サッチャーさんの英国首相時代に、在京英大使館の館員達に「サッチャーさん、美人だと思わないか」と聞いたら、みんな口を濁しました。
 横田早紀江さんは美人ですよね。
 私は美は力であると思っているんだけど、こんな私っておかしいんでしょうか。
<花子>
 毎日ブログ楽しませていただいております。
 チャーミングなお人柄はそれなりにうけいれらますが、私が抱く唯一の違和感は9条の問題のようにおもいます。私はほぼ京都の会に名を連ねておられる方々と同年配です。
 軍国主義や軍人、戦時下や戦後の混乱の中での一般人の姿を幼いながらも自分の目で見聞きし靖国神社の欺瞞性に犠牲となり、父を失い厳しいその後の人生を生きなければならなかった多くの友達のことを考える時、もはや余りにも時間がたち過ぎたのかなとおもいます。
 歴史はこのようにして忘却のかなたに追いやられ、あの時代を生きた人々の叫びは消されていくのでしょうか。人類は何を学んでいくのでしょうか。
<太田>
 チャーミングなんて言われたこと一度もないんでドギマギしちゃいますが、「唯一の違和感は9条」に関する太田の見解(コラム#2640)であるなんておっしゃると、そんなバカな、とお言葉を返したくなります。
 9条に関する私の見解が中核となって私のすべてのコラムが書かれている、と言っても過言ではないからです。
 国内で警察を廃止しても犯罪がなくならないのと同様、世界中の国家が軍隊を廃止したところで国際紛争や国内紛争がなくなるわけではありません。
 そんな中で日本が自分だけ勝手に軍隊を排止したため、日本は米国の属国となり、日本のガバナンスが失われた結果、その政治や行政がひどいことになっている、というのが私の持論です。
 
<読者UK>
 TVで太田さんを知って以降、メルマガやブログで勉強させてもらっています。
 関東在住なので、さすがに諦めていたのですが、今回太田さんのお話がたっぷりと聞ける貴重な機会になりそうなので、思い切ってオフ会に参加したいと思います。
 まだまだ不勉強で、皆さんのお話を聞いてばかりになってしまうと思いますが、政権交代が成った後、民主党はどのように改革の道筋をつけていくべきか、その過程で何が問題になってくるか、お話が伺えたらと思います。
<太田>
 もちろん大歓迎ですが、今回はパスされ、今年後半の早い時期に必ず東京でもオフ会をやるつもりですので、その時に参加されるのもよろしかろうと思います。
<東南アジア居住者>
 このブログを初めて読んだのは昨年からです。
 内容が日ごろ自分の感じていることと同期したように思えました。読書が趣味で、(特にノンフィクションもの、)いろいろ読みましたが人と議論する際は自分の意見が上手く表現できなかった。
 太田氏のものごとの把握の仕方に感銘しました。なるほどと腑に落ちます。
 多方面の知識が有られるやうで、アングロサクソン論など、大変おもしろく読ませて頂きました。
 中西輝正氏の「大英帝国衰亡史」もおもしろく読んだのですが、アングロサクソンの捉え方は太田氏とは若干異なるのでせうか?多方面に亘るブログ今後も楽しみにしております。このまま無料を続けるのはもったいなく思い有料会員になりたく、ただ現在年金暮らし、いつまで継続できるか?取り合えず初回分をお支払いいたしたく、宜しくお願いいたします。
<太田>
 有料購読をお申し込みいただきありがとうございます。
 ところでどなたか、中西氏のこの著作のポイントをご説明いただける方、いらっしゃいませんか。
 とにかく、日本の論壇は、かれこれ10年くらい、フォローしておりませんので・・。
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太田述正コラム#2643(2008.7.1)
<朝鮮日報の記事より>
→非公開